Sparking Carats!

西園寺マキア

第18章 希望のリズム(脚本)

Sparking Carats!

西園寺マキア

今すぐ読む

Sparking Carats!
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇大劇場の舞台
「あ、ありがとうございましたっ!」
  大会も中盤になり、ハピパレの出番がどんどんと近づいてきた

〇舞台袖
ゆづき「みんな、緊張してない?」
はるか「もちろん緊張してるけど・・・」
はるか「それよりも、早くステージに立ちたい! 新しい衣装で踊るのが楽しみだよ!」
  舞台裏にスポットライトの光が漏れている
  新しい衣装がこのスポットライトに当たって輝くのが、楽しみで仕方がなかった
さくら「あたしも、なんだか楽しみだなあ!」
ゆき「私も・・・ なんだか、楽しくアイドルやってた頃を思い出すよ」
  4人は目を見合わせた
  心が一つになっているような感覚だ
アナウンス「──19番、「Happy♡Parade」!」
  アナウンスの呼ぶ声がする
はるか「よしっ、みんないくよ!」
「うん!!!!」

〇劇場の舞台
  4人は舞台上へ駆け出した
  観客席にあるいくつもの目が、こちらを見ているのを感じる
  でももう怖くない──

〇劇場の舞台
  照明が落ちた
  4人はスタート位置につく
  目は見えないが、お互いの呼吸は聞こえる
  「大丈夫」、そんな気がした

〇劇場の舞台
  イントロが流れて、照明がついた
はるか「銀河を流れてゆく──」
  ワンフレーズ歌うと、最前列の女の子がにこりと笑顔になったのが見えた
  嬉しい、楽しい、もっと歌いたい、もっと届けたい──
  ターンをすると、みんなが笑顔で歌っているのが見えた
  もっとできる、もっと羽ばたける、もっと笑顔を届けられる──
  もっと、もっと、もっと────

〇劇場の舞台
  ──気づくと、アウトロが流れ終わっていた
  息を切らした3人の呼吸が聞こえる
「ありがとうございましたっ!」
  観客が完成であふれた
  客席中が笑顔だ
はるか「う、あ、ありがとうございましたっ!」
ゆづき「泣くのは早いってば」
  4人は観客席を見渡した
  自分の努力が人々の笑顔になることが、
  嬉しくて、誇らしくて、楽しくて、胸がいっぱいだった

〇ファミリーレストランの店内
  ──数時間後
「かんぱーいっ!!!」
  4人はファミレスで乾杯していた
ゆづき「いやぁ、本当に優勝できてしまうとは・・・」
さくら「当然だよね、ゆきちゃ~ん?」
ゆき「まあ・・・」

〇劇場の舞台
はるか「あ"り"か"と"う"こ"さ"い"ま"す"ゥ~~~!!!!!」
ゆき「授賞式以外は良かったんじゃない・・・?」

〇劇場の楽屋
作曲者「必ず、御チームにピッタリな曲を書いてみませますから!」
ゆづき「作曲者の原口さんも、よさげな人だったわよね!」

〇ファミリーレストランの店内
はるか「でも、まだスタートラインに立ったばかり!」
  はるかは勢いよく宣言すると、飲み終わったコップを机の上にゴン、と置いた
はるか「やっと希望が見えて来たんだもん、この調子で頑張っていこう!」
「頑張ろう! かんぱ~いっ!!!」
  4人はまたも乾杯を交わした
  入店してから5回は乾杯している
さくら「そういえば、りょうちゃんが見に来てくれていたみたいなんだよね」
  さくらはコップのジュースを一気に飲み干すと、思い出したように言った
ゆき「えっ、gladiolusが観に来てたの!?」
さくら「4人で来てたかはわからないけどね・・・」
ゆづき「私たちのステージ、何か言ってた?」
さくら「うーん、それが・・・」

〇空
さくら「本番前にメッセくれた後、まったく連絡がとれないんだよね──」

〇公園の入り口
  ──同時刻、公園
りょう「すごかったね・・・」
りょう「そりゃもちろん、まだまだ改善の余地はあるけどさ、なんていうか・・・」
まみこ「「アイドル」だった・・・」
  二人は再び口をつぐんだ
  ハピパレには自分たちの持っていない「何か」があると感じていた
  でもそれが「何」なのか、自分たちはいつ「それ」を忘れてしまったのか──
まみこ「私たち、やっぱりこのままじゃいけないよ」
りょう「うん、技術だけ磨いたって何にもならないんじゃないか、というか・・・」
  りょうは下を向いて指先をいじった
  「ではどうしたらいいのか」という答えはない
  しばしの沈黙ののち、まみこがゆっくりと口を開いた
まみこ「実は私、あの子たちに言われたの」

〇稽古場
はるか「必ず、あやかさんを笑顔にして見せますから!」

〇公園の入り口
まみこ「『9月の文化祭を見に来てほしい』って、 『そこで必ずあやかを笑顔にして見せるから』って・・・」
まみこ「最初は思ったの ”実力の伴わない新人チームがあやかの心を動かせるわけがない”って」
まみこ「でも今日のステージを見て、もしかしたらって思った・・・」
  まみこの言葉は段々と小さくなり、消えた
りょう「・・・そうだったんだね」
りょう「私も今話を聞いて、もしかしたらって思っちゃった・・・」
  りょうの言葉を聞いて、まみこが顔をあげた
まみこ「──ねえ、今日の練習を抜けちゃったのをちゃんと謝ってさ、あやかを説得してみない・・・?」

〇大劇場の舞台
まみこ「「Happy♡Paradeのライブを見に行こう」って──」
まみこ「「そうしたらきっと何かが変わるよ」って────」

〇空
まみこ「私たちの希望は、もうあの子たちしかいないんだよ・・・」

次のエピソード:第19章 可能性に賭ける

成分キーワード

ページTOPへ