算用合って銭足らず

ましまる

富本銭(脚本)

算用合って銭足らず

ましまる

今すぐ読む

算用合って銭足らず
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇学校の部室
せんせー「で、そもそもどうして 和同開珎の話になったの・・・?」
ぶちょー「それは、ウチの母親が・・・・・・」
ぶちょー「・・・・・・という話でして」
せんせー「あー、ある一定の年代以上の方は 「日本最古の貨幣は和同開珎」って 叩き込まれているからね」
ぶちょー「ということは、富本銭は 最近になって発見されたのですか?」
せんせー「いえ、富本銭の存在は 江戸時代から認識されていたわよ」
ぶちょー「えっ、そんな古くから・・・!?」
せんせー「しかも、1990年代には 藤原京跡から相次いで出土しているのよ」
るる「ふじわらきょー・・・?」
せんせー「あっ、平城京に遷都する前の都のことね」
せんせー「天武天皇の時代に造営が着手され、 妻の持統天皇のときに完成・遷都されたわ」
せんせー「ちなみに、この天武天皇なんだけど、」
せんせー「額田王という女性を愛していたけど 彼女を兄の天智天皇(中大兄皇子)に NTRされたことで有名な御方なのよ」
ぶちょー「・・・そんな補足情報いりません」
せんせー「それはさておき、その後の調査で 富本銭は天武天皇の頃に鋳造されたと 推定されて、」
せんせー「その結果、日本最古の貨幣と 見なされるようになったという訳ね」
ぶちょー「なるほど・・・」
ぶちょー「でも、そこから教科書内容の変更まで 結構な年数が経っていますよね?」
せんせー「あー、それはね・・・」
せんせー「富本銭を ”厭勝銭” とする学説が根強く なかなか流通貨幣と認められなかったのよ」
せんせー「この ”厭勝銭” 説は 今でも有力な学説とされているわよ」
るる「せんせー、字が難しくて読めません・・・」
せんせー「ああ、コレはね、 「ようしょうせん」や 「えんしょうせん」や 「あっしょうせん」と読まれているから、」
せんせー「そんな感じで、好きに読むといいわよ」
ぶちょー「・・・そんなテキトーな」
ぶちょー「というより、その ”厭勝銭” って いったい何なんですか?」
せんせー「一言で表現すれば 「おまじないアイテム」ね」
ぶちょー「えっ!?」
せんせー「貨幣には呪術的な力が備わっていると 考えられていたために、」
せんせー「古い時代には、災いを祓うことを目的に ”厭勝銭” が作られていたのよ」
せんせー「中国では、それより数百年も前から よく作られていたみたいだから、」
せんせー「富本銭も、そんな感じの貨幣だったと 考えられたってコトね」
るる「ふぇー!?」
せんせー「”厭勝銭” と似たようなものとして、 中国では ”慶祝銭” も作られていたわよ」
せんせー「これはお祝いごとがあったときに 作られる、いわばラッキーアイテムね」
るる「昔のお金って パワーストーンみたいな感じなのかな?」
せんせー「そんな扱いだったのかもしれないわね」
ぶちょー「せんせー、2つほど質問いいですか?」
ぶちょー「まずは、交換ツールにすぎない貨幣が ”厭勝銭” や ”慶祝銭” というアイテムに なったのは、何か理由があるのですか?」
ぶちょー「そして、もうひとつ・・・」
ぶちょー「富本銭は、貨幣として普通に使われたのか あるいは ”厭勝銭” だったのでしょうか?」
せんせー「なかなかヘビーな質問ね」
せんせー「最初の質問は次回に話すとして まずは二つ目の質問から・・・」
せんせー「富本銭は流通貨幣として使用された 「可能性が高い」と考えられるわ」
せんせー「断定こそできないけど 発掘状況から、結構な規模での鋳造が 当時に行われていたことが窺えるので」
せんせー「富本銭は一般流通を想定していた貨幣で あったことが推察できるわ」
ぶちょー「なるほど」
せんせー「そして、富本銭の名前の由来がね、」
せんせー「『芸文類聚』所引『東観漢記』の 「富民之本在於食貨」 (民を富ますの本は食貨に在り)」
せんせー「という流通経済に関する文章からだから」
せんせー「少なくとも国は流通貨幣として 富本銭を鋳造したと考えるのが自然ね」
るる「せんせー、質問ですー!」
るる「さっきの「所引」って何ですかー?」
せんせー「あぁ、「引くところの」と読むのよ」
せんせー「“『X』所引『Y』” で 「Xが引用するYの文」って意味になるわ」
るる「・・・よくわからない」
せんせー「そうね、「富本」の由来は もともと『東観漢記』の文言なんだけど」
せんせー「『東観漢記』は現存していない書物のため 現代人は読むことができないのよ」
せんせー「だから『芸文類聚』の中で引用している 『東観漢記』の文を参照したってことなの」
せんせー「これは孫引きのときの定番の表現ね」
ぶちょー「また、ずいぶんと細かい話ですね」
ぶちょー「そこまで説明する必要がありましたか?」
せんせー「だって、先日このバカ作者が上梓した話が」
せんせー「他人の引用方法の誤りとか誤字とかを ただひたすら非難し続ける内容でね」
ぶちょー「ホント、最ッ低の人間ですよね!」
せんせー「だから、自分自身もちゃんとせねば、と 変なスイッチが入ったんじゃないの?」
ぶちょー「この作者って、どう頑張っても マトモな文章を書けないレベルなのに・・」
せんせー「そうなのよ、バカ作者は先日も、」
せんせー「「将来に向き合って」という文章を」
せんせー「「将来に剥き合って」と誤字っているわよ」
ぶちょー「うわぁ・・・」
るる「将来に向けて 男同士でムキムキし合ったんですねー!!」
ぶちょー「変な表現はやめてっ!」
  ※ この誤字のやらかし、実話です・・・

次のエピソード:貨幣とは

コメント

  • 富本銭について、そこまで詳しくは知りませんでした。(というか名前くらいしか知らない…) 今回はほぼ勉強の会でしたね。興味深い内容でした。

  • パワーストーン的な役割りも果たしてたんですね〜🤔✨面白いですね、重厚な話書く方の創作のネタにピッタリそう✨ワクワクします✨
    しかし天武天皇兄弟でNTRですか…🤤たまんね…いやそれは辛い🤤
    るるちゃん寄りで、はえ〜✨言いながら見させて頂いてますがムキムキするのは、わかる!!とガタッとなりましたwましまるさんのスマホと友達になれます…😂✨

  • 現存しない書物が気になりますね。
    焼けちゃったのかな?
    由緒正しきどこかの家の蔵の奥に保存されてたりしないかなぁ…

    向き合ってという言葉、変換候補に剥き合うなんて出てこないんですけどましまるさんのスマホはどうなっちゃったんですか😭下ネタ仕様に特化しちゃったんですかね😭♡優秀ですね。

コメントをもっと見る(5件)

ページTOPへ