Xヒーロー

語り部

第56話 残された指(脚本)

Xヒーロー

語り部

今すぐ読む

Xヒーロー
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇川沿いの道
  2021年 イリノイ州 デュページ郡 ネイパービル 氷壁に覆われた街 市街地前
エル・シッド「オラオラオラァ!かかって来いクズ鉄共、全員スクラップにしてやるよォ!」
  先程までアナザー達が避けていた弾丸、たかが気持ちの変化で変わるはずがない事象
  しかし、一体···また一体と、確実に『被弾』の数が増えていく。アナザー達は自身で弾道の演算を繰り返しながら回避を試みるが
  いくら演算をしても『弾道』は回避できず、被弾の数が増える一方だった
アナザー「回避不可能、本体の攻撃に切り替え。格闘モードに移行します」
  アナザー達は拳を構えながらエル・シッドに近づくも、エル・シッドの弾丸はアナザー達をより『正確』に捉えた
エル・シッド「てめぇの方から突っ込んでくれて助かるぜ!そんなに弾喰らいてぇなら遠慮すんな、アタシはオーバーヒートしねぇからよ!」
  群がるアナザー達に放たれる破壊の弾丸、だが一向に数が減らないアナザー達に対してエル・シッドは確かに『消耗』をしていた
エル・シッド「クソっ···数が減らねえ··· ··· ···っ!しまっ···!」
  そしてエル・シッドはアナザー達に両腕を掴まれ、アナザーが手刀をエル・シッドの首に振り下ろそうとした瞬間
エル・シッド「悪ぃボス···アタシじゃアナザー共相手しきれなかった」
  エル・シッドがそう言うとアナザー達は一瞬で凍った。男が現れるとアナザー達は踵を返し、逃げようとした
  だが、男はそれを許さない。アナザー達の前には氷の壁が瞬時に作られアナザー達はレーザービームを撃つも
  レーザービームは氷の『中』を反射し『宝石』のような輝きを魅せる
鬼月冷羅「通常氷は光をある程度内部で反射させ続ける事で輝く、宝石が光を当てると綺麗に見えるのと同じ原理だ」
鬼月冷羅「だが俺の氷は喧嘩王の光すら『閉じ込められる』。お前らのような紛い物が撃つレーザービームなぞ『喧嘩王の足元にも及ばない』」
鬼月冷羅「フィンガーズは誰も欠けてはいけない···どれかひとつでも欠ければ革命軍名残り雪は瓦解する、だからこそ···俺は····」
鬼月冷羅「頼が残した『名残り雪』と己の『指』を失う訳には行かん」
  冷羅がアナザー達をひと睨みするとアナザー達は一瞬で全身が凍り、その場で氷が砕け散る
  冷羅は転がっているアナザー達の傷跡を見て、倒れていた凪園に近づき話しかける
鬼月冷羅「お前が···あれをやったのか?どうやったか説明しろ」
凪園無頼「ビートで···風起こして··· ··· ···蹴っただけだけど?」
鬼月冷羅「ビートか···懐かしい戦闘法だな。呼吸によって星のエネルギーを吸い、万物の基本物質『火、水、土、風、空』のどれかを操る」
鬼月冷羅「常人では操るどころか、高威力のモノを出すことすら不可能だが···こんな『災害級』の風を起こし、味方無傷」
鬼月冷羅「相当鍛錬をしているようだな。だが今のお前は『物足りない』という顔をしている、なぜだ?」
凪園無頼「当たり前···じゃね?俺には目標とかやりてー事とかあるし」
鬼月冷羅「ほう?じゃあその目標とかいうのを聞かせてくれ」
凪園無頼「じーちゃんの『不帝勇歩』を越えること、会長の願いである『先代Xヒーロー以上の偉業』を成す事、んでー···」
凪園無頼「『斎王達守ることかなー』。皆が歯が立たねえ強敵を俺1人で倒せるくらいの強さになればかっけーじゃん?」
凪園無頼「その為には対軍技のアストライア・ゼピュロスと対人技のケイローン・ボレアースをもっと鍛えながら新しい技も研究しなきゃだし」
鬼月冷羅「『てんびん座の西風』と『いて座の北風』か···ふっ、いい名前だな」
鬼月冷羅「だがな···若造『技』に囚われるな。技だけではどうにもできない時が来る」
鬼月冷羅「『ただの前蹴りで強敵をビビらせろ』。神王さんが不帝さんに言った言葉だ、心に留めておけ」
凪園無頼「ただの前蹴りで···強敵をビビらせろ···か。うん、頑張ってみるねー?」
  すると斎王が姿を現し冷羅に礼を言う。しかしそんな斎王を見て、冷羅はこんな言葉を放つ
鬼月冷羅「まだ覚醒能力のコントロールができないか?そんなんだと仲間の『足でまとい』になるぞ」
斎王幽羅「う、うん···ごめん···でも繊細でコントロールが難しいんだ。どうすればいいのかな···?」
鬼月冷羅「『感情』だ。感情を昂らせる事によってコントロールが容易になる、だが···簡単なことじゃない」
鬼月冷羅「幽羅、思い出を作れ。思い出が『力』になる」
鬼月冷羅「俺はコントロールをする時『雪羅が産まれた時』を思い浮かべている。お前にとって『幸福な思い出』がコントロールのカギだ」
斎王幽羅「幸福な思い出··· ··· ···わかった、心がけてみるよ」
鬼月冷羅「どうだエル・シッド、俺の孫は修羅場をくぐったことの無いルーキーだったか?」
エル・シッド「いいや···こいつと接しててわかったけど、斎王は色んな修羅場くぐって来た『イカした男』さ」
エル・シッド「キングがこいつに惚れるのも頷けるよ、斎王には···『人を支える力』がある」
エル・シッド「どんな奴でもこいつは寄り添って支えてくれる。それが心の安定に繋がって、本来の力を発揮出来る」
エル・シッド「正直斎王がいなかったらアタシはくたばってたと思うぜ?だからよ、あんがとな斎王」
斎王幽羅「大丈夫だよ。あの時エル・シッドさんの表情に余裕がなかったように見えたから、俺がなにかしてあげられないかな?と思って」
斎王幽羅「そうして出た言葉だから、それで心の支えになったって思ってくれたんだったら良かったよ」
  すると遠くから鸞達がこちらに向かって走ってきた。どうやら紅色派との戦闘が片付いた様子だった
  鸞達は斎王の無事を喜んでおり、同時に凪園の大技を見たかったとも話した。斎王がふと周りを見るとそこ冷羅の姿は無かった
エル・シッド「そうだ!斎王達に礼をしてやらねぇとな、うーん···あ、メシでもいくか!?」
斎王幽羅「それもいいけど···フィンガーズが統率している他組織の『問題』を教えて欲しい」
  To Be Continued··· ··· ···

次のエピソード:第57話 ロックフォード商業組合

成分キーワード

ページTOPへ