寂寥メッセージ

鬼金

①スマホを見るだけの仕事(脚本)

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〇汚い一人部屋
男「さて・・・始めるか」
男「しかし・・・300万って破格すぎるだろ ・・・」
  俺は今何をしているのかと言うと
  実は仕事の真っ最中なのだ
  スマホを見るだけの簡単な仕事・・・
  これだけで月に300万だ。
  『怪しい仕事じゃないか?』って?
  もちろん俺だってそう思ったさ
  でも俺はこの仕事を受ける以外に
  選択肢は残っていないんだ・・・・・・

〇総合病院
  1週間前

〇病院の診察室
男「いや〜本当にお世話になりました」
女医「退院おめでとうございます。 包帯はもう外して頂いて結構ですよ」
医者「三年間のリハビリお疲れ様でした。 もう記憶無くして、病院に来ちゃダメだからね」
男「分かってますって! それじゃあ、今までありがとうございました!!」
「お大事にね」

〇開けた交差点
男「ひゃあ〜、外は寒いな〜」
  俺はどうやら三年前に事故に遭った「らしい」
  というのも、以前事故にあった際、頭を強く打って
  記憶喪失が起きたらしく
  事故以前のことはあまり覚えてないのだ
  名前だって財布に入ってた身分証で
  分かったんだ。
  自分の名前を忘れるくらい頭を強く打って
  いたらしい
  そして、悲しいことに・・・
  誰もお見舞いには来なかった・・・
  どうやら俺は相当に孤独な人間だったらしい・・・
男「・・・でも病院で過ごした3年間は いい思い出になったな」
男「はぁ・・・・・・」
男「これから・・・・・・どうしよう・・・・・・」
男「取り敢えず、身分証に書いてある自分の 家に帰ってみるか・・・」
男「えーっと・・・・・・住所は──」
  将来の不安が頭に渦巻く中
  中性的な声が路地裏から聞こえてきた
  『お兄さんちょっといいかな』
男「うわぁ!!」
男「びっくりした!」
  『こっちだよ!こっち!』
男「俺のことか!?」
  『そうだよ!こっちだよ!』

〇ビルの裏
  薄暗い路地裏を進んで行くと
  声の主はそこに鎮座していた
占い師「やっと来てくれた」
占い師「占いしていかない? タダで占うよ」
男「・・・・・・・・・・・・」
男(ペストマスクの占い師・・・)
男(いかにも怪しいって風貌だな・・・)
男「えぇと・・・すみません 俺ちょっと急いでるんで・・・」
占い師「まあ、待ちなって」
  ペストマスクの占い師は強引に腕をつかんできた
男「ちょ、ちょっと!」
占い師「あんた、記憶ないだろ」
男「な、なんでそんなことわかるんだよ・・・」
  占いでそんなことがわかるのか・・・
  ということよりも
  占い師の放つ異様なオーラに
  俺は驚いていた
占い師「それに・・・路頭に迷っている あんたの守護霊がそう言っているんだ」
占い師「行く宛てもなく 今人生をどう生きようか悩んでいる」
占い師「違うか?」
男「それは・・・ そうだけど・・・」
占い師「私はあんたの手助けができる」
男「手助け・・・?」
占い師「そうだ 「手助け」だ」
占い師「まず手始めにあんたに 仕事を紹介してやる」
男(仕事?)
占い師「簡単な仕事さ」
占い師「あるSNSの投稿を見て その感想を1ヶ月間 私に送るってだけの仕事さ」
占い師「どうかな?」
男「・・・その・・・悪いけど。 初対面のあんたは信用ができない お誘いはうれしいが他を・・・」
占い師「報酬は300万円だ」
  占い師は指を三本立ててそう言った
男「ひと月で三百万・・・!!」
占い師「そうだ 何をしようにも お金は必要だろ?」
  正直三百万円は
  揺らいだけど・・・
  怪しすぎる
  SNSを見るだけで三百万?
  何か裏があるに違いない
男「その・・・ 考えてみたけど やっぱり、仕事は自分で探すよ」
占い師「そうか・・・ 残念だ・・・」
占い師「ただ・・・」
占い師「あんたはこの仕事を 絶対に受けることになる」
占い師「そういう ”運命”なのさ」
男「それも守護霊が言ってるのか?」
占い師「その通りだ だからこれを持っておきたまえ 私の連絡先だ」
占い師「仕事がしたくなったら いつでもかけてこい」
男「そりゃ、どうも それじゃあ 俺は行くんで」
占い師「待て」
占い師「最後に少しいいか・・・ あんたは・・・」
占い師「『金ヶ谷絵美』・・・・・・ を知っているか?」
男「あいにく俺は記憶がないんでね・・・ 人探しは力になれないぞ?」
男「それじゃあ」
占い師「・・・そうか 引き留めて・・・ 悪かった・・・」
占い師「・・・・・・」
占い師「くそっ・・・!」

次のエピソード:②誰と誰

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