第11話 絶体絶命! どうなる? リアリナ?(脚本)
〇海辺の街
〇黒
リアリナ・シャルルド・グレイ「どうしよう?」
リアリナ・シャルルド・グレイ「このまま港へ運ばれたら、私のスローライフ計画が台無しだわ!」
リアリナ・シャルルド・グレイ「いっそ、舌を噛みちぎって死ぬ?」
リアリナ・シャルルド・グレイ「いや、ダメよ! だって・・・」
〇海辺の街
ミゲル「・・・zzz」
この子はどうなるの?
〇黒
〇漁船の上
ヴェヒター「今日の目玉は、そこの女かい?」
ヨハン村長「はい、上等な馬車に乗り、従者を幾人も、つけておりましたから」
ヨハン村長「おそらく上位貴族の娘かと」
ヴェヒター「いいねえ。いいねえ」
ヴェヒター「身分の高い娘が汚れて行く姿はたまらないねえ」
リアリナ・シャルルド・グレイ「ぞおおおおおお」
ヴェヒター「この肌、汗すら甘い香りを放ちそうだねえ」
リアリナ・シャルルド・グレイ「止まりなさい」
リアリナ・シャルルド・グレイ「それ以上近づけば、今ここで舌を噛むわ」
ヴェヒター「いいねえ!!」
ヴェヒター「プライドの高い娘が好きな客は多いからねえ」
ヴェヒター「丁度、貴族落ちした奴隷が欲しい客がいた」
ヴェヒター「この容姿で、その性格とくれば高値で売れるだろうねえ」
リアリナ・シャルルド・グレイ(ひい!)
ヨハン村長「それと、この子が、例の獣族の娘です」
ミゲル「・・・」
ヴェヒター「・・・確かに」
ミゲル「ううっ・・・お父さん!!」
リアリナ「お待ちなさい」
リアリナ・シャルルド・グレイ「私はグレイ侯爵家の娘!」
リアリナ・シャルルド・グレイ「エレオノール王国、第一王子、スタン王太子の婚約者よ!」
リアリナ・シャルルド・グレイ「大事になる前に、みんなを解放しなさい!」
ヴェヒター「ほお?」
リアリナ・シャルルド・グレイ「わかったなら、今すぐ縄を解きなさい!」
ヴェヒター「それはいいことを聞いたねえ」
リアリナ・シャルルド・グレイ「!!」
ヴェヒター「それなら尚のこと、高い額で売買が出来そうだねえ」
〇空
イグリッド「さっさと船に乗れ!」
リアリナ・シャルルド・グレイ「う! 嘘でしょおお!」
〇漁船の上
リアリナ・シャルルド・グレイ「お、王様に楯突くことになるのよ!」
リアリナ・シャルルド・グレイ「バレたら大変なことになるんだからぁ!」
ヴェヒター「だから何だっていう?」
リアリナ・シャルルド・グレイ「な、何って」
ヴェヒター「こっちはな、今日生きるだけでも必死なんだ」
ヴェヒター「このクソみたいな世界で生きて行くのに、いちいち法なんか守ってられねえんだよ」
ヴェヒター「私らのような裏家業の人間にとっちゃ」
ヴェヒター「王様だろうとなんだろうと、金になるものならなんでも金にする」
リアリナ・シャルルド・グレイ「そこまでしてお金が欲しいの?」
ヴェヒター「ああ、欲しいねえ。金があれば、自由が手に入るからねえ」
リアリナ・シャルルド・グレイ「自由? そんなものもう持ってるじゃない!」
ヴェヒター「あ?」
リアリナ・シャルルド・グレイ「船で別の国を行き来できるんでしょ?」
リアリナ・シャルルド・グレイ「いろんな世界に行くことができるんだもの。自由じゃない!」
ヴェヒター「ひゃぁはははは!!」
リアリナ・シャルルド・グレイ「な、何よ?」
ヴェヒター「ヒヒヒ・・・いいねえ」
ヴェヒター「貴族ってやつは、どこまでも私たちを傷つける」
ヴェヒター「底辺の世界なんざ、汚すぎて見えねえんだもんな」
リアリナ・シャルルド・グレイ「そ、そんなつもりで言ったんじゃないわ、ただあなたは自由だと事実を言っただけでしょ?」
ヴェヒター「黙れ」
リアリナ・シャルルド・グレイ「っひ!」
ヴェヒター「よく喋るお嬢様の」
ヴェヒター「その舌」
ヴェヒター「いくらで売れるかねえ?」
リアリナ・シャルルド・グレイ「う、売れない! 売れないからああ」
リアリナ・シャルルド・グレイ「誰か! 助けてえ!」
「ぶほお!」
〇漁船の上
リアリナ・シャルルド・グレイ「なになになにーーーー???」
〇堤防
テオフィル・ベフトン「その船! 待て!」
テオフィル・ベフトン「今すぐ、人々を解放するんだ!」
リアリナ・シャルルド・グレイ「テオ! 来てくれると信じてたわ!」
テオフィル・ベフトン「リアリナ様から、離れるんだ」
ヨハン村長「ははは! 1人で乗り込んでくるとは!!」
ヴェヒター「ああん? 面のいい男だねえ」
ヴェヒター「きみはいくらで売れるかねえ!!!」
「ぎゃああああー!」
〇堤防
テオフィル・ベフトン「私は、売り物ではございません」
テオフィル・ベフトン「リアリナ様の従者です」
リアリナ・シャルルド・グレイ「テオ!」
テオフィル・ベフトン「リアリナ様! 大丈夫ですか?」
リアリナ・シャルルド・グレイ「こっ、怖かったー!!」
テオフィル・ベフトン「もう心配ありません」
リアリナ・シャルルド・グレイ「テオー!」
テオフィル・ベフトン「よしよし」
リアリナ・シャルルド・グレイ「でもどうしてここがわかったの?」
テオフィル・ベフトン「これです」
リアリナ・シャルルド・グレイ「何もないわ?」
テオフィル・ベフトン「ええ。何もない」
テオフィル・ベフトン「だから、気づいたのです」
〇海辺
スタンスラス・ブラン・エレオノール「さあ、グレイ家へ行くぞ」
テオフィル・ベフトン「・・・!」
テオフィル・ベフトン「お待ちください! 殿下!」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「なんだ?」
テオフィル・ベフトン「これは、夢でも幻でもないようです」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「何?」
テオフィル・ベフトン「飴が・・・有りません」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「飴??」
〇堤防
テオフィル・ベフトン「夢かと思ったのに」
テオフィル・ベフトン「あの夜は、夢ではなかったのですね」
リアリナ・シャルルド・グレイ「テオ・・・一体いつから入れていた飴なの?」
テオフィル・ベフトン「!!」
リアリナ・シャルルド・グレイ「大変だわ! ミゲルにあげちゃった!」
テオフィル・ベフトン「い、いえ!」
リアリナ・シャルルド・グレイ「ミゲルのお腹は大丈夫かしら? ミゲルー??」
テオフィル・ベフトン「毎日、新しい飴をですね! って聞いてます???」
「ぐぬぬぬ・・・」
ヨハン村長「秘密を知ったお前達を、このまま帰す訳にはいかない!」
〇沖合
「何?? あの魔法!?」
「あの男、船ごと吹き飛ばすつもり??」
「みなさん! 下がって!」
ヨハン村長「・・・死ねえ!!!!」
〇黒