兄が残した宝

夏目心 KOKORONATSUME

7 希望の華(脚本)

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〇墓石
  タケルおじさんが自首して数日後、あたしは兄さんに報告も兼ねて墓参りに来ていた。
北川歩美「ねぇ花音、あの時何で火事は起きたの?」
長谷川花音「その事なんだけどね・・・その時兄さん、孤児院で揚げ物を作ってたのよ・・・おじさんは支援を断った事に凄く」
長谷川花音「苛立ってて、後ろからおじさんが兄さんに殴り掛かって、それで油の入った鍋がひっくり返って油に火が引火して・・・」
長谷川花音「ガスコンロの側だったからあの爆発が起きて・・・」
北川歩美「そうだったんだね・・・お兄さんの事本当悔しかったね・・・」
長谷川花音「うん・・・でもおじさんが自首して罪を償っても、もう兄さんは帰らないから・・・」
北川歩美「・・・何だかこっちも悲しくなって来たよ・・・」
長谷川花音「やっと着いた・・・兄さん、久し振り・・・」
北川歩美「お兄さん聞いて下さい!花音のおじさんが自首しました!お兄さんの事分かってもらえた見たいなんです!」
長谷川花音「おじさんも凄く反省してたよ・・・兄さんに対して、泣きながら謝ってたから・・・」
長谷川花音「(って、聞こえる訳無いか・・・そもそも聞こえてるかどうかも分からないし・・・)」
長谷川拓人「どうしたんだよ花音、そんな浮かない顔して・・・」
長谷川花音「・・・え?に、兄さん!?な、どうしてここに!?まさか・・・」
長谷川拓人「おいおい忘れたのか?俺はもうこの世にいないんだ・・・生きてる訳無いだろ?」
長谷川花音「・・・・・・」
長谷川花音「そ、そんな馬鹿な!なら、どうしてあたしの目の前に!?」
長谷川拓人「何、ちょっと様子を見に来たら花音が浮かない顔してたのが気になってな・・・花音、お前良く気が付いたな・・・」
長谷川拓人「俺がおじさんに殺されたって・・・」
長谷川花音「・・・高橋先生が教えてくれた事と、兄さんの日記で分かったよ・・・おじさんならもう警察に自首してる・・・」
長谷川花音「夏目工房に戻れるかどうかは分からないけど・・・兄さん、おじさんの事憎んで無い?」
長谷川拓人「どうだろう・・・正直、俺がちゃんと誤解を解かなかったのもあるし、まぁ、そのせいで俺がこうなっちゃった訳だけど・・・」
長谷川拓人「おじさん反省してるんだろ?ならこれ以上言わないよ・・・」
長谷川花音「兄さん・・・」
長谷川拓人「なぁ花音、孤児院の子供達はどうしてる?」
長谷川花音「子供達?皆元気だよ!今日は皆で練習してた劇と、皆で作ったロボットの発表会なんだよ!」
長谷川花音「今でも皆、兄さんの事忘れてなんか無いよ!」
長谷川拓人「・・・!良かった!俺が死んでからずっと皆の事が気掛かりだったんだ!劇って守りの四天王だったっけ?」
長谷川花音「うん!皆一生懸命に練習してたよ!」
長谷川拓人「あぁ・・・それは是非見たかったな・・・」
長谷川花音「・・・そうだよね・・・見たかったよね・・・」
長谷川拓人「でも、俺はもう満足かな・・・おじさんの事ももう大丈夫だし、皆が今も元気にやってるって分かったし・・・」
長谷川拓人「何より、俺に取っての希望の華が、あの子達の中にも咲いてくれてたって分かったから・・・」
長谷川花音「希望の華?」
長谷川拓人「あれを手に取った時から、俺の中で彼女達の存在が大きくなってて、気付いたら俺の中の真ん中には、いつも守りの四天王が」
長谷川拓人「立っててな・・・いつの間にか守りの四天王は、俺に取っての希望の光になってたんだ・・・」
長谷川拓人「その光が俺の中を照らして、俺に取って決して枯れる事の無い希望の華を咲かせたんだ・・・彼女達に出会えた事、」
長谷川拓人「今でも後悔した事は無い・・・」
長谷川花音「兄さん・・・」
長谷川拓人「花音、これから嬉しい事も悲しい事も沢山あると思う・・・お互い分かりあえなくても、俺達は手を取り合える・・・」
長谷川拓人「目の前の壁を超えるにしても、それは結局は通過点だ・・・皆目の前の壁を乗り越えて強くなる・・・強くなって今度は、」
長谷川拓人「自分が誰かの、希望の華を咲かせる人になってくれよ・・・俺はずっと花音の事、応援してるからな・・・」
長谷川花音「・・・!兄さん・・・兄さん!!!」
北川歩美「花音・・・花音ってば!!」
長谷川花音「あ、あれ?歩美?あたし一体・・・!?」
北川歩美「突然ぼーっとしてどうしたの!?どこか具合悪いの!?」
長谷川花音「あ、ううん、何でも無いし、大丈夫だよ!」
北川歩美「ビックリした・・・心配掛けないでよね?」
長谷川花音「ごめんごめん!お墓の掃除したら、早く孤児院に行こう!早くしないと、劇が始まっちゃう!」
北川歩美「・・・うん!」
  何だか久し振りに兄さんと話た様な気がした。気分があやふやでハッキリと断言はできないけど、あの感じは間違い無く
  兄さんの物だった。あたしの脳裏には、兄さんが言ってた希望の華と言う言葉が強く残ってて、もしあたしがこれから生きる中で、
  希望の華と呼べる存在になれるならと思ったら、何だか前に進みたくなった。お墓の掃除とお供え物をした後、
  あたしは歩美と共に孤児院へと戻るのだった。
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コメント

  • 教訓のある話でした‼
    子供たちを思う気持ちが、一面的でなく深い洞察がありますね。
    お金が全てという風潮だからこそ、最も大切なことだと感じました。自分で、自身の力は鍛えないといけませんね。
    ストレートにそうしたメッセージが伝わる、良い話と思いました‼

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