Sparking Carats!

西園寺マキア

第14章 真っすぐだった道(脚本)

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西園寺マキア

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〇稽古場
まみこ「そうして結成したのが「gladiolus」でした」
まみこ「大手事務所で鍛錬を積んだあやかの指導は確かに厳しかった」

〇稽古場
まみこ「でもみんなが同じ目標に向けて、高みを目指して楽しく頑張れていました」
まみこ「それが・・・」

〇大劇場の舞台
大会の司会者「優勝は──「gladiolus」!」
まみこ「「勝利」を重ねれば重ねるほど、あやかは点数に固執するようになっていきました」

〇稽古場
あやか「採点基準が一部変わったわ 印刷してきたから、明日までに頭に叩き込んで」
まみこ「あやか、明日は模試があるんだよ 覚えてる暇なんてないよ・・・」
あやか「あなたの覚悟はそんなものってこと?」

〇稽古場
かの「あのね、あやちゃん 新曲はこういう衣装が良いなって思うんだけど・・・」
あやか「・・・そんな中途半端なコンセプトで、点数を稼げるとでも思ったの?」
かの「そうだよね、ごめん・・・」

〇稽古場
まみこ「CRESCENTを超えるトップアイドルになろう・・・ そう誓ったのは私です」
まみこ「でもその言葉にとらわれて、あやかは最近楽しそうじゃないんです いつも追い込まれているような印象で──」
まみこ「昔のように楽しく4人でいられたら──っていう思いは、もう叶わないのでしょうか・・・」
  そこまで一気に言い終わると、まみこはうなだれてしまった。
ゆき「そうだったんですね・・・ でも、どうしたら──」
  一同がうーんと頭をひねった後、ゆづきがゆっくりと口を開いた。
ゆづき「あやかさんは苦しんでいるんじゃないかしら」
ゆき「苦しんでる・・・?」

〇月夜
ゆづき「最近のCRESCENTの躍進は目を見張るものがあるし、実力だって洗練され続けてる」
ゆづき「他のトップレベルのチームだって、どんどん実力を上げてきてるわよね」

〇謁見の間
ゆづき「その中でトップに立たなければというプレッシャー」

〇大劇場の舞台
ゆづき「勝ち続けたことで周囲に期待され、「もう負けられない」という気持ちもあるでしょうね」

〇黒背景
ゆづき「彼女は暗闇を走る暴走列車に、独りで乗っているような感覚かもしれないわ・・・」

〇稽古場
はるか「あやかさんはもう、アイドル楽しくないのかな?」
ゆき「それは・・・」
  ゆきは口をつぐんだ。
  きっと彼女は、もう「楽しい」「楽しくない」の境地にはいないのだろう。
はるか「苦しみながらアイドルをしているなんて、そんなの嫌だよ・・・」
はるか「うち、あやかさんにもう一度「アイドルって楽しい!」って思ってほしい」
ゆづき「でも、どうやって・・・?」
  はるかは目を閉じた。

〇コンサート会場

〇稽古場
はるか「ライブする」
  はるかが堂々と言い切ったので、ゆきとゆづきは困ったように目を見合わせた。
ゆづき「私たちのライブを見てもらうってこと!?」
はるか「そういうこと!」
はるか「うちらのライブを見て、楽しいって気持ちを思い出してもらいたいの」
ゆき「そんなの無茶よ! あやかさんは実力チームのリーダーなのよ!」
はるか「そんなの関係ないよ!」

〇コンサート会場
はるか「きっとあやかさんだって、」
はるか「最初は「楽しい」って、そう思ってたはずだもん!」

〇稽古場
はるか「うち、やってみせる あやかさんに「楽しい」って思ってもらえるようなステージを!」
はるか「みんな、協力してくれる・・・?」
  はるかが尋ねると、二人は一瞬きょとんとしたが、すぐに笑顔になった。
ゆづき「もちろん! 私だってあやかさんを助けたい!」
ゆき「本気でやるつもりなのね?」
はるか「当たり前だよ!」
ゆき「わかった、ならやってみましょう それに、一度くらいgladiolusに認めてもらわなくちゃ、始まらないわよね?」
はるか「みんな・・・!」
  3人は目を見合わせた。
  過酷な道のりになることは容易く想像がつく。
  だが、3人には「それでもやりきってみせる」という意思があった。
まみこ「本当に大丈夫なんでしょうか・・・?」
はるか「もちろん不安はあります、でも・・・」
はるか「やってみなくちゃわからないですよね!」
まみこ「そうか・・・ そうですよね・・・!」
  まみこはそういうと、決心したように鞄からチラシを取り出した。
はるか「これは・・・?」
まみこ「今度の10月、gladiolusのニ周年記念ライブがあるんです」
まみこ「とても大切なライブなんです なのに、今みたいな気持ちでステージに上がりたくない」

〇公園の入り口
あやか「初めて夢を語り合ったあの日のように」
まみこ「まっすぐな気持ちでステージに上がりたいんです・・・」

〇稽古場
はるか「わかりました 10月までに必ずライブします」
ゆづき「なら、9月の文化祭でライブしない?」
ゆづき「大会で、っていうのもなんだか違う気がするし、自主ライブを開けるほどの経済力もないし・・・」

〇中庭のステージ
ゆづき「うちの学校は文化祭の規模も大きいし、ちょうどいいかなって思うんだけど・・・ どうかな?」

〇稽古場
はるか「わかった 文化祭で必ずライブしよう!」
はるか「必ず、あやかさんを笑顔にして見せますから!」

〇空
ゆづき「──とは言ったものの」

〇学校の部室
ゆづき「最後までまみこさん、顔が暗かったわね・・・」
ゆき「ま、そりゃそうでしょうね・・・ 実力の伴わない新人チームじゃ、って思うわよ絶対」
  月曜日、ハピパレの四人は部室に集まってさくらに事の経緯を説明していた。
  話を聞けば聞くほど、さくらの顔は青ざめていた。
さくら「あぁ、あたし失礼なこと言っちゃったなぁ・・・」
はるか「でもうち、さくらが言ったこと、全てが間違いじゃないって思うんだ」
はるか「苦しみながらアイドルするなんて、そんなの違うよ・・・」
さくら「カゴちゃん・・・」
はるか「だからこそ、私たちのライブで「楽しい」っていう気持ちを思い出してもらいたいの!」
  はるかがそう言うと、ゆきが「さあさあ」と言いながらホワイトボードをたたいた。
ゆき「今から9月の文化祭に向けて、今までよりもっと頑張らないといけないわよ」
ゆき「あやかさんの心を動かすのは、大会優勝よりも難しいことかもしれない」
ゆき「だからそのために、まず必要なのは何なのか考えたの」
ゆき「それは・・・」
ゆき「新曲よ!」

〇空
「新曲!?!?」

次のエピソード:第15章 打開策が羅針盤

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