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第57話 ロックフォード商業組合(脚本)

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〇店の休憩室
  2021年 イリノイ州 デュページ郡 氷壁に覆われた街 仮設休憩所
エル・シッド「戻ったぞー、なんか分かったことあったか?」
現場監督「はい、人攫いの噂ですが···広めたのは紅色派らしいです。コンキスタドール建設内部で衝突を起こす目的だそうで」
エル・シッド「ふーん···他組織に警告は出したか?」
現場監督「先程来た者に報せました、すぐに全組織に伝わるかと」
エル・シッド「りょーかい。じゃあ···斎王達に礼をしたいんだが、斎王達は他組織の噂を確かめるのが目的で動いてる。なんかないか?」
現場監督「それなら1つ···ロックフォード商業組合について」
現場監督「組合の資金が毎月『赤字』になってるそうで···」
斎王幽羅「別に普通じゃないですか?」
現場監督「いや、組合はそれぞれの店舗から利益の数%を貰うことで各店舗の保険や教育に金を回すんだ」
現場監督「だから言ってしまえば貰った金を貰った分しか使ってないはずなんだ」
斎王幽羅「確かにそれはおかしいですね···あ、でも今って不景気だし赤字になってもおかしくないんじゃ···」
現場監督「組合を始めてからずっとそうならいいが、ゲライントさんは組合を始めてから一度も『赤字』にしていない」
現場監督「ここ数ヶ月で赤字が急にではじめたらしくてな···どこかの店が違法なことをやってる可能性があるって噂が立ってる」
エンチャント魔導法士「考えられるのは『市場独占』だが、あれは組合と共謀しなきゃ成立せん」
斎王幽羅「組合の内部に裏切り者がいるのかも···また紅色派がいるかもしれないし、行ってみよう」
エル・シッド「ならアタシもついて行く、一緒にいた方が話通しやすいだろ?」
斎王幽羅「助かります、エル・シッドさん」
エル・シッド「硬ぇ硬ぇ、タメ口でいいぜ?斎王」
斎王幽羅「うん···ありがとうね、エル・シッド」

〇小さい会議室
  ウィネベーゴ郡 ロックフォード 商業組合ビル 会議室
エル・シッド「つーわけだからよ、よろしく頼むぜ?一応ボスの命令だから拒否んのはナシな?」
ゲライント「んもう!エルちゃんはいっつも急ね!一応ボスに確認しておくからね?」
エル・シッド「あいよ!じゃあアタシは現場戻るから後はよろしくなー!」
ゲライント「全く勝手なんだから!ごめん斎王クン、色々急だったでしょ?少しの間ここで休んでていいからね?」
斎王幽羅「あ、はい。お気づかいなく···」
  そう言いながらゲライントは怒りながら、部屋を出る。するとエンチャントが話し始めた
エンチャント魔導法士「コンキスタドール建設の時もそうだったが···『リーダーの周りは同じ人種』に偏っているな」
エンチャント魔導法士「ここに来るまでにさらっとオフィスの奴らを見たがパッと見『イギリス人』が多いように見えたな」
斎王幽羅「でも街だと多種多様な人種が多かったよね?なんでなんだろう···」
エンチャント魔導法士「ここが『シカゴ』だからだろ。空港も近いし、博物館や植物園といった観光施設も充実しているしな」
斎王幽羅「え?ここってロックフォードじゃないの?何が違うの···?」
エンチャント魔導法士「シカゴってのは日本で言う『●●市』、そしてその中にある街の名前がロックフォードっていう事だ。わかったか?」
斎王幽羅「へぇ~···あれ?そういえばだけどエル・シッドの部下ってスペイン語喋ってたけど、あれスペイン人ってことなの?」
エンチャント魔導法士「いや、南米系とあの現場監督が話していたぞ。まぁ『移民問題』があるからな···労働力も欲しいだろうからな」
斎王幽羅「どういうこと···?」
フェード「アメリカは多くの移民で成り立っている移民大国だ。だが近年、不法移民や移民の法律違反も多く」
フェード「アメリカも増え続ける移民に対して手を焼いてる始末。そこで移民を受け入れ規制や法改正をして移民を追い出す州もあるくらいでな」
フェード「そんな中イリノイ州は南米系の移民を受け入れている···と言う事だ。合ってるか?エンチャント」
エンチャント魔導法士「合ってるぞ。南米系は移民の半数を占めているくらい多くてな、その分文化の違いに馴染めずホームレスになる奴も多いんだ」
エンチャント魔導法士「エル・シッドにそのつもりは無いかもしれんが、『スペイン語を話せる』というのはそういう点ではいい所ではあるな」
フェード「エクアドル、コスタリカ、キューバ等は公用語が『スペイン語』だからな。言葉の壁がなく、南米系の移民でも働きやすいんだろう」
フェード「というかエル・シッドはなんでスペイン語を話すんだ?一応英語も話せるんだろ?」
キング「前に聞いたことあるな···確か『かっけーじゃん!スペイン語!』って言ってたな」
フェード「そ、そんな理由だったのか··· ··· ···」
キング「まぁ一部の変化武器は関連する土地の言語を理解出来る奴もいてな、ゲライントなんかそうだぜ?」
キング「あいつ教わってもいないのに英語話せたしな。エル・シッドもそんな感じで何となく覚えてたのもあるんじゃねえのか?」
  そんなこんなで皆で話していると、一人の女性が会議室へ入ってくる
組合員「大変お待たせしました、組合長からお話は伺いました。今回貴方々を管理、サポートさせていただく『オリヴィア・カービー』です」
組合員「今回我が組合の問題解決に当たってしていただくこと、それは··· ··· ···」

〇西洋の市街地
  市街地
斎王幽羅「まさか『町内を巡回する』のが仕事だなんて···ていうかこれ警察の仕事じゃない?」
鸞「本来はそうだな。だが俺たちに回ってきたってことは···」
斎王幽羅「警察は別の用で動けないって事?でも街はそこまで騒がしくないけど···」
凪園無頼「つーかキング遅くね?何してるワケー?」
斎王幽羅「ゲライントさんが個人的に話しておきたいことがあるってキングと話してるんだけど···」
斎王幽羅「皆先に行ってていいよ。俺ここでキング待ってるから」
鸞「わかった、一応何かあったらそこに止まってる『カラス』に言ってくれ。すぐに連絡出来るように伝えておく」
斎王幽羅「わかった。じゃあ皆よろしくね」

〇応接室
  応接室
キング「んで?斎王達抜きで話すんだ、余程のことなんだろうな?」
ゲライント「えぇ···実はね?キング」
ゲライント「私達『変化武器の錆を治す方法』を見つけたの」
キング「何だと!?じゃあ···炉郷荘にいる皆を治せるのか···!?」
  キングの喜びの様子とは引き換えに、ゲライントは暗い表情をしながらキングに話す
ゲライント「それがそうでもないのよ···治し方は『魂の欠片をもう一度入れる』事なんだけど、『魂の欠片』が何なのかボスもわかってないの」
ゲライント「それにこの魂の欠片も『誰の』っていう指摘がないから、もしかしてパパのものだったらって考えたら···」
キング「クソ親父め···なんで分かりやすくしねえんだよ!つーかどこで見つけたんだ?」
ゲライント「『イギリス』よ。 ドーズマリー・プールって言う所、なんの場所か分かるわよね?」
キング「アーサー王伝説でアーサー王が泉の乙女から聖剣を貰った場所だ。『聖杯の泉』にあったのかよ···」
キング「というかイギリス組はどうした?先行して行ってるはずだろ」
ゲライント「分からないわ。私たちイギリス組の救難信号を見つけて行ったんだけど『誰もいなかったの』」
キング「イギリス組って確かゲオルギウスと ベオウルフはいたよな?あいつらも人間に追い込まれたのか?」
ゲライント「わからないわ···到着したら『誰もいなかった』のよ」
キング「は?じゃあ戦ったかどうかも分かんねえってことか?」
ゲライント「えぇ、マーリンも『痕跡がない以上探しようがない』って諦めていたわ」
  キングはそんなゲライントの言葉を受け、自身の無力さに拳を握り歯噛みしていた。そんな中ゲライントは続ける
ゲライント「キング、私パパが変化武器を作るところを『1回だけ』見たことがあるの」
ゲライント「その時パパはポケットから『何か』を取り出して、武器に与えていたわ」
ゲライント「多分だけど魂の欠片は『身体的な物』じゃないと思うわ。キングは何か心当たりとかある?」
キング「いやねぇな··· ··· ···というかお前はどうなんだ?氷帝に伝えてんだろ?色々試さなかったのかよ」
ゲライント「『とっくにやってるわよ』。それでも変化がないからこうして頭悩ませてるんじゃない」
ゲライント「まぁいいわ、ひとまずそっちでも色々と試して頂戴。お願いね?」
  To Be Continued··· ··· ···

次のエピソード:第58話 街の風景

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