Sparking Carats!

西園寺マキア

第24章 垣間見せる心(脚本)

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西園寺マキア

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〇空
  ──1ヶ月後
「・・・で、」

〇コンサート会場
「でっか~~~~い!!!!」
  gladiolus一周年ライブ当日
  ハピパレの四人はリハーサルをするため、ホールを訪れていた
  会場キャパは2,500人
  ハピパレからしてみれば、めまいがしそうな程広いステージだ
ゆづき「さすが実力トップチームね・・・ こんな大きなハコを抑えちゃうなんて」
りょう「いやいや、まさか~! 私たちの力だけじゃ、こんなに大きな会場なんて借りられないよ」
はるか「えっ、どういうこと・・・?」
りょう「実は条件付きで、サルビアプロダクションに開催を手伝ってもらったの」
ゆき「えっ、CRESCENTの事務所に!?」
りょう「うん、ちょっと知り合いのコネがあってね あやちゃんが昔練習生していたっていうのもあるし」
ゆき「それ、あやかちゃんの気持ち的には大丈夫なの?」
まみこ「私たちももちろん心配したんだけど・・・」

〇稽古場
あやか「ふぅん、私を逃したことを後悔させるいい機会じゃない」
まみこ「・・・って言っていたから、大丈夫だと思う」

〇コンサート会場
ゆづき「さすがgladiolusのリーダー・・・ メンタルが桁違いね・・・」
  ゆづきが感心している横で、さくらがチラシをひらひらさせながら言った
さくら「ねえ、その共催条件ってさ この「シークレットゲスト」の出演?」
りょう「そうだよ! 私たちも、だれが出るかっていうのは聞いていないの」
  ゆきはチラシを見つめながら、うーんと唸った
ゆき「そういえば、サルビアプロが最近スカウトやオーディションを強化してるっていう噂があったの思い出した・・・」
はるか「じゃあもしかしたら、新しい新人グループが来たりしてね!」
はるか「・・・」
はるか「・・・あっ」

〇川に架かる橋
きり「実は私、この前のハピパレの大会の時・・・ ある女の人に話しかけられて、言われたの」
きり「「私たちと一緒に、あなたの夢を叶えませんか」って・・・」

〇コンサート会場
はるか「・・・」
あやか「こらこら、なにお喋りしちゃってるのよ!」
  はるかがぼーっとしていると、ステージの上からハキハキとした声が響いた
かの「みんな、急いで衣装に着替えて!」
「はーい!」
  呼びかけを聞いて、さくらたちは慌てて楽屋の方へ走っていった
はるか「まあ、まさかね・・・」

〇コンサート会場
  数時間後、公演がスタート
  Happy♡Paradeは前座のライブを無事に遂行していた
「ありがとうございましたー!!!!」

〇ホールの舞台袖
りょう「お疲れさまー!」
さくら「いやはや~、ステージを温めすぎちゃったかもしれませんなあ」
  舞台裏に戻ると、あやか以外の3人が出迎えをしてくれていた
ゆづき「あれ、あやかちゃんは?」
まみこ「それが、CRESCENTのプロデューサーに話がある、って呼ばれて・・・」
  まみこが心配そうな顔をした
さくら「何の話?」
まみこ「さあ・・・ セットリストについてどう、とかは聞こえたんだけど・・・」
  3人はため息をついた
かの「前の事務所の偉い人だし、きっと緊張してるんじゃないかなって思うんだけど・・・」
はるか「緊張? そんなのもったいないよ!」
  はるかが大きな声をあげた
はるか「今日、とっても大切な日なんだよね? なのにもし緊張しちゃったら・・・」
はるか「うち、様子見てくる!」
  はるかはマイクをかのにむんずと押し付けた
ゆづき「あっ、ちょっと・・・!」

〇劇場の楽屋
はるか「あやかちゃん、大丈夫?!」
  はるかが楽屋のドアをバンと開けると、暗い顔のあやかと長髪の女性が話しているところだった
はるか「D、DIAmondのむつみさん・・・!?」
  はるかの声を聴いて、むつみが振り返った
むつみ「あら、私を知っているのね」
はるか「そ、そりゃまあ・・・」
  はるかがどぎまぎしていると、むつみはあやかの方へ向き直ってこう言った
むつみ「あやか、そういうことだから ・・・わかってくれるわよね?」
あやか「・・・はい」
  あやかが答えると、むつみは踵を返して楽屋から出ていった
あやか「ごめんなさい、もうすぐ出番だったわね・・・」
  あやかははるかを見て、ふらりと立ち上がった
はるか「何か言われたの・・・?」
あやか「いいえ、私たちのアンコールを削って、例の「シークレットゲスト」の出演順を最後にしてほしいって言われただけよ」
はるか「でも、そんなの・・・!」
  そのゲストがステージのトリを務めるということは、実質のメインを取って代わられたようなものだ
あやか「わかってる、わかってるの・・・」
あやか「でも彼女たちはスポンサー 逆らうことはできないわ・・・」
はるか「そんな・・・」
  あやかは少し口をつぐんだあと、ぽつりぽつりと語りだした
あやか「・・・ねえ、今日はサルビアプロが共催でしょう?」
あやか「・・・わたし、怖かったの」

〇稽古場
あやか「みんなの前では強がっていたけれど、一度退社した事務所に声をかけてもらえるなんて、何かあるんじゃないかって思ってた・・・」

〇劇場の楽屋
あやか「もしかしたら、私たちを引き抜くつもりなのかな・・・とか、色々変なことを考えちゃってた」
あやか「でもさっきプロデューサーからあんな提案をされて、私たち本当は客引きパンダに利用されただけなんじゃないかって思ったの・・・」
  あやかは再び目を伏せた
あやか「私、今日のステージは絶対に成功させたかった」
あやか「大切な日だから、大切なステージだから、絶対に・・・」
あやか「なのにこんな提案をされて、正直戸惑っているし、余計失敗はできないって思った・・・」
あやか「トリを取られたのなら、その「ゲスト」よりも完ぺきなステージをして観客の心に残らなきゃ、って・・・」
  あやかは深くため息をついた
あやか「・・・あなたたちのステージを見て、「ステージを心から楽しみたい」って思ったのに、ステージが怖くて仕方がない」
あやか「・・・私って、こんなに弱かったのね」
「そんなことない!」
  突然、扉の方から声がした
まみこ「そんなことない、あやかは強い子だよ 私たちが一番、それをわかってる」
かの「この間だって、ステージを楽しんで、CRESCENTを見返そうって言ってくれた・・・!」
あやか「あなたたち、聞いていたのね・・・」
  あやかは上着を脱いで、ふらふらと3人の方へ近づいた
あやか「でもごめんなさい、今日はやっぱり、失敗したくないの・・・」
  それだけ言うと、あやかは楽屋から出ていってしまった

次のエピソード:第25章 臥龍の産声

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