〇ホテルの部屋
　　2021年 イリノイ州 ウィネベーゴ郡 ロックフォード モーテルの一室
斎王幽羅「物価が高い···？観光地だから仕方ないんじゃないの？」
エンチャント魔導法士「ロックフォードは異常だ。飲食やショッピングモール、そして本来あるはずの観光資源である」
エンチャント魔導法士「博物館などの『展示物』も異様に少ないのがわかった。恐らくだが···電気や水道といった『インフラ』が高騰していると見ている」
フェード「恐らく食品の原材料も値上げしている、これがロックフォードの財政難の原因だろう」
斎王幽羅「明日行って聞いてみようよ、もしかしたらなにか解決策があるかもだし」
凪園無頼「じゃあ斎王達で行ってー？俺らは手伝いあるからそっち行くねー？」
斎王幽羅「て、手伝い···？誰の···？」
　　凪園とキング説明中...
斎王幽羅「な···なんて健気な···！うぅ···！」
鸞「お前はすーぐ泣くな···泣くほどか？」
斎王幽羅「だって！好きな女の子のためにプレゼント用のお金ちっちゃい子が稼いでるんだよ!?涙無しじゃ語れないって！」
キング「そういやこいつ子供がお使い行く番組でわんわん泣いてたな。子供が頑張る系ほんと弱いな···」
斎王幽羅「だって···だってぇ···！ズビビ···（鼻をかむ音）」
鸞「全く···で？組合はどうするんだ？誰が行くんだ？」
斎王幽羅「鸞、フェード、エンチャントさんで行ってきて！俺アレックスくんを手伝うよ！」
鸞「わかった···じゃあそういう事だ、明日はよろしくな二人とも」
エンチャント魔導法士「おう。しかし子供かぁ···ワシも育ててたな、懐かしい···」
「子供いたの!!?」
エンチャント魔導法士「血は繋がってないがな。捨て子を引き取って魔術を教えたもんだ」
斎王幽羅「意外だね···やっぱり何人も育ててたの？」
エンチャント魔導法士「魔術を教えたのは星の数程いるが、我が子のように育てたのは···『１人だけ』だな」
鸞「でも顔だけはいいんだ、上手くいけばその人とも結ばれたんじゃないか？」
エンチャント魔導法士「若い頃はソープいったりキャバ行ったりはしたが、それ以上に『喧嘩王に追いつく』事を目標にしておったからな」
エンチャント魔導法士「結婚なんて考えてなかったわ。今思えばあの子良かったなぁ···」
斎王幽羅「どんな人···？」
エンチャント魔導法士「えーと···エリザベスだろ？アマンダにイザベラ、オリビアにシオンに···あとはー···」
斎王幽羅「どんどん出てくるじゃん···」
鸞「死ねばいいのに」
エンチャント魔導法士「あとはあれだな、『夏目 柊』さん。思えばあの人にだけは···本気で『恋』をしたもんだ」
キング「じいさん、それって···『母ちゃん』じゃねえか？」
エンチャント魔導法士「そうだぞ？良い人だった···５年前ガンで亡くなったと聞いている」
エンチャント魔導法士「遺品はどうなんだ？残ってたりするのか？」
キング「いや、残っちゃいねぇよ。親父もお袋も遺品を『残さず』逝っちまったからな···」
斎王幽羅（遺品がない···？剣神は『家族の愛』に飢えていた人だったはず···なにか理由があるのかな···？）
斎王幽羅（それにずっと思ってたけど、なんで剣神は『変化武器を作ったんだ？』維持する方法も明確にせずに悪戯に作ったのか？）
斎王幽羅（いや···剣神はそんな人じゃないはず。じゃあなぜ···ん？剣神と奥さんの遺品がない···？）
斎王幽羅（剣神はともかくとしてなんで奥さんの遺品もないんだ？少しは残ってそうだけど···）
斎王幽羅（··· ··· ···）
斎王幽羅（もしかして魂の欠片って···）
斎王幽羅（『思い出』···？でも思い出を与えるってどうやるんだろ···うーん···）
キング「どうした斎王、難しい顔して。なんかあったか？」
斎王幽羅「あ、いや···なんでもないよ。じゃあ今日は寝よっか」
　　そして斎王は謎を残したまま、その日を終えた

〇大企業のオフィスビル
　　翌日 鸞、フェード、エンチャントサイド
　　３人が到着するとそこには多くの人間が入口に向かう光景があった。何でもない普通の光景だったが、３人はその場で足を止めた
鸞「７···８···９···どんどん増えていくな。なんなんだ？あいつら」
フェード「殺気を上手く隠せていないな、二流もいいとこだ。遠目だとわからんが『銃』も持ってるな」
エンチャント魔導法士「どうする？ワシらも知らん顔で正面から行くか？」
鸞「そうしよう。だがひと工夫が必要だな···」
鸞「四十雀の術（シジュウカラの術）」
　　鸞は術をかけるも特段変化はなかった。何が変わったかわからないまま、フェードとエンチャントは鸞に
　　『あるもの』を渡され、それを使いビルに入る

〇エレベーターの中
　　ロックフォード商業組合ビル エレベーター内
エンチャント魔導法士「何ともマヌケな術だが···すごいな。どうなってるんだ？」
鸞「対象と自身の間に『何か』があれば自身を『認識』できない術だ」
鸞「シジュウカラという鳥は隠れ潜みながら獲物を捕食する。だが外敵が来た時必ず『対面』になるように身を隠す」
鸞「その様子をヒントに作られた術が『四十雀（シジュウカラ）の術』だ」
フェード「まさか『下敷き』１つで潜入容易になるとは···」
鸞「一応言っておくが認識されないのは姿だけだから『声』を出せばバレる。人が来たら声は出すなよ？」
　　するとエレベーターが止まり、数名の男が乗った後最上階ボタンを押す
　　特変わった様子はなかった。皆資料を見たり、スマホを見たりと各々が過ごしていた。
　　しかし鸞とフェードは違和感に気づき、男達の様子を見ていた。エレベーターの数字が順番に点灯していく中
　　男達がバックに手に持っていたものをしまうと、鸞とフェードは最上階に着いたと同時に男達に奇襲をしかけ
　　その場で縄で縛り上げた

〇オフィスのフロア
　　ロックフォード商業組合ビル 最上階フロア
組合員「ちょっと！何をなさってるんですか!?」
鸞「こいつらのカバンを見てくれ、こいつらが『何者』なのかわかるはずだ」
　　組合員が半信半疑で男達のバッグを漁ると、中からは『コンセント』や『消音器付きの銃』等が出てきた
組合員「貴方たち···これは何!?うちは銃の持ち込み禁止だし、このコンセントも何につかうの!?」
ゲライント「何もー···なんの騒ぎなのー？」
組合員「組合長！この人達の持ち物にこんなものが!!」
ゲライント「あら···盗聴器にサプレッサー付きの銃、無線機もあるわね。企業スパイ···って感じじゃなさそうね」
鸞「ゲライント、俺達はあんたに言いたいことがあって来たが、途中でこいつらが乗ってきてな」
鸞「『全員手になにか持ちながら周囲を見渡してた』から怪しいと思って、試しに取り押さえたらこれだ」
鸞「恐らく、エレベーターで逃げる際の『逃走経路』の確認と『仕掛ける盗聴器』を取り出しやすいようにしていたんだろう」
ゲライント「ひとまず拘束は終わってるから尋問しなきゃいけないわね、今日の業務は終了にするわ。商談も全部キャンセルして」
組合員「わかりました。皆に伝えてきます」
　　組合員が走り去り、ゲライントは鸞達を社長室へ案内した。一方斎王達は・・・・・・

〇西洋の市街地
　　ロックフォード 市街地
凪園無頼「あれー？アレックスいなくねー？屋台はあんだけどなー」
斎王幽羅「本当にここなの···？場所間違えたんじゃ···」
キング「いや、ここのはずだ。あいつどこいったんだ···？もうちょっとでプレゼントに手が届くから明日も居るって···」
　　すると数十人のチンピラが斎王達を包囲し『今すぐ消えろ』と脅す。しかし斎王が２人に訳すと
　　凪園が瞬時にチンピラ達を打倒し、そのうちの一人を壁に蹴りつけ、足裏で顔を圧しながら『ここにいたガキの居場所吐けや』と脅す
　　斎王がチンピラの『知らない』という言葉を伝えると、凪園は顔面をへこむほど蹴りつけた後同じように脅す
凪園無頼「いいからササッと言えよ、こっちも暇じゃねぇんだよ···」
　　凪園の尋問が繰り返された後、チンピラは『自然公園』の方を指さした後意識を失った。凪園は他の倒れているチンピラに対して
　　『事実か？』と確認した後、皆が『YES』と答えたのを聞くと３人で自然公園の方へ向かった
　　To Be Continued··· ··· ···