第12話 リアリナを襲う海の魔物は?(脚本)
〇黒
リアリナ・シャルルド・グレイ「悪い奴らが、船ごと吹き飛ばそうとしてる!」
リアリナ・シャルルド・グレイ「このままじゃ、スローライフ計画が台無しどころか」
リアリナ・シャルルド・グレイ「全員死ぬじゃない!」
〇沖合
テオフィル・ベフトン「リアリナ様! お下がりを!!」
リアリナ・シャルルド・グレイ「それでは、テオが死んじゃうわ!」
テオフィル・ベフトン「大丈夫です! テオは死にません」
テオフィル・ベフトン「ずっとリアリナ様のおそばにおります」
リアリナ・シャルルド・グレイ「テオの”大丈夫”が、一番信用ならないわ!」
テオフィル・ベフトン「えええええーーーー!!!」
〇沖合
ヨハン村長「全員、しねえええええ!!!」
〇堤防
「待て!」
「無駄な悪あがきはやめるのだ!!!」
ヨハン村長「邪魔をするなああ!!」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「このマントの紋を見て気付かぬのか。 村の民よ」
ヨハン村長「それは・・・王家の紋?」
ヨハン村長「お前! 従者じゃなかったのか!!」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「っは! この私が従者であるまい!」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「我は、第54代エレオノール王国第一王子、スタンスラス・ブラン・エレオノールである!」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「王国の名に於いて命ずる。今すぐ剣を収めよ!」
ヨハン村長「っく!」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「昨夜の一宿一飯の恩義に免じて命だけは取らないでやろう」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「しかし、貴様らのしたことは重罪である」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「犯した罪は、法に則り裁くものとするから、覚悟しておけ!」
〇漁船の上
スタンスラス・ブラン・エレオノール「リアリナ・・・怪我はないか?」
リアリナ・シャルルド・グレイ「ええ、平気よ」
リアリナ・シャルルド・グレイ「すっごくペタだったけど、最高の登場だったわ。ベタだけど!」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「お、王道が一番であろう?」
スタンはリアリナの前で仰々しく片膝をついた
リアリナ・シャルルド・グレイ「えっ!!」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「リアリナ・・・並びに、ご婦人方」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「このような戯れに巻き込んでいまい申し訳なかった」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「国の秩序を守る立場の者として、謝罪をさせて欲しい」
さらわれた女性たち「・・・」
リアリナ・シャルルド・グレイ「何を言ってるの?」
リアリナ・シャルルド・グレイ「これほど殿下が心強い存在だと思ったことは、なかったわ」
スタンへと手を差し伸べる
スタンスラス・ブラン・エレオノール「リアリナ・・・」
リアリナ・シャルルド・グレイ「助けてくれてありがとう。スタン」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「っ・・・!」
〇堤防
テオフィル・ベフトン「っ・・・」
「きゃあああああ〜ー!!」
〇漁船の上
「!!」
ミゲル「離してえええー」
「ミゲル!!!」
ヴェヒター「近づいたら、この娘を殺すわよ!」
ヴェヒター「全員、今すぐ船を降りて!」
ミゲル「しく、しく、しく・・・」
ヴェヒター「全員、さっさと降りろ!!」
リアリナ・シャルルド・グレイ(まずいわ。ミゲルを人質にとってこのまま船で逃げようって魂胆ね)
リアリナ・シャルルド・グレイ(逃亡されたらミゲルはどうなるの?)
スタンスラス・ブラン・エレオノール「子供を盾に使うとは! 子供を殺せば、極刑に値するぞ!」
ヴェヒター「うるせえ!!! 私には王様だろうが、王子様だろうが関係ねえ!」
ヴェヒター「こんな国なんか! 捨てちまえばいいんだからねえ」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「こんな国、だと?」
ヴェヒター「さっさと降りろ!」
ヴェヒター「さっさとしねえと、このガキを殺すぞ!」
テオフィル・ベフトン「ここは私が仕留めます」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「いや、俺がやろう、国を捨てるのなら、温情など不要であるからな」
リアリナ・シャルルド・グレイ「2人とも冷静になって!」
テオフィル・ベフトン「しかし!」
リアリナ・シャルルド・グレイ「もし、あの子が犠牲になったらどうするのよ?」
テオフィル・ベフトン「ですが、このままでは逃げられてしまいます」
リアリナ・シャルルド・グレイ「私に任せて頂戴」
リアリナ・シャルルド・グレイ「全員船を降りて、スタンも、テオもよ!」
テオフィル・ベフトン「・・・かしこまりました」
リアリナ・シャルルド・グレイ「・・・全員、船から降りたわね」
リアリナ・シャルルド・グレイ「その子を離しなさい!」
ヴェヒター「貴様も、さっさと降りろ!!」
リアリナ・シャルルド・グレイ「その子供の代わりに、私を連れて行きなさい」
ヴェヒター「なんだと?」
リアリナ・シャルルド・グレイ「私の方が価値あるのでしょう? だったら迷うことはないわ」
リアリナ・シャルルド・グレイ「私を連れて行けば、逃走資金が稼げるわよ! さあ、選びなさい!」
「馬鹿なことを考えるな!」
リアリナ・シャルルド・グレイ「さあ、早く決めなさい!」
〇黒背景
リアリナ・シャルルド・グレイ(ここはうまく時間を稼いで、隙を見て逃げてみせる!)
リアリナ・シャルルド・グレイ(スタンだって吹っ飛ばせたんだもの! できるはず!)
〇漁船の上
ヴェヒター「・・・」
ヴェヒター「わかった、女、こっちへこい!」
ミゲルが男から離れる
〇堤防
テオフィル・ベフトン「お嬢さん、もう大丈夫ですよ」
ミゲル「うん・・・」
〇漁船の上
リアリナ・シャルルド・グレイ「よかった。ミゲル・・・」
リアリナ・シャルルド・グレイ「っきゃ!!」
リアリナの首元へナイフがあてがわれる
ヴェヒター「それじゃあ、ずらかるとするか!」
〇空
〇漁船の上
リアリナ・シャルルド・グレイ「さあ、逃げ切れるかしら?」
ヴェヒター「ああん??」
リアリナ・シャルルド・グレイ「私の従者はね、とっても優秀なのよ」
ヴェヒター「・・・なに? あれは⁇」
一艘の舟が近づいてくる──
〇海
テオフィル・ベフトン「リアリナ様ー!!」
テオフィル・ベフトン「その船、待てー!!」
〇漁船の上
ヴェヒター「しつけえ!!!」
リアリナ・シャルルド・グレイ「ふふんっ!」
ヴェヒター「仕方ねえ。あんたには時間稼ぎをしてもらうわ」
リアリナ・シャルルド・グレイ「っへ??」
リアリナを抱きあげると、そのまま海に向かい放り投げた──
〇水中
〇海
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