父、帰りたい

makihide00

第10話 父、まもりたい(脚本)

父、帰りたい

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〇草原の一軒家

〇畳敷きの大広間
ハルオ「おー、まだ住めそうじゃないか」
ハルオ「・・・雨漏りはひどいがな」
ハルオ「・・・やっぱり、ここにいたか」
アミ「・・・」
ハルオ「・・・懐かしいな」
ハルオ「この柱・・・アミとケンの誕生日に 毎年身長を測って・・・」
ハルオ「まだ印が残ってらぁ・・・」
ハルオ「アミ」
ハルオ「お前の今の気持ち ・・・正直に聞かせてくれ」
アミ「・・・」
アミ「・・・パパが遭難して、いなくなって」
アミ「わたし、なかなか立ち直れなかった」
アミ「時間が経つにつれて、 表向きは少し立ち直ったつもりでも」
アミ「ふとした瞬間にパパを思い出して・・・ なかなか前に進めなくてさ」
ハルオ「・・・」
アミ「・・・でも、ママはそのうち アンドロイドに夢中になって」
アミ「ケンはまだ幼いから、 新しいパパができたって 無邪気に喜んで・・・」
アミ「家族でタワマンに引っ越して、 環境はどんどん変わっていくのに」
アミ「わたしだけ・・・あの日から 時計が止まったみたいで・・・」
ハルオ「・・・だから、 あの古時計をタワマンに?」
アミ「・・・うん」
アミ「なんか、このままだと家族が バラバラになっちゃう気がして」

〇畳敷きの大広間
ユキエ「アミ、どうしても持っていくの?」
アミ「・・・うん」
アミ「この時計があったら・・・ 帰ってくる気がするの」
ユキエ「帰ってくるって・・・パパが?」
アミ「・・・」
ユキエ「アミ、気持ちはわかるけど・・・」
アミ「なんでそんな簡単に諦められるの!?」
アミ「イケオジアンドロイドがいるから?」
アミ「もうママにとって、 パパはあのアンドロイドなの?」
アミ「アンドロイドと イチャイチャできれば幸せ・・・」
ユキエ「アミ! やめなさい!」
アミ「・・・ごめん」
ケン「パパ! 新しい家には おっきいテレビがあるの?」
ハルオ(アンドロイド)「ありますよー! ケンの部屋だってありまーす」
ケン「わーいわーい!」
アミ「・・・」

〇畳敷きの大広間
アミ「そんな止まったわたしの時計を また動かしてくれたのがムバ君だった」
アミ「ムバ君の見せてくれる世界は、 いつもキラキラしてて・・・」
アミ「本当に楽しくて・・・」
アミ「もう、家族のことは忘れて、この幸せに 身を委ねてしまおうって思ってた」
ハルオ「・・・だったら、結婚を断る必要なんて」
アミ「だからなんでそんなこと言うの!」
アミ「・・・あー、もういい」
アミ「わたしはパパが帰ってきて、 心の底からうれしいの!!」
アミ「だから、パパと・・・家族と・・・ 今は一緒にいたい」
アミ「もう一回・・・あの頃みたいに みんなで笑いたい」
アミ「それに勝る幸せなんて・・・ないよ」
ハルオ「・・・」
ハルオ「アミ・・・」
アミ「でもさ、いざ本当にパパが 生きて帰ってきたとなるとね」
アミ「なかなか素直になれなくて、 ついそっけなくしちゃって・・・」
ハルオ「・・・ま、そりゃ当然だ」
ハルオ「あー、娘にこんなこと言わせて、 俺はやっぱり父親失格だな・・・」
ハルオ「でもな、きっとママもな・・・ アミと同じでツラかったんだよ」
ハルオ「あのタワマンに帰った時、思った・・・」
ハルオ「あんな立派な仏壇に俺の遺影があってさ、 ピカピカでホコリひとつなくて・・・」
ハルオ「そしてその周りには、ドライフラワー」
ハルオ「あの花は・・・」

〇草原の一軒家
ユキエ「・・・これでよし!」
ハルオ「おー、またなにか植えたのか?」
ユキエ「ええ、これでまた 春には花いっぱいになるわ」
ハルオ「楽しみだな・・・」

〇畳敷きの大広間
ハルオ「あの花は、 この家の庭に咲いていたもの・・・」
ハルオ「ママはママなりに、 パパやこの家の思い出をしっかり 胸に抱えていたんだと思うぞ」
アミ「・・・」
ハルオ「・・・人にもいろいろあって」
ハルオ「思いをずっと引きずる人もいれば、 気持ちを切り替えるために 環境を変えて進もうとする人もいる」
ハルオ「・・・秘めた思いは同じでもな」
ハルオ「きっと、アミとママもそれだけの違いさ」
ハルオ「パパは・・・幸せ者だよ」
ハルオ「・・・さ、湿っぽいのはもうやめ!」
ハルオ「じきにママ達が車で来てくれる」
ハルオ「それまで・・・」
ハルオ「久しぶりにもう少し話をしようか」
アミ「・・・うん」
アミ「えっ?」

〇畳敷きの大広間
アミ「停電?」
ハルオ「なんだこの揺れは・・・?」

〇草原の一軒家

〇畳敷きの大広間
ハルオ「まさか・・・竜巻?」
アミ「パパ! 窓が!」
ハルオ「アミ、危ない!」

〇黒
アミ「パパー!」
ハルオ「アミーーーーーッ!!」

〇黒
  次回予告

〇荒地
ハルオ(アンドロイド)「ユキエ! 私の背中のボタンを3つ同時に押して!」

〇病院の待合室
ユキエ「私が・・・悪いの・・・」

〇病室のベッド
アミ「・・・パパは?」

〇黒

〇黒
  最終話 父、フライハイ
  お楽しみに!
  ※なお、次回の内容は
  予告から変更になることがあります

次のエピソード:最終話 父、フライハイ

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