過去の記憶(脚本)
〇中庭
小鈴「うっ・・・怖い・・・ママ・・・どこ・・・」
美幸「あら・・・お母さんと離れちゃったの?」
小鈴(人間・・・怖いっ)
小鈴「近寄るな!!」
美幸「大丈夫、私は貴女を傷付けないよ。 私は美幸、貴女を助けたいの」
小鈴(あれ、この人石投げてこない・・・)
美幸「雷怖いね・・・とりあえず家に行こうか」
小鈴(この人暖かい・・・)
〇女の子の一人部屋
美幸「ミルク飲む?」
小鈴(暖かくて美味しい)
美幸「可愛い・・・ずっと一緒にいたい・・・」
美幸「ペット禁止マンションだし私の収入だけじゃこの子養えないかな・・・」
美幸「大丈夫、あなたを見捨てない。 あ、お兄ちゃんなら飼えるかも」
美幸「お兄ちゃん優しくていい人よ。 稼いでるからいい暮らしできると思うよ」
龍友「美幸、どうしたんだよ?こんな時間に・・・」
美幸「お兄ちゃん・・・お願いがあるんだけど・・・」
龍友「生活が苦しいのか?今月母さん達に仕送りしたから・・・少しだけなら支援できるけど・・・」
美幸「違うの。猫飼わない? 凄く可愛い黒猫ちゃんだよ」
龍友「お前な・・・また拾ったのか?言っただろ、中途半端に関わるなって・・・」
龍友「助けるのが悪いとは言わないけど・・・手出したら最後まで責任持てよ。 中途半端な事して可哀想なのは猫だ」
美幸「分かってるけど・・・この子親がいなくて・・・雷なってるし・・・」
美幸「マンションペット禁止だし私の収入で養えないから・・・ほら、可愛くない?」
龍友「はぁ・・・わかった、引き取るけど・・・休みの日は会いに来て世話する事、何があっても見捨てないと約束な」
美幸「うん!約束する、よかったね、小鈴」
龍友「明日迎えに行くから」
美幸「うん、待ってる」
小鈴は優しい人に拾われて、幸せな時を短いながら過ごせていた
〇おしゃれなリビングダイニング
現在
龍友「優里花、優里花」
優里花「ん・・・龍友・・・?」
龍友「リビングで寝るなんて珍しいな・・・疲れてたのか?」
優里花「いつの間にか寝ちゃった」
優里花(なんで小鈴だった時の記憶が蘇ったんだろう)
優里花「ねぇ、龍友には美幸って妹いたよね?」
龍友「え、話した事あったけ・・・居たけど・・・美幸は1年前に亡くなってる」
優里花「え・・・亡くなったの?」
龍友「ストーカーされてて警察にも相談したんだが相手されなくて・・・ストーカー野郎に刺されたんだ」
優里花「酷い・・・」
龍友「俺も助けてやれなかった・・・小鈴が亡くなって1ヶ月後だったから流石に応えた・・・」
優里花「龍友・・・ごめんなさい、悲しい事思い出させて」
龍友「や、こうして話す方が気が楽だ。 今は優里花がいるから大丈夫だ」
優里花「龍友・・・私は居なくならないからね」
龍友「優里花」
優里花「龍友を悲しませたくないわ」
龍友「ありがとう、俺も優里花を悲しませないよ」
龍友「よし、今日は俺が飯作るから期待してくれ」
優里花「うん、楽しみ」
龍友は多くの者を失ってきたが、優里花と出会えて悲しみが薄れていた
けれど、小鈴や美幸を忘れる事は無い。
優里花と幸せに過ごすことを望んでいた
切なく悲しい話ですね!
可愛いペットの話かと思ったら、その裏に日本の暗部が見え隠れします。
ストーカーの刺殺や貧困など・・・今の日本の抱えた暗さが出ていて意外でした。
リアルさがあるだけに、安らぎや優しさが染みますね。