〇テレビスタジオ
新司会者「今回の『モンスターチューブ』は──」
新司会者「恋恋恋 いいなぁ～　アオハル!!」
新司会者「失踪した姉に代わり　司会を務めます 五つ子で末っ子　「すゑ子」です」
新司会者「お姉ちゃん　どこに消えたのかしら？」
新司会者「では告白チャレンジ　 張り切ってどうぞ！」
千輪々　三郎（ちわわ　さぶろう）「そ それが　告白できない悩みが」
新司会者「悩み多き年頃ねぇ アオハル　アオハル💛」
新司会者「でも告白できないなら 次のモンスターに・・・」
「またまた 新司会者冷たいぞ」
「五つ子全員　そうなのか？」
新司会者「くそコメいっぱい 皆さん応援してますよ💦」
千輪々　三郎（ちわわ　さぶろう）「丸い物が苦手で 見ると体が　ううう だから　告白できない・・・」
新司会者「たとえば？」
千輪々　三郎（ちわわ　さぶろう）「うううわわわわ」
チワワ男「ワオオオ～ン」
新司会者「カワイイ!!」
「確信犯だ　確信犯でボールだした!!」
「新司会者いじわるだぞ 五つ子全員　いじわるか？」
新司会者「丸ければ　満月でなくても？ 面白い特技ね？」
千輪々　三郎（ちわわ　さぶろう）「と　特技じゃない！ 僕は『牙一族』なんだけど　けど・・・」
新司会者「狼男の血統ね？ でも『狼男』ではなく『チワワ男』 ホレ!!」
「新司会者ひどいぞ ひとでなし もっとやれ!!」
新司会者「自信が持てないのですね～」
千輪々　三郎（ちわわ　さぶろう）「それに　彼女は皮ジャン野郎に夢中で どうせ　どうせ　僕なんか・・・」
千輪々　三郎（ちわわ　さぶろう）「くうう」
新司会者「ハイ！」
チワワ男「クウウウン」
「チワワをもてあそぶな　魔女か!?」
「五つ子揃って呪われろ！」

〇ハート
堀戸　心愛（ほっと　ここあ）「猟くん・・・」
闇月　猟（やみづき　りょう）「心愛（ココア）といると　ホッとするぜ 温かい飲み物みたいだな」
堀戸　心愛（ほっと　ここあ）「バカにしてるの？」
闇月　猟（やみづき　りょう）「まさか！ 心からホッとしてんだ　心愛」
堀戸　心愛（ほっと　ここあ）「ホントに？」

〇学校脇の道
千輪々　三郎（ちわわ　さぶろう）「僕だって　勇敢な牙一族なんだ よし　当たって砕けろ!!」
千輪々　三郎（ちわわ　さぶろう）「心愛ちゃん」
堀戸　心愛（ほっと　ここあ）「アラ　こんにちは！」
堀戸　心愛（ほっと　ここあ）「誰だっけ？」
闇月　猟（やみづき　りょう）「ザコだな」
千輪々　三郎（ちわわ　さぶろう）（負けるな　負けるな 僕は勇敢な牙一族！）
千輪々　三郎（ちわわ　さぶろう）「心愛ちゃん！ 君にチャレンジだ こ　こここ告白──」
中学生の野球部「すみませーん　ボールとって フェンス超えちゃって」
闇月　猟（やみづき　りょう）「中坊め　気をつけろ 返すぞ！」
中学生の野球部「ありがとうございまーす」
堀戸　心愛（ほっと　ここあ）「優しいね猟ちゃん」
闇月　猟（やみづき　りょう）「それより　さっきワン公いなかった？ ぶるぶる震えてたろ？」
堀戸　心愛（ほっと　ここあ）「ええ　ワンちゃん？　どこ??」
闇月　猟（やみづき　りょう）「逃げ足の速い　負け犬だな」
堀戸　心愛（ほっと　ここあ）「猟ちゃん以外 目に入んないもん💛」

〇小さいコンビニ
　　落ち込んでいると
　　店の中の会話が　耳に飛び込んだ
　　僕の聴覚は　人間の５倍なのだ

〇コンビニの雑誌コーナー
猟の子分１「いいねグラビア💛 ピチピチだぜ」
猟の子分２「兄貴にイカれてる女も　イイぜ！ 飲み物みたいな名前だったな」
猟の子分１「堀戸心愛（ホットココア）だろ？」
猟の子分２「それそれ！　兄貴も甘党だね」
猟の子分１「フロに沈められるとも知らねえで」
猟の子分２「歴代の女はみんな 店のナンバーワンになってるからな 兄貴の躾がいいんだよ」
猟の子分１「女なんて　甘っちょろいってことさ」
猟の子分２「ココアだけに？」
猟の子分１「しかもホット　お熱いね～」

〇小さいコンビニ
　　いやらしい笑い声が聞こえた
　　許せない
　　だが──

〇見晴らしのいい公園
千輪々　三郎（ちわわ　さぶろう）「イタッ」
堀戸　心愛（ほっと　ここあ）「いい加減なこと　言わないで！」
千輪々　三郎（ちわわ　さぶろう）「でも　でも確かに 僕の聴覚は人間の・・・ あ アイツの子分たちが」
堀戸　心愛（ほっと　ここあ）「アイツじゃなくて　闇月猟よ 猟ちゃんが　悪い人のわけない!!」
堀戸　心愛（ほっと　ここあ）「あんたなんて　名前も知らない!!」
千輪々　三郎（ちわわ　さぶろう）「僕は　僕は千輪々三郎 君と同じ学校に──」
堀戸　心愛（ほっと　ここあ）「知らない　知らない そんなヒドイこと言う人なんて！」
堀戸　心愛（ほっと　ここあ）「二度と話しかけないで」
　　泣き叫んで　走って行った
　　追いかけようとして　できなかった
　　だって　夕日が夕日が
　　丸い夕日が　涙で霞んで見えた
　　後編へ続く