読切(脚本)
〇平屋の一戸建て
マメ「ボクの名前はマメ」
マメ「お婆ちゃんと一緒に、楽しく暮らしてるよ!」
マメ「でも、 東京のマサオくんたちが、来られなくなって」
マメ「お婆ちゃんは元気がないんだ・・」
〇古いアパートの居間
プルルルル、プルルルル、プルルルル
夜、マサオくん家から電話がきた。
お婆ちゃん「もしもし?」
お婆ちゃん「そっちはどうだい?」
お婆ちゃん「ああ、そうかい・・ まだ大変なんだねぇ・・」
お婆ちゃん「こっちはマメがいるから、大丈夫だよ!」
〇古風な和室(小物無し)
お婆ちゃんは嬉しそうに話してたけど
電話を切ると、とてもさびしそうだった。
ボクは、お婆ちゃんの隣にすわった。
すると、お婆ちゃんはボクを撫でながら言ったんだ。
お婆ちゃん「ねえマメ。 東京は、まだ大変みたいだよ」
お婆ちゃん「早く、マサオたちに逢いたいねぇ」
そして、お婆ちゃんはタメ息をついた。
その時、ボクは・・
お婆ちゃんを元気にしたいって、
本気でおもったんだ!
でも、ボクに何ができるんだろう?
〇田園風景
ボクは、トモダチに聞いてみた。
まず、チャッピー。
マメ「ねえ、チャッピー」
マメ「お婆ちゃんを元気にするには、どうすればいいとおもう?」
チャッピー「うーん・・ そう言われてもねぇ・・」
チャッピー「ワタシたちにできるのは『一緒にいること』ぐらいじゃない?」
〇村の眺望
コウタにも聞いた。
コウタ「キミのお婆ちゃん、元気がないの?」
コウタ「うーん。 ボクたちにできる事かぁ」
コウタ「あ!こんなウワサを聞いたことあるよ!」
マメ「えっ、どんなウワサ?」
コウタ「うん、あのね・・」
コウタ「シブヤという街に銅像があるらしいんだけど・・」
マメ「シブヤ?銅像?」
〇和室
その日の夜。
ボクは寝たフリをして、お婆ちゃんが寝るのを待ってから、そっと起き上がった。
〇平屋の一戸建て
そして、家を抜け出して、コウタに聞いた『シブヤ』という街を目指して歩きだした。
〇田園風景
少しコワいけど・・
お婆ちゃんのために、がんばるんだ!
〇村に続くトンネル
ミカヅチ「おい!マメ。 こんな時間にどこへ行くつもりだ?」
歩いていると、ミカヅチに声をかけられた。
ミカヅチは、なぜか人の目には見えないんだ。
マメ「神様に、お婆ちゃんのことをお願いしに行くんだよ」
ミカヅチ「カミサマ?」
マメ「うん。 コウタからウワサを聞いたんだ」
マメ「シブヤにある、神様の銅像にお願いすれば、何でも叶うって」
ミカヅチ「渋谷の銅像だと?」
マメ「ハチコウ様っていうんだ」
ミカヅチ「ハチ公・・様?」
ミカヅチ「お前、渋谷がどこにあるか知ってるのか?」
ミカヅチ「とてもじゃないが、お前の足では・・ おい!マメ、待て!」
ミカヅチ「・・まったく・・頑固なヤツだ」
〇草原の道
ボクは歩きつづけた。
早くシブヤに行って、神様にお願いするんだ!
〇けもの道
ボクは、がんばって歩いた!
〇山道
シブヤを目指して、ひたすら歩いた!
〇林道
でも、歩いても歩いても、シブヤの街は見えてこない・・
ボクは、だんだん・・
つかれて・・
さびしくなって・・
お婆ちゃんに逢いたくなった。
今すぐ逢いたかった!
マメ「ウワ~ン!ウワ~ン!」
マメ「ウワ~ン!ウワ~ン!」
マメ「ウワ~ン!お婆ちゃ~ん!」
そして、ボクは泣きつかれて
その場で眠ってしまった・・・
・・・
・・・
〇林道
ミカヅチ「まったく・・」
ミカヅチ「ハチのヤツも頑固に駅に通ってたが、この子も負けてないな」
ミカヅチ「しかたない!」
〇渋谷のスクランブル交差点
・・・ボクが目を覚ますと
見たこともない世界が広がっていた!
マメ「うわぁ、スゴい!」
ここはどこなんだろう・・
いったい何が起こったんだ?
〇渋谷駅前
ボクは不安だったけど、お婆ちゃんのために、勇気を出して歩きだした!
すると、ボクの目の前に、
現れたんだ!
〇ハチ公前
マメ「あれがハチコウ様だ!」
ボクは、近づいて、
お婆ちゃんのことをお願いした!
すると、突然!
辺りが光につつまれた!
〇ハチ公前
マメ「ハチコウ様のウワサは本当だったんだ!」
マメ「これでお婆ちゃんも元気になるぞ!」
ボクは安心して、満たされた気分になった。
とっても良い気分だった!
そしたら、また眠たくなってきた・・
とっても眠たくなったんだ・・
・・・
・・・
〇ハチ公前
ミカヅチ「・・・マメ、これで満足だろう」
ミカヅチ「おい、久しぶりだな、ハチ!」
ミカヅチ「お前、いつの間にか神様にされてるぞ」
ミカヅチ「フッフッフッフッ・・」
ミカヅチ「じゃあ、また来るぞ、ハチ!」
ミカヅチ「では帰るぞ、マメ」
〇田園風景
気がつくと、ボクはお婆ちゃんの家の近くにいた・・
ボクはお婆ちゃんに逢いたくて、家まで走った!
〇平屋の一戸建て
「マメー!どこだい?」
お婆ちゃんの声が聞こえる!
お婆ちゃん「ああ!良かった!」
お婆ちゃん「マメ!いないから心配したよ! 一体どこに行ってたんだい?」
ボクは、昨夜の出来事をお婆ちゃんに話した!
マメ「ワン!ワン!ワン!ワン!ワン!」
お婆ちゃん「どうしたんだい? そんなにシッポを振って」
お婆ちゃん「嬉しいことがあったんだね!」
マメ「ワン!ワン!ワン!」
お婆ちゃん「そうかい、良かったね!」
プルルルル、プルルルル、プルルルル
お婆ちゃん「あ!電話だね」
〇古いアパートの居間
お婆ちゃん「もしもし?マサオかい? 婆ちゃんは元気だよ!」
お婆ちゃん「またマサオに逢うまで、 元気でいるよ!ありがとね!」
〇田舎道
お婆ちゃん「皆のためにも、いつまでも元気でいないとね!」
お婆ちゃん「さあマメ!元気に散歩に行くよ!」
マメ「ワン!ワン!ワン!ワン!」
お婆ちゃんが元気になって、
ボクはとっても嬉しかった!
〇平屋の一戸建て
〇村の眺望
〇田園風景
〇田舎道
〇ハチ公前
シブヤの神様
おしまい!
すごい冒険譚!びっくりしました!
絵本のような優しさあふれる物語に心が洗われました☺️
読み疲れが一切ない物語です。
やばい 犬を飼いたくなってきた。。。。 という作品です。