〇個室のトイレ
　　また話を聞いてしまった
千輪々　三郎（ちわわ　さぶろう）（この声　あいつらだ！）

〇学校のトイレ
猟の子分１「あの女を誘拐するってよ」
猟の子分２「ホットコーラだっけ？」
猟の子分１「ホットミルクだろ？」
猟の子分２「ホットキャラメルじゃないか？」
猟の子分１「キャラメルフラペチーノだろう？」
猟の子分２「どんどん離れてる気がするぜ」
猟の子分１「ともかくさらって　 やっちまえば　こっちのもんさ」
猟の子分２「マーキングするってわけだな」

〇個室のトイレ
千輪々　三郎（ちわわ　さぶろう）（ヤバいヤバいヤバい!!）

〇まっすぐの廊下
　　彼女の姿はなかった

〇通学路
　　僕には　人間の3000倍の嗅覚がある
千輪々　三郎（ちわわ　さぶろう）「クンクンクン」
千輪々　三郎（ちわわ　さぶろう）「間違いない　彼女の匂いはこっちだ」
子供「ママ見て！　ワンちゃんみたい 道でクンクンしてる」
母親「見ちゃダメ 狂犬病かもしれないわ」
千輪々　三郎（ちわわ　さぶろう）「・・・」

〇ビルの裏
千輪々　三郎（ちわわ　さぶろう）「ああ　匂いが薄れてる！ これ以上　追えないよ💦」
　　諦めて路地を去りかけた時
千輪々　三郎（ちわわ　さぶろう）「むむむ！ また匂いがするぞ」
千輪々　三郎（ちわわ　さぶろう）「追える　これなら追える!!」

〇地下広場
千輪々　三郎（ちわわ　さぶろう）「心愛ちゃん！」
千輪々　三郎（ちわわ　さぶろう）「起きて　起きるんだ！」
千輪々　三郎（ちわわ　さぶろう）「イタッ　また・・・」
堀戸　心愛（ほっと　ここあ）「エッチ　痴漢　変態！」
堀戸　心愛（ほっと　ここあ）「私を誘拐してどうするつもり!?」
千輪々　三郎（ちわわ　さぶろう）「ぼ　僕じゃない アイツが闇月猟が・・・」
堀戸　心愛（ほっと　ここあ）「嘘ばっかり　キライ」
堀戸　心愛「柄の悪い連中 あなたの子分なんでしょ？」
千輪々　三郎（ちわわ　さぶろう）「イメージ悪い きえろ　きえろ　きえろ！」
千輪々　三郎（ちわわ　さぶろう）「こいつらこそ　闇月の子分だよ 目を覚ましてよ　心愛ちゃん!!」
闇月　猟（やみづき　りょう）「目を覚ますのは　お前だよ 負け犬野郎」
堀戸　心愛（ほっと　ここあ）「猟ちゃん」
闇月　猟（やみづき　りょう）「頭の中の　妄想の敵なら　 お前でも倒せるさ だが　俺はホンモノだぜ！」
闇月　猟（やみづき　りょう）「やれるものなら　やってみろ!!」
千輪々　三郎（ちわわ　さぶろう）「くっ・・・くそ」
堀戸　心愛（ほっと　ここあ）「何言ってるの猟ちゃん？」
闇月　猟（やみづき　りょう）「心愛　俺が好きなら 人生をフロに沈めても本望だろ？」
堀戸　心愛（ほっと　ここあ）「ホントに何言ってるの？ わからない　わからないよ!?」
闇月　猟（やみづき　りょう）「お前も牙一族なのか？ 一族に恥さらしな負け犬がいるとは！」
闇月　猟（やみづき　りょう）「殺処分してやるぜ」
　　天上から月光が
　　見上げると　そこに
堀戸　心愛（ほっと　ここあ）「キャアアア　あなたも」
堀戸　心愛（ほっと　ここあ）「あれ？　カワイイ!!」
狼男「それで俺に勝てるのか!?」
チワワ男「クウウウン」
狼男「ぶるぶる震えてやがる」
堀戸　心愛（ほっと　ここあ）「無理しないでぇ」
狼男「情けない　女の胸に顔を埋めて泣くか？ それがお前の精一杯か!?」
狼男「意気地なし!! チワワだからじゃない お前には　勇気が足りないんだ!!!!」
狼男「お前が小さいのは　体じゃない 度胸だ　心意気が小さいんだ!!」
狼男「大切なものを守る気持ちが小さいんだ！」
狼男「大切なものを　死ぬ気で守ってみろ」
堀戸　心愛（ほっと　ここあ）「やめて　チワワちゃんをいじめないで」
狼男「ウルサイ」
チワワ男「よ　よせ 彼女に手を出すな」
狼男「くっ 唇が　は 鼻も!!」
　　狼男は　泣き叫んで逃げた
堀戸　心愛（ほっと　ここあ）「チワワちゃん!!」
チワワ男「クウウウン」
堀戸　心愛（ほっと　ここあ）「ありがとう　チワワちゃん」
千輪々　三郎（ちわわ　さぶろう）「僕　僕こんなだけど」
千輪々　三郎（ちわわ　さぶろう）「やっぱり　ダメだよね・・・」
堀戸　心愛（ほっと　ここあ）「小型犬が一番好き!!」
　　浮かれた遠吠えが　鳴り響いた

〇テレビスタジオ
新司会者「つまり　あなたがキューピッド」
闇月　猟（やみづき　りょう）「まあ　狙い通りさ あいつも牙一族　大事な仲間だ」
新司会者「彼の野生を目覚めさせるために・・・ 本当は優しいのね」
闇月　猟（やみづき　りょう）「よせよ　俺はワルで売ってんだ 営業妨害だよ」
新司会者「子分たちの　女性蔑視な発言も？」

〇コンビニの雑誌コーナー
　　彼らも牙一族
　　聴覚も嗅覚も　チワワに負けねえ

〇学校のトイレ
　　チワワの匂いがする場所で
　　聞こえるように　ワザと話した

〇ビルの裏
　　追跡の途中で　匂いを失いやがって
　　世話が焼けるぜ
　　念のため
　　心愛の匂いのついたハンカチを
　　子分に持たせてたんだ

〇テレビスタジオ
新司会者「未練はないの？ あなたも心愛さんを　本当は・・・」
闇月　猟（やみづき　りょう）「俺は辛党 甘い飲み物は苦手だ」
新司会者「強がりばかり　 本性出しなさい ホレ！」
闇月　猟（やみづき　りょう）「俺は　ひねくれ者　 チワワみたいに　丸い物では・・・」
新司会者「この形なら？」
闇月　猟（やみづき　りょう）「うううう・・・」
新司会者「心愛さんへのプレゼントでしょ？ あなた　やっぱり!!」
　　口は災いの元