ミダス -黄金の呪い-

M.J

第一話(脚本)

ミダス -黄金の呪い-

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〇古い本
  ある時、熱砂の大国に
  『シャリフ』という王子が生まれた
  彼は生まれつき
  触れたものを黄金に変える
  呪いを受けており
  一人では食事をすることも
  できなかったという

〇宮殿の部屋
  水を飲もうと、
  盃に触れるシャリフ。
  すると盃は黄金に変化してしまった。
シャリフ「やばっ、またやっちまった!」
カマル「おい、シャリフ、 部屋のものには触るなと言っただろ。 何かしたいなら俺を呼べ」
シャリフ「水くらい一人で飲めると思ったのに・・・」
カマル「全く・・・ほら、 もう遅いんだから、早く寝ろ」
シャリフ「でも、全然眠くないよ」
カマル「いい子にしてないと、 ミダスみたいになれないぞ」
シャリフ「ミダス・・・俺と同じ呪いにかかった 昔話の王様だろ。散々聞いたよ」
カマル「ああ、ミダスは強欲だったけど、 いい子にしてたから、」
カマル「聖なるパクトロス川で 呪いを洗い流してもらえたんだ」
シャリフ「じゃあ、いい子にしてたら、俺の呪いも、いつか洗い流してもらえるかな」
カマル「ああ、お前がいい子にしていたらな」
  だが、幼いシャリフの期待とは裏腹に
  父は息子を利用することしか
  考えていなかった

〇宮殿の部屋
  数年後
  呪いは徐々に進行し、
  シャリフは腕から肩にかけて
  黄金になっていた。
  呪いの力を使う度
  彼の体は黄金に蝕まれていく
  このまま力を使い続ければ
  そのうち全身は黄金に
  覆われしまうだろう
  そんな中、父サルマンの命令で、
  朦朧としながら黄金を作っている。
サルマン「シャリフ、これではまるで足りん! もっと、もっとだ・・・!」
シャリフ(今日も一日・・・ 父上のために力を使って黄金を作り続けた)
シャリフ(けど・・・日ごとに身体の 侵食が進んでいる。 このままじゃ俺は・・・!)
サルマン「お前が動けなくなる前に、 嫁を迎え、子を作らせればいいのか」
サルマン「お前の子ならば、 黄金の呪いを受け継ぐかもしれんな」
シャリフ「しかし、父上・・・!」
サルマン「いいか、お前に拒否権はない。 呪いに侵され命を落とす前に、 嫁を迎えて子を作るのだ」
サルマン「分かったな?」
シャリフ「・・・はい」
サルマン「よろしい。愛しているぞ、シャリフ」
  そう言うと、
  サルマンは部屋を出ていった。
シャリフ「愛している・・・か」
  扉がノックされ、
  従者カマルが入って来た。
カマル「シャリフ、体は大丈夫か?」
シャリフ「カマル・・・どうしよう、俺。 父上が・・・」
カマル「分かってる。何も言うな」
シャリフ「父上は・・・俺のこと、 黄金を作る道具くらいにしか 思ってないんだ」
シャリフ「俺は父上の為に、 頑張って黄金を作ってきたのに・・・」
カマル「シャリフ・・・」
シャリフ「こんな力がなかったら・・・ 普通の子供として、愛してくれたのかな」
シャリフ「俺、このまま・・・ 黄金になって死んじゃうのか・・・?」
  ポロポロと涙を流すシャリフに
  カマルは手を伸ばしかけるが・・・。
カマル「くっ・・・こんな呪いさえなかったら、 今すぐお前を抱きしめてやれるのに・・・」
シャリフ「カマル・・・?」
カマル「なあ、シャリフ。俺・・・実は、 ずっと呪いを解く方法を探していたんだ」
カマル「ようやく手掛かりを見つけた」
シャリフ「呪いを・・・解く方法があるのか・・・?」

〇地図
  カマルは取り出した地図を広げた。

〇宮殿の部屋
カマル「ああ、この地図は厳重に鍵のかかった 部屋から盗んだものだ。 印がついた場所を見ろ」
シャリフ「これって・・・パクトロス川? 確か昔話でミダスが呪いを 洗い流したっていう聖地だよな?」
カマル「そうだ。あれはただの 昔話なんかじゃなかった。 パクトロス川は実在するんだ!」
シャリフ「じゃあ、ここに行けば呪いが解ける?」
カマル「それは行けば分かる。すぐにでも向かおう」
シャリフ「でも・・・こんなこと、 父上が許すはずがない」
シャリフ「それに、捕まったら、 罰を受けるのはお前なんだぞ」
カマル「俺の心配してる場合か! このままじゃ、お前は黄金に侵食され、 いずれ死ぬんだぞ!」
カマル「シャリフ、呪いを解いて、 自由に生きよう。 一緒に聖地を目指すんだ!」
シャリフ「聖地に向かったら、 ここにはもう戻れない・・・ でも、ここにいたって俺は・・・」
シャリフ「俺には最初から カマルしかいなかったじゃないか」
シャリフ「行こう、カマル。 呪いを解いて二人で自由に生きよう」
カマル「ふっ、その意気だ」
シャリフ「けど、宮殿を抜け出すのは難しいと思うぞ」
カマル「・・・そのことだが、俺に考えがある」

〇王宮の入口
シャリフ「召使いの服って、なんか歩きづらいなあ。 うっかり裾を踏んじまいそうだ」
カマル「転ばないように慎重に歩けよ」
シャリフ「分かってるよ・・・って、うわあ!」
  シャリフは裾に躓いて、
  側にあった積荷にダイブしてしまう。
近衛兵「そこの二人、何をしている!」
シャリフ「げっ」
カマル「構うな、走れ!」
  二人は近くにあった馬車に飛び乗った。
近衛兵「お、おい。ま、待てーっ!」

〇荷馬車の中
  2人を乗せた馬車が全速力で街を駆ける。
シャリフ「ふぅ・・・なんとかなったな・・・」
カマル「まだだ。街を抜けるまでは気を抜くな」
シャリフ「ああ、もちろんだ」
シャリフ(絶対に聖地に辿り着いて、 この呪いを解いてみせる。 さよなら、父上)
  呪いを解くため王宮を抜け出した
  シャリフとカマル。
  だが、砂漠はあまりにも
  危険なところであった
  この砂漠は凶悪な盗賊が
  出ることで有名だが
  宮殿暮らしの長い二人は、
  このことを知る由もなかった・・・

次のエピソード:第二話

コメント

  • 二人の冒険、楽しみですねー(^^♪
    幼少期の二人もかわいい♪

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