父、帰りたい

makihide00

最終話 父、フライハイ(脚本)

父、帰りたい

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〇荒地
ユキエ「・・・ああ」
ユキエ「あ・・・あ・・・ああ・・・」
ハルオ(アンドロイド)「・・・なんてことだ」
ケン「家が・・・ぺしゃんこ・・・」
ユキエ「・・・こ、これ!」
ユキエ「パパの・・・靴よ」
ケン「も、もしかして、中に?」
ユキエ「バパー! アミー!」
ハルオ(アンドロイド)「・・・ユキエ」
ハルオ(アンドロイド)「私の背中にあるボタンを 3つ同時に押してください!」
ユキエ「・・・は?」
ハルオ(アンドロイド)「いいから! 急いで!」
ユキエ「こ、これで・・・いい?」
ハルオ(アンドロイド)「・・・リミッター、解除」
ハルオ(アンドロイド)「はあああああっ!!」
ハルオ(アンドロイド)「・・・必ず助け出す」
ハルオ(アンドロイド)「うおおおおおっ!!」
ユキエ「ハ、ハリーに こんな力があったなんて・・・」
ケン「スーパーサ○ヤ人みたい・・・!」
ハルオ(アンドロイド)「・・・いました」
ユキエ「パ、バパッ!!」
ユキエ「アミは? アミはいる!?」
ハルオ(アンドロイド)「・・・いますよ」
ハルオ(アンドロイド)「ハルオさんの・・・カラダの下に」
ユキエ「・・・」
ユキエ「パパ・・・きっとアミを・・・」

〇病院の待合室
ユキエ「・・・」
ハルオ(アンドロイド)「・・・どうでした?」
ユキエ「アミは・・・いずれ意識が戻るだろうって」
ユキエ「でも・・・パパは・・・」
ユキエ「内臓の損傷が激しくて・・・ 朝まで持つか・・・どうか・・・」
ユキエ「・・・わたしのせい」
ユキエ「わたしが・・・悪いの・・・!」
ハルオ(アンドロイド)「・・・ユキエ、自分を責めないで」
ユキエ「わたし、アミの気持ち、わかってた」
ユキエ「でも、パパがいなくなって、 なんとか前に進まなきゃって、 懸命にもがいて、もがいて・・・」
ユキエ「結果的に、あの子の気持ちを 置き去りにしてしまった」
ユキエ「もっとちゃんと、 寄り添ってやればよかった・・・」
ユキエ「そうすれば、きっとこんなことには・・・」
ハルオ(アンドロイド)「・・・ユキエ」
ユキエ「・・・イヤよ」
ユキエ「バパが帰ってきてくれて・・・ さぁこれからって時に」
ユキエ「またいなくなるなんて・・・」
ユキエ「イヤよ・・・パパ」
ユキエ「パパ! パパ・・・ああ・・・!」
ハルオ(アンドロイド)「・・・」
ハルオ(アンドロイド)「ひとつ、提案があります」

〇黒
ハルオ「おう、アミ!」
ハルオ「・・・ん?そろそろ 学校から帰ってくる頃かと思ってな」
ハルオ「・・・傘、忘れたろ?」
ハルオ「さ、一緒に帰ろう・・・」

〇病室のベッド
アミ「・・・パパ!」
ユキエ「アミ!」
ユキエ「よかった・・・」
アミ「わたし・・・家の下敷きに・・・」
ユキエ「ええ・・・でも、奇跡的に 軽い骨折だけで済んだわ」
ユキエ「一週間ほどで退院できるみたい」
アミ「・・・パパは?」
ユキエ「・・・パパはね」
ユキエ「今、違う場所で治療を受けてるわ」
ユキエ「半年・・・ いや、もっとかかるかもしれない」
アミ「そんなに!?」
ユキエ「ええ・・・でも、絶対に帰ってくる」
ユキエ「・・・だって、3年間遭難したって あの人、ちゃんと帰ってきたんだから!」
アミ「・・・ま、そうだね」
アミ「生命力ハンパないもんねー、バパ」
「・・・アハハッ!」

〇グラウンドのトラック
「それでは、続いての種目・・・ 親子二人三脚でーす!」
ケン「いくよっ・・・」
ハルオ「ああ・・・」
ケン「パパ、去年は転んで最下位だったけど、 今年はそんなことないよね?」
ハルオ「・・・当然だろ」
ユキエ「ケンー! パパー! しっかりー!」
アミ「がんばってー」
「それでは、第一組、スタートです!」
「・・・位置について」
「よーい・・・」
「イチニッ、イチニッ!」
「大浜親子、速い! 速すぎる!」
ハルオ「おい、ケン! 俺の背中の3つのボタン、同時に押せ!」
ケン「え? え、え・・・」
ケン「これでいいの?」
ハルオ「・・・リミッター、解除」
ハルオ「はあああああっ!!」
ハルオ「・・・ケン、しっかり捕まってろ!」
ハルオ「うおおおおおっ!!」
「あーっと! 大浜パパ! ・・・と、とんだぁーっ!」

〇空
ケン「うわぁっ! そ、空をとんでる!」
ハルオ「ハハッ! どうだ、ぶっちぎりの一等賞だ!」

〇グラウンドのトラック
アミ「・・・いや、失格でしょ?」
ユキエ「もう・・・パパったら張り切りすぎ!」
ユキエ「・・・」

〇病院の待合室
ユキエ「・・・そんなこと、本当にできるの?」
ユキエ「ハリーのカラダの回路を パパに移植するだなんて・・・」
ハルオ(アンドロイド)「成功するかは五分五分です」
ハルオ(アンドロイド)「ですが、人間とアンドロイドの融合は 日々研究が進められています」
ハルオ(アンドロイド)「・・・今はそれに賭けるしかないでしょう」
ユキエ「でも・・・そうなったらハリーは・・・」
ハルオ(アンドロイド)「・・・わたしはハルオさんのアンドロイド」
ハルオ(アンドロイド)「本人が存在するなら、身代わりはいらない」
ハルオ(アンドロイド)「それに・・・」
ハルオ(アンドロイド)「今、家族のために必要なのは・・・ わたしではないでしょう?」
ユキエ「ハリー・・・」
ハルオ(アンドロイド)「アンドロイドのわたしを夫にしてくれて」
ハルオ(アンドロイド)「父親にしてくれて・・・」
ハルオ(アンドロイド)「家族になってくれて・・・ありがとう!!」

〇グラウンドのトラック
ユキエ「ハリー・・・」
ユキエ「ありがとう、本当に・・・」

〇空
ケン「ちょ、ちょっと! どこまでいくの?」
ハルオ「・・・さぁな」
ハルオ「ノイマン王国まで行って、 アミの元カレをびっくりさせてやるか?」
ケン「・・・ノイマン王国って、どこ?」
ハルオ「・・・」
ハルオ「わかんねぇっ!!」
ケン「もー、なんだよそれー!」

〇黒
  父、帰りたい

〇オフィスのフロア
ハルオ「・・・」
ハルオ「くらうど?」
小野寺「おいおい、しっかりしてくれ! エグゼクティブプロデューサー!」
中林「・・・ITの知識も 移植してもらえばよかったのに」
ハルオ「なんだと!」
中林「冗談、冗談・・・」
「ハハハッ!」

〇タワーマンション
金山「ええ〜っ!!」
金山「あのご主人、アンドロイドだったの!?」
ユキエ「え、ええ・・・で、まぁ、いろいろあって この人も今はアンドロイドで・・・」
金山「・・・時代ねぇ」
金山「アタシも買っちゃおうかしら、 イケオジアンドロイド!」
ハルオ「・・・やめといたほうが」
ユキエ「シーッ!」

〇コインパーキング
ムバンべ「・・・お久しぶりデース」
アミ「ムバ君!」
ムバンべ「仕事の関係でニホンに立ち寄りマシター」
ハルオ「・・・またアミを第7夫人にとか 言うんじゃないだろうな?」
ムバンべ「イエ・・・」
ムバンべ「今は妻が9人イルノデ、 第10夫人にナリマース」
アミ「第10・・・!」
ハルオ「お前・・・どんだけだよ?」

〇草原の道
ハルオ「はあああああっ!!」
ユキエ「すごいわねぇ・・・ リミッターを解除したアンドロイドって」
ハルオ「・・・できたぞ」
ケン「わぁ! 前とほとんど同じだ!」
アミ「また・・・はじまるんだね」

〇草原の一軒家

〇黒
  完

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