バベ猫シリーズ①~ウッデントイズと幽霊~

猫衣林薙

エピソード1(脚本)

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猫衣林薙

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〇アーケード商店街
  私の名前は「タナカ」。
  この街のはずれにある「喫茶バベル」の看板猫。今は喫茶店の買い出し中なのだが‥
カリナ「暑いし重いしもうやだ、タクシー使お」
リナ「そうだね‥仕方ない。タナカのおやつ代をタクシー代にあてちゃおっか!」
  な、なんだと!?このグウタラ家族め!
  こやつらは、喫茶店を経営する人間ども。母親のリナと、末っ子のカリナだ。
  高貴で偉大な私に対するこの仕打ち!けしからん!生意気な人間どもめ!
  歩け!さっさと歩くのだ!ほれ!
カリナ「ちょっとタナカ~ひっぱらないでよ!」
カリナ「あれ?見て!新しいお店が出来てる!」
リナ「ほんとだー!」
リナ「Wooden toys(ウッデントイズ)・・・木製のオモチャ屋さんだって!」
カリナ「外観めっちゃ可愛い~!」
カリナ「見て!ペットのおもちゃも売ってるからペット同伴OKだって!入ってみよー!」

〇玩具売り場
  可愛らしい木製のおもちゃが並ぶ店内。店にいる客の表情は笑顔であふれている。
  そんな活気あふれる店内に、物憂げな表情でオモチャを物色する老人がひとり。
  色々なオモチャを手に取っては悲しげにため息をつく。どれも買う気配はなく
  ベタベタとおもちゃを触りながら「これじゃない‥これじゃない‥」とつぶやいている。
  気になった私は、老人の足元にすり寄った。
タナカ「にゃあ」
リナ「あ!コラ!」
リナ「うちのにゃんこがすみません!」
リナ「え!?ちょ、ちょっと!」
  リナが話しかけたとたん、老人は逃げるように店を出ていった。

〇ヨーロッパの街並み
  すると、やり取りを遠目に見ていた従業員が「お知り合いですか?」と声をかけてきた。
リナ「いや、全然知らない方ですけど‥えっと、どうしてそんなことを聞くんです?」
  従業員は、少し戸惑った様子で話し始めた。
  どうやら老人はここ数日、このお店に通い詰めているらしい。だが、
  おもちゃを買ったことはなく、ただひたすら何かに悩み続けているのだと言う。
  思い詰めたような様子が気になっているものの、声をかけると帰ってしまうらしい。
リナ「確かに、さっきも「これじゃない」ってつぶやきながら何かを探してた様子だったよ」
カリナ「探し物なら、店員さんに聞けばいいのに」
リナ「そう言えば‥この前見たテレビでそんな感じの幽霊の特集やってたな‥」
カリナ「幽霊?どんなやつ?」
リナ「その幽霊は大きなお屋敷に住み着いていて、自分の影を探しているらしくて」
リナ「色々な物の影を見て「これじゃない‥」ってつぶやきながら屋敷を徘徊してるの」
カリナ「ちょっと気味が悪いかも」
リナ「自分に合う影を持つ人間を見付けたら、影だけ残して食べちゃうんだって・・・」
  うすら寒い気持ちをかかえたまま、私たちはひとまず店をあとにした。

次のエピソード:エピソード2

コメント

  • まだミステリーともホラーともわからない出だしですね…
    どう展開していくのか興味深いです!!

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