第10話 新たな出逢い、からの……プロポーズ?(脚本)
〇黒
リアリナ・シャルルド・グレイ「目が覚めたら、怪しい男が!?」
リアリナ・シャルルド・グレイ「一体何が起きたの?!」
〇牢獄
さらわれた女性たち「・・・」
リアリナ・シャルルド・グレイ(私の他にも女性たちが。ここは一体?)
???「やあ、お目覚めかな? お嬢さん」
リアリナ・シャルルド・グレイ「村長!!」
ヨハン村長「せっかくの楽しい夜だったのに」
ヨハン村長「このような冷たい床で目覚めさせてしまい、すみませんね」
リアリナ・シャルルド・グレイ「ちょっと! なんなのここは!」
リアリナ・シャルルド・グレイ「今すぐに、ここから出しなさい!」
ヨハン村長「はっはは! なんとも元気のいい、お嬢さんだ」
ヨハン村長「しかし、あなたは商品。解放するわけにはいきません」
リアリナ・シャルルド・グレイ「商品・・・ですって?」
ヨハン村長「まさか、親切心で宿や酒を提供したとでも? なんと世間知らずなお嬢様でしょう」
リアリナ・シャルルド・グレイ「!」
ヨハン村長「最初から、あなたを狙ってのこと」
ヨハン村長「あなたのような高貴なお嬢さんは、高値で売れますのでね」
〇不気味
リアリナ・シャルルド・グレイ「ぞおおおおおお!!」
〇牢獄
リアリナ・シャルルド・グレイ「そ、そんなことをしたら、スタンが黙ってないわよ!」
ヨハン村長「ああ、あなたの従者たちですね。ご安心を」
ヨハン村長「彼らは、あなたを追いかけてくることはないでしょう」
ヨハン村長「この村は、行こうとしても行けぬ村」
ヨハン村長「きっと神隠しに遭ったと納得するか、白昼夢でも見たかと思うはずです」
ヨハン村長「あなたを見つけることは、できないのです」
リアリナ・シャルルド・グレイ「どういうこと・・・?」
〇空
「・・・」
〇海辺
テオフィル・ベフトン「ここは?」
テオフィル・ベフトン「スタン様! 殿下、起きてください!」
「うー。んんん。リアリナ・・・」
と、テオを砂浜に押し倒す
テオフィル・ベフトン「で、殿下! ちょっっ! 目を覚ましてください!」
テオフィル・ベフトン「酒くさっ!!」
「うううーむ」
「で、殿下! あっぁああーーー!!!」
〇海辺
スタンスラス・ブラン・エレオノール「はあ・・・。さっさと起こさないか!」
テオフィル・ベフトン「起きたくなかったのではありませんか」
テオフィル・ベフトン「欲望ダダ漏れの夢でもご覧になられていたのでは?」
テオフィル・ベフトン「・・・。 危うく、殿下とキスするところでした」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「それぐらい、別に構わんだろ。キスの一つや二つ」
テオフィル・ベフトン「殿下、経験豊富な男性を演じるのは、モテない男性がなさることです」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「い、い! 今の発言は、聞かなかったことにしてやろう」
テオフィル・ベフトン「それより、ここは一体どこでしょう?」
テオフィル・ベフトン「村は一体どこへ消えたのです? それにリアリナ様の姿がありません」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「幻だったのか?」
テオフィル・ベフトン「幻?」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「昨晩の宴だ」
テオフィル・ベフトン「幻・・・」
テオフィル・ベフトン「ではリアリナ様も幻だと?」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「そうではないか。こんな見知らぬ砂浜にいることが証拠だろう?」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「きっと夢を見ていたのだ、いや神隠しにあっていたのかもしれん」
テオフィル・ベフトン「殿下と私がですか?」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「そうだ。ここに剣があるのが証拠だ」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「物盗りが寝ている我々を襲い、この浜へと捨てたのなら、剣も宝石も馬車も奪っただろう?」
テオフィル・ベフトン「確かに、妙ですね」
テオフィル・ベフトン「しかし、昨晩私はリアリナ様とベッドで眠っていたはず」
テオフィル・ベフトン「肌に触れていた感触も残っているのに・・・」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「其方の夢の方が欲に塗れているな」
テオフィル・ベフトン「私は、殿下とは違います!」
テオフィル・ベフトン「純粋に従者としての職務で、リアリナ様を!」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「もう良い」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「案ずるな。リアリナは屋敷にいる」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「いつものように、皮肉な態度で出迎えるに違いない」
テオフィル・ベフトン「ううん?」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「さあ、行くぞ。屋敷に戻って確認しよう」
〇黒
〇牢獄
リアリナ・シャルルド・グレイ(どうしよう? このままじゃ、売り飛ばされてしまう)
リアリナ・シャルルド・グレイ「私のスローライフが。・・・ん?」
「くすん、くすん・・・」
リアリナ・シャルルド・グレイ(・・・子供?)
リアリナ・シャルルド・グレイ(こんな小さい子もさらわれたの?)
「パパ。パパ・・・」
リアリナ・シャルルド・グレイ「・・・許せない」
リアリナ・シャルルド・グレイ「こんにちは」
ミゲル「ぴゃっ!」
リアリナ・シャルルド・グレイ「私はリアリナ。あなたのお名前は?」
ミゲル「・・・ミゲル」
リアリナ・シャルルド・グレイ「ミゲル、甘いものは好き?」
ミゲル「・・・ん」
ミゲル「飴・・・?」
リアリナ・シャルルド・グレイ「この飴はね。魔法の飴なのよ」
ミゲル「魔法の・・・飴?」
リアリナ・シャルルド・グレイ「そう。目を閉じて会いたい人のことを思い浮かべるの」
リアリナ・シャルルド・グレイ「そうすると、その人が夢の中に現れてくれるのよ」
ミゲル「本当?」
リアリナ・シャルルド・グレイ「ええ本当よ、さあどうぞ」
ミゲル「うん・・・」
ミゲル「あまーい」
リアリナ・シャルルド・グレイ「さあ瞼を閉じて、会いたい人のことを考えるの」
ミゲル「・・・パパ。パパに会いたい ・・・会いたいよ。パパ・・・」
ミゲル「・・・zzz」
リアリナ・シャルルド・グレイ「眠れたみたいね」
リアリナ・シャルルド・グレイ「この子も売られてしまうなんて」
リアリナ・シャルルド・グレイ「どうにかしないと」
「あの、もしかして、リアリナ様でしょうか」
リアリナ・シャルルド・グレイ「あなたは?」
ハウゼン・ルースライト「初めましてリアリナ様。私はハウゼン・ルースライトと申します」
リアリナ・シャルルド・グレイ「どこかでお会いしたかしら?」
ハウゼン・ルースライト「いえ、こちらが一方的に知っているだけです」
リアリナ・シャルルド・グレイ「?」
ハウゼン・ルースライト「リアリナ様が王太子との婚約式で、民衆の前でご挨拶をなされた折に、お見かけして・・・」
ハウゼン・ルースライト「私のような身分の低いものから、話しかけてはならないのですが」
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