Sparking Carats!

西園寺マキア

第13章 まだ見えぬ声(脚本)

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西園寺マキア

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〇稽古場
さくら「こんなの、アイドルでもなんでもない!」
あやか「・・・な、なんですって?」
  さくらが大声をあげたので、会場中のすべてが静まり返った。
さくら「こんなのアイドルじゃない、って言ってるんだよ!」
さくら「あたしは、ハピパレをこんなチームにしたくない!」
あやか「じゃああなた達のお粗末なステージはいったい何?!」
  再びあやかが声を荒げたので、ギャラリーは一斉にあやかの方を見た。
さくら「それは・・・そうだけど・・・」
あやか「──私は何度も失敗してきた」

〇コンサート会場
あやか「何度も何度も・・・」

〇ホールの舞台袖
あやか「何度も──」

〇稽古場
あやか「何も知らないあなた達に、とやかく言われる筋合いなんてどこにもないわ!!」
  あやかは大声でそう言い残すと、嵐のように会場から出ていってしまった。
かの「待って、あやちゃん・・・!」
「・・・」
  会場は静まり返ったままだった。
りょう「と、とりあえず、本日の公開練習はここまでとします・・・」
りょう「ご来場いただき、ありがとうございました・・・」
  りょうが震える声でそう言うと、ひとりふたりとギャラリーが会場を後にした。
さくら「ごめん・・・ あ、あたし────」
りょう「あっ・・・さくちゃん!」
  さくらは唇を震わせてそう言うと、追いかけたりょうと一緒に出ていってしまった。
まみこ「ごめんなさい・・・」
ゆづき「いいえ、あなたが謝ることじゃないんです、えっと──」
まみこ「まみこです あやかの小学校のころからの親友なんです・・・」
  まみこはそう言うと、会場の床にへたりと座り込んだ。
まみこ「最近のあやか、ずっとおかしいんです・・・ ピリピリしてて、一緒にいても全然楽しそうじゃなくて・・・」
ゆき「何か・・・あったんですか?」
まみこ「──元々、私たちは「勝つ」ために結成したチームでした」

〇教室
  ──2年前
あやか「えっ・・・本当?!」
まみこ「どうしたの? そんな大声あげて」
あやか「事務所のオーディション番組へ参加できることになった・・・」
まみこ「え、本当に!?」
まみこ「すごいじゃん、やっと成果が出たんだね、おめでとう!」
まみこ「CRESCENTの現事務所──サルビアプロダクションの練習生として何年も頑張っていたあやかに、」
まみこ「ようやくデビューのチャンスが舞い込んできたことがあったんです」

〇地球
まみこ「それはCRESCENTを誕生させるためのオーディション番組「ミルキーウェイ」への出演」
まみこ「出演する練習生30人のうち、勝ち残った者だけが「CRESCENT」としてデビューできる・・・そういう番組でした」

〇殺風景な部屋
先生「はい、またズレてるわ どうして一日何時間もレッスンして、揃えられないの?」
あやか「すみません、明日までには必ず・・・」
まみこ「過酷な練習生生活に何年も耐えて・・・」
練習生「ねえ、知ってる? あの子、今度デビュー組に合流するって」
あやか「えっ、そうなの? 昨日まで一緒にレッスンしてたのに・・・」
まみこ「周りがどんどんデビューしていくのにも耐えて・・・」

〇教室
まみこ「そんなあやかをずっと横で見てきたから、私も嬉しかったんです」
まみこ「今度こそはうまくいくよ、って二人で笑い合いました」

〇コンサート会場
まみこ「その言葉通りに、あやかはファイナルまでとんとん拍子に駒を進めました」
あやか「応援してくださり、ありがとうございます!」
まみこ「ファイナルのステージで歌うあやかはとても輝いていました 他の練習生たち中でも、ダントツで上手だったと思います」
まみこ「でも、現実は──」
司会者「「CRESCENT」としてデビューするのは・・・!」

〇ホールの舞台袖
あやか「そんな、どうして・・・!」
まみこ「デビューメンバーの中に、あやかの名前はありませんでした」

〇劇場の楽屋
あやか「どうして私は落ちたんですか?! ダンスも歌も、完ぺきだった・・・!」
むつみ「それでも、あなたにはまだ「実力」が足りていません」
あやか「そんなの・・・納得できません!」
まみこ「もちろん要望が通るはずもなく、あやかは事務所から退所してしまいました」

〇公園の入り口
あやか「私はこれから、どうしたらいいの・・・」
まみこ「オーディションの日の夜、私はあやかを慰めていました」
あやか「こんなにも努力してきたあやかを見捨てるなんて、神様はなんて奴だと思いました」
まみこ「──でもそんなとき、とある出会いが訪れたんです」
???「あの、あやかさんですか?」
りょう「やっぱりそうだ、あやかさんだ」
あやか「失礼ですが、どなた・・・?」
まみこ「それは、かのとりょうちゃんでした」
かの「私たち、あやかさんのファンなんです」
りょう「番組をずっと見ていて、完ぺきなステージを毎回披露してくれるあやかさんに憧れてたんです」
あやか「ありがとう・・・ でも私は落ちてしまった──私には才能が無かったんだわ」
あやか「誰の心も動かすことができない、いらないアイドルなのよ・・・」
まみこ「そんなことない!」
まみこ「あやかがすっかり意気消沈しているのを見て、私はいてもたってもいられなくなりました」
まみこ「私は小さい頃からあやかのステージを見てきて、ずっと凄いなって思ってた」
まみこ「どんな時も挫けず、気高く、前を向いて踊るあやかが好きだった」
まみこ「今だって、あやかのステージを見て凄いって思ってくれた子たちがここにいてくれてるじゃん」
まみこ「だから「才能がない」だなんて言わないでよ・・・」
りょう「そうです、どこまでいっても私たちはあやかさんのファンなんです!」
かの「CRESCENTなんて打ち負かせるくらい、あなたは魅力的なんです!」
あやか「みんな・・・」
まみこ「そうしてみんなが賛同してくれて、私はひとつ決心がついたんです」
まみこ「ねえあやか、一緒にCRESCENTを打ち負かさない?」
あやか「えっ・・・?」
まみこ「みんなでアイドルチームを組もうよ そしていつか、CRESCENTが及ばないようなトップアイドルになるの」
まみこ「一緒にダイヤモンドアイドルを目指そうよ!」
あやか「まみこ・・・!」
まみこ「私は思い出したんです ダイヤフェスが復活開催されることを・・・」
まみこ「そしてきっとあやかなら、ダイヤフェスの頂点に立てる才能があるのではないかと・・・ そう思ったんです」
りょう「私たちも、力にならせてください!」
かの「私も・・・!」

〇空
「よし、アイドルチーム結成ね!」
まみこ「こうして私たちはアイドルチームを結成しました」
まみこ「もちろんその目的は、「CRESCENTを超えるため」・・・」
まみこ「それが、私たちの全てでした」

次のエピソード:第14章 真っすぐだった道

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