叫んじゃうほど愛おしい

無知の無知

エピソード43 「もうすぐ二年生」(脚本)

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〇教室
やっと出てきた先生「それでは、これで最後のホームルームを終わります。二年生の最初にも課題提出があるので、気を付けてくださいね」
やっと出てきた先生「それでは、春休みを楽しく、安全に、過ごしてくださいね!」
南沢 香(みなみさわ かおり) 「じゃあ、私達は部活に行ってくるね!」
東条 風(とうじょう ふう)「じゃあ、また!」
西條 園(さいじょう その)「うん、またね!」
北原 そら(きたはら そら)「また」
西條 園(さいじょう その)「じゃあ、帰ろっか、そら」
北原 そら(きたはら そら)「そうだな」

〇更衣室
高ノ宮 百合(たかのみや ゆり)「うぅ、もうすぐ新入生が来るぅ・・・」
高ノ宮 百合(たかのみや ゆり)「ゲ□吐きそう・・・」
夏海 涼花(なつみ すずか)「ゆ、百合隊長! 隊長が・・・」
夏海 涼花(なつみ すずか)「二年生、直ちに掃除準備っ!!」
東条 風(とうじょう ふう)「はい、ちりとり持ってきますっ!!」
南沢 香(みなみさわ かおり)「いや、そもそも吐かないでくださいね?」
高ノ宮 百合(たかのみや ゆり)「それにしても、二人も先輩になるんだね」
夏海 涼花(なつみ すずか)「先輩の道は大変だぞ~」
南沢 香(みなみさわ かおり)「先輩ですかぁ、ちょっと緊張します」
東条 風(とうじょう ふう)「どんな一年生が来るんだろう・・・」
夏海 涼花(なつみ すずか)「大丈夫でしょ~、二人はテニスうまいから」
高ノ宮 百合(たかのみや ゆり)「私達でも先輩になれたんだから、そんなに心配しなくていいわよ」
高ノ宮 百合(たかのみや ゆり)「って、油断してたらダメだからね! 自分達は自分達の道を切り拓きなさいっ!!」
夏海 涼花(なつみ すずか)「油断してんじゃねーよだよ~」
東条 風(とうじょう ふう)「えぇ、慰められて怒られたっ!?」
南沢 香(みなみさわ かおり)「なんか最近、怒られてる回数多い気がする・・・」
高ノ宮 百合(たかのみや ゆり)「まぁまぁ、冗談はこの辺にして。二人はどう? 二年生になる感覚は」
南沢 香(みなみさわ かおり)「私は、ちょっと寂しいです。今のクラス、好きだったので・・・」
高ノ宮 百合(たかのみや ゆり)「そっかぁ。わかるかも、私も二年生になる時は寂しかったなぁ」
夏海 涼花(なつみ すずか)「私は、百合と同じクラスになったから幸せだった~」
高ノ宮 百合(たかのみや ゆり)「バカ、そういうこと言わないの」
南沢 香(みなみさわ かおり)「惚気られてるぅ・・・」
高ノ宮 百合(たかのみや ゆり)「風ちゃんは、どう?」
東条 風(とうじょう ふう)「私は、ですね・・・」

〇学校脇の道
西條 園(さいじょう その)「今日で、学校最後かぁ・・・」
北原 そら(きたはら そら)「まぁ、少し休んだら二年生だ。すぐにいつもの生活が戻るぞ」
西條 園(さいじょう その)「でも、今のクラスが終わるからなぁ・・・」
長沼 美沙(ながぬま みさ)「走ってきたのは美沙だよぉ~」
西條 園(さいじょう その)「あ、美沙ちゃん」
北原 そら(きたはら そら)「美沙野郎だ」
長沼 美沙(ながぬま みさ)「なんか、二人とも真剣そうな顔をしてたね~。何の話をしてたの~?」
北原 そら(きたはら そら)「エロい話をしてた」
長沼 美沙(ながぬま みさ)「えちえちかぁ~」
西條 園(さいじょう その)「美沙ちゃん、違うよっ!? 違うからねっ!?」
西條 園(さいじょう その)「私達、もうそろそろ二年生になるなぁって話をしてたの」
西條 園(さいじょう その)「今のクラスが終わっちゃうなぁって」
長沼 美沙(ながぬま みさ)「そっかぁ、風ちゃんと園ちゃん、仲良かったからねぇ」
長沼 美沙(ながぬま みさ)「私も、寂しいよぉ。推しカップルが無くなるかもしれないから」
北原 そら(きたはら そら)「推されていたのか、二人は」
長沼 美沙(ながぬま みさ)「でも、新しいクラスには新しい出会いがある! それが楽しみでもあるんだぁ~」
西條 園(さいじょう その)「そっか、美沙ちゃんの言う通りかも。楽しみも、あるもんね」
長沼 美沙(ながぬま みさ)「そらちゃんはどう? 実は寂しかったり?」
北原 そら(きたはら そら)「まさか、友人など付加価値でしかない。居ないなら居ないで、構わない」
北原 そら(きたはら そら)「・・・まぁ、その付加価値が無くなるというのは物悲しいな」
長沼 美沙(ながぬま みさ)「やっぱり、寂しいんじゃ~ん」
長沼 美沙(ながぬま みさ)「園ちゃんは、大丈夫?」
西條 園(さいじょう その)「私? 私はねぇ・・・」

〇更衣室
東条 風(とうじょう ふう)「やっぱり、私はこのクラスで園と一番仲良くなったので、違うクラスになるのは寂しいんですけど・・・」
東条 風(とうじょう ふう)「でも、これはこれでアリかなって、思っています」
高ノ宮 百合(たかのみや ゆり)「へぇ、そうなの。意外!」
東条 風(とうじょう ふう)「最初に園に会った時、凄い可愛い人だなぁって思って。こんな人と友達になれたらいいなぁって思っちゃって」
東条 風(とうじょう ふう)「それが、今では何も気を張らずに喋れるようになれて、幸せです!」
東条 風(とうじょう ふう)「もし、違うクラスになってとしても、今みたいに放課後に遊んだり出来ると思うので、大丈夫です!」
高ノ宮 百合(たかのみや ゆり)「そっか、思ったよりも元気で良かった!」
夏海 涼花(なつみ すずか)「うちも、百合と違うクラスでもよく遊んでいたからね~、意外と平気だよ~」
東条 風(とうじょう ふう)「ですよね、良かった~!」
南沢 香(みなみさわ かおり)「風がそう思っていたなんて、知らなかった。初めて聞いたかも」
東条 風(とうじょう ふう)「そうだね。香には話した事、無いかも」
南沢 香(みなみさわ かおり)「そっかぁ・・・」

〇学校脇の道
西條 園(さいじょう その)「私は、風とは別のクラスになっても、いいかなって」
長沼 美沙(ながぬま みさ)「えぇ~、意外~!」
西條 園(さいじょう その)「本当はね、風とはもっと仲良くなりたいって思っているの。これが、本音なんだけど・・・」
西條 園(さいじょう その)「私って昔、よく付き合ってすぐ別れるみたいな事を何度もしちゃってたから・・・」
西條 園(さいじょう その)「だから、今ぐらいの仲でずっと居れたらなぁとも思っちゃってて」
長沼 美沙(ながぬま みさ)「そかそか~。なんか、頭の中で勝手に二人の事くっつけちゃってた~。園ちゃんの考えも知らずに、ごめんねぇ~」
西條 園(さいじょう その)「ううん、大丈夫! 頭の中では、いつもえちえちだから~!」
長沼 美沙(ながぬま みさ)「私と一緒だ~! 良かった~!」
北原 そら(きたはら そら)「色欲の亡者共め」
西條 園(さいじょう その)「だから、別のクラスになっても大丈夫! 風とはこれからも、仲良しでいるから!」
長沼 美沙(ながぬま みさ)「わかった! じゃあ私、この先も二人の事をじゃんじゃん推すね~!」
西條 園(さいじょう その)「その時は、写真、お願いね~!」
長沼 美沙(ながぬま みさ)「もちろ~ん!」
北原 そら(きたはら そら)「・・・・・・」

〇大きな木のある校舎
南沢 香(みなみさわ かおり)「風、ちょっと気になったんだけどさ・・・」
東条 風(とうじょう ふう)「香、どうしたの?」
南沢 香(みなみさわ かおり)「さっきの話は、全部本音? 嘘はついてないと思ってるけど・・・」
東条 風(とうじょう ふう)「うん、8割ぐらいは本音!」
東条 風(とうじょう ふう)「・・・本当は、もうちょい寂しい」
南沢 香(みなみさわ かおり)「なんだ、やっぱり寂しかったんだ」
東条 風(とうじょう ふう)「もちろんだよ、凄い仲良かったクラスだもん。園はもちろんだけど、そらとか、他の人とも凄い仲良かったから」
東条 風(とうじょう ふう)「でも、クラス分けがさ。特に園は理系で私は文系。同じクラスになれる可能性って低いからさぁ・・・」
南沢 香(みなみさわ かおり)「そっか・・・。文理混合は1クラスだけだったっけ」
東条 風(とうじょう ふう)「そうなんだよね。だから、ほとんど同じクラスになれる可能性が無いの」
東条 風(とうじょう ふう)「でも、切り替えていかないと! あんまり寂しがっていても、しょうがないかなって」
南沢 香(みなみさわ かおり)「そっか、思ったよりも落ち込んで無くて良かった!」
南沢 香(みなみさわ かおり)「私なんて、寂しいなぁ、寂しいなぁって気持ちでいっぱいだからさ」
東条 風(とうじょう ふう)「香は、私以上にこういうの弱いもんね」
東条 風(とうじょう ふう)「だから、この休み中はみんなでいっぱい遊ぼっ!!」
南沢 香(みなみさわ かおり)「うん、そうだね!!」
南沢 香(みなみさわ かおり)「そっか・・・」

〇開けた交差点
北原 そら(きたはら そら)「お主、さっきの話は真実か?」
西條 園(さいじょう その)「そら、どうしたの?」
北原 そら(きたはら そら)「なんか、お主らしくないなぁと」
西條 園(さいじょう その)「半分以上は本当だよ~。ちょっとだけ、言っていない事があるけど」
北原 そら(きたはら そら)「言っていないこと?」
西條 園(さいじょう その)「やっぱり風とはもっと、もっと仲良くなりたい。これは、このクラスになった時からずっと思ってる」
西條 園(さいじょう その)「本音を言うとね、一線を超えたいって思ってるほど・・・」
北原 そら(きたはら そら)「・・・そうか」
西條 園(さいじょう その)「でも、私達はやっぱり友達だし、風もそんな経験無いと思うから」
西條 園(さいじょう その)「そこまで求めちゃうのは、ちょっと欲張り過ぎかなって」
北原 そら(きたはら そら)「欲張り過ぎでは無いと思うがな。風も、そう思っているかもしれない」
北原 そら(きたはら そら)「というより、常に欲張って生きるのが、お主だろ」
西條 園(さいじょう その)「そんなこと無いし!  私、おしとやかだもんっ!!」
西條 園(さいじょう その)「でも、風も同じ事を思ってくれてるかもしれないのも、本当だよね」
西條 園(さいじょう その)「そら、ありがとう。もうちょっと、考えてみるね」
北原 そら(きたはら そら)「うむ、頼んだぞ」
西條 園(さいじょう その)「大丈夫! もし何も出来なくても、クラス別々になっても、風とはこれからもいっぱい遊ぶから!!」
北原 そら(きたはら そら)「・・・そうだな」
西條 園(さいじょう その)「だから、私は平気! 安心して!」
北原 そら(きたはら そら)「・・・うむ」

〇黒
東条 風(とうじょう ふう)(・・・これで、)
西條 園(さいじょう その)(さいごかぁ・・・)
  エピソード43
  「もうすぐ二年生」
  ~ 完 ~

次のエピソード:エピソード44 「・・・大好き」

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