Sparking Carats!

西園寺マキア

第23章 真新しい道(脚本)

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西園寺マキア

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〇ファミリーレストランの店内
「おっつかれさまーーーーーッ!!!!」
ゆづき「こらこら、うるさいわよ」
  大声をあげたので、客の全員がこちらを見ていた
さくら「まあまあ、ゆったん大佐〜 今日は大成功だったんですからぁ」
ゆき「そうですよぉ〜」
ゆづき「ま、まぁそうね・・・」
「かんぱぁい!!!」
  客が再びこちらを見た
はるか「最後、あの4人泣きながら抱き合ってたの、見た?!」
  はるかが興奮してそう言うと、さくらが身を乗り出した
さくら「見た見た〜! あの”あやちゃん”がねぇ〜?」
???「・・・誰が、なんですって??」
  さくらのお気楽発言と同時に、ドスの効いた声が後方から聞こえてきた
さくら「げ、その声は・・・・・・」
あやか「私の話をしていたのよね? どうぞ、続けていいのよ?」
さくら「あ、あはは〜・・・」
  さくらはじりじりとボックス席の奥へ移動した
あやか「──なんて、馬鹿だったのは私の方なんだから、好きに言ってくれて構わないわよ・・・」
  あやかは深々と頭を下げた
あやか「・・・ありがとう」
あやか「あなたたちのライブのおかげで、私は・・・ いや私たちは、大事なものを思い出すことができた」
あやか「本当にありがとう あなたたちはまさしく”アイドル”だったわ」
  あやかは頭を上げてにこりと笑った
  今まで見たこともないような、柔らかな笑顔だった
はるか「あ、あやかしゃぁぁん!!!!」
ゆき「ほ、褒められた・・・! gladiolusのあやかさんに・・・?!」
  ゆきにそう言われると、あやかは少し照れくさそうな顔をして目を逸らした
あやか「そんなかしこまって呼ばないでちょうだいよ あなたたちは私の恩人で、敬われる義理なんてないわ」
はるか「じゃあじゃあ、今日から私たち、友達だね!!!」
あやか「ま、まあ、そうね・・・」
  あやかはポリポリと顔をかいた
まみこ「あはは、あやかがそんなに照れてるところ、久しぶりに見たよ!」
さくら「あれっ、りょうちゃん達もいたんだ?!」
  さくらが驚いていると、3人も頭を下げた
まみこ「みんな、本当にありがとう」
まみこ「練習で見た時よりも更にパワーアップしてて、すごかった!」
かの「私たちの大切なもの、思い出したよ 本当にありがとう」
ゆづき「いやぁ、こんな大御所から頭を下げられるなんて・・・」
ゆづき「人生ってわからないものね・・・」
  ゆづきはぽかんとした表情のまま、どさりとシートへ沈み込んだ
はるか「そういえばgladiolusのみんなも今からご飯? よければ一緒に・・・」
あやか「いえ、結構よ あなたたちにお礼を言いに来ただけなの」
あやか「・・・それともう一つ、あなたたちにお願いをしに来たのよ」
  あやかはgladiolusのみんなを一度見てから、頷いた
あやか「是非、gladiolus結成1周年記念ライブに出てもらいたくて!」
「・・・えっ」
  場の空気が一瞬止まった

〇空
「えええええ〜〜っ?!?」
  4人の声が店内をこだましたので、今度はキッチンの店員までもがこちらを向いた

〇文化祭をしている学校
  ──一時間後、打ち上げの帰り道
  学校の前を通ると、校門で佇むきりが見えた
はるか「あ、きり〜〜! 偶然だね〜、一緒に帰ろうよ〜!」
  きりははるかの声に気がつくと、こちらを向いて手を振った
はるか「なんか久しぶりだね〜 もしかして今日、ライブ見てくれてた?」
きり「うん、見てたよ すごかった」
はるか「いやぁ、照れますなぁ」
  はるかは嬉しそうに髪先をくるくるとやった
はるか「さささ、帰ろ 夜は最近冷えてきてるし、風邪ひいちゃうよ?」
きり「うん」
  2人は久しぶりに横に並んで歩き出した
  久しぶりというだけで、なんとなく照れ臭かった

〇通学路
きり「・・・はるかはなんでアイドル、やってるの」
  4番目の交差点を過ぎた時、きりが唐突に口を開いた
はるか「えっ」
きり「大会で優勝したいから?」
  きりは澄んだ金色の瞳ではるかを見た。
  はるかは少し考えたあと、口を開いた。
はるか「うーん、もちろん優勝したいけど・・・ でもね、」
はるか「見てくれる人が「楽しい」って「アイドルっていいな」って、思ってくれるステージをしたいんだ」
はるか「辛くても笑顔になれるような、「明日はきっといい日になるかも」って思えるような、というか・・・」
  はるかは少し息を整えた
はるか「もちろん、今まで全てが上手くいっていたとは思ってないよ」

〇劇場の舞台
はるか「7月の大会だって、覚悟が足らなくて、惨めな姿を見せちゃったし・・・」

〇稽古場
はるか「「楽しい」だけじゃダメだって思い知らされて、くじけた時もあった──」

〇中庭のステージ
はるか「でも今日、文化祭のステージに立って、みんなが笑顔になっていくのを見て、本当に嬉しかった 頑張ってよかったって思えた」
はるか「この波がもっと広がっていったらいいのになって、そのためにもっと頑張りたいなって思えた」

〇通学路
はるか「実はね・・・誰にも言ってなかったけど、いつか世界中のみんなに笑顔が届けられたらいいなと思って、アイドルをはじめたの」
きり「世界中に届ける?」
  はるかは少し赤面した
  自分にとって大きすぎる夢だと言うことは十も周知している
きり「世界中のみんなが、はるかを見て、笑顔になるってこと?」

〇コンサート会場
はるか「そう、アイドルってきっとそんな力を持ってると思うから・・・」

〇通学路
  きりは少しだけ目をチカチカさせた
  それから、またしばらく黙り込んでしまった
  はるかは少し心配になった
  これを今語ることは、身の程知らずだっただろうか?
  何を夢見たことを、ときりは思っているのだろうか?
  はるかはきりの横顔を見ながら、帰路をとぼとぼと歩き続けた

〇川に架かる橋
きり「ねえ、はるか」
  暫く経った頃、きりが突然立ち止まり、くるりとはるかの方へ向き直った
きり「実は私、この前のハピパレの大会の時・・・ ある女の人に話しかけられて、言われたの」

〇綺麗なコンサートホール
きり「「私たちと一緒に、あなたの夢を叶えませんか」って・・・」
きり「今日のハピパレのライブを見て、私も変わりたいって思った」
きり「わたしも、夢を叶えたいって──」

〇空
きり「──ねえ、わたしもアイドルになれるかな?」
はるか「えっ」
  予想だにしない発言を聞き、はるかは一瞬硬直した
  フリーズした頭を再稼働させて振り向くと、きりの姿は忽然と消えてしまっていた

次のエピソード:第24章 垣間見せる心

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