Xヒーロー

語り部

第52話 暴れん坊のプルガー(親指)(脚本)

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〇アジトの一室
  数時間前 イリノイ州 デュページ郡 ウィートン 現場仮設事務所
エル・シッド「あぁもう!なんでラ・ドロン(盗人)が捕まんねえんだよ!これじゃあ暴れらんねえじゃねぇか!」
施工管理者「お、落ち着いてくれ親方!俺らでも探ってるから今は待つしか···!」
エル・シッド「待ってたらダメだ!アタシは···『受け身』じゃダメなんだ···!」
エル・シッド「『役に立たねえと』···役に立たねえとダメなんだ···!」
エル・シッド「待ってても始まらねえ···ドミニク!アタシも現場に行く!」
施工管理者「お、親方が現場に入ってもラ・ドロンが警戒して動かないだけだって!」
エル・シッド「じゃあどうすりゃいいんだ、ドミニク!言ってみろや!」
  そう言いながら一層暴れ、机や椅子等を壊してまわるエル・シッドにある男が事務所に入り、こう言い放つ
鬼月冷羅「行きたいなら行けばいい。お前の事だ···どうせ『幽羅達が信用出来ないんだろ?』」
エル・シッド「当たり前だろ!いくらアンタの孫っつっても修羅場も潜ってない『ルーキー』だろ!?」
  冷羅はエル・シッドのその言葉に『にやっ』と口角を上げ、返した
鬼月冷羅「そうか··· ··· ···なら本当にそうか自分の目で確かめて見たらいい。おい、赤毛」
施工管理者「は、はい!何なりとボス!」
鬼月冷羅「ここの現場はお前が仕切れ。ネイパービルの方にエル・シッドを配置する、異論は?」
施工管理者「ありません!ここはお任せ下さい、ボス!」

〇工事現場
  現在 デュページ郡 ネイパービル 氷壁に覆われた街 建設現場構内
  また昨日のようにキング、凪園、エンチャントの3人は舗装用の砂利や砂などアスファルトの素材の材料をひたすら運んでいた
  そして休憩時間になり、近くの作業スペースでエンチャントが腰を抑えながらふらふらとその場に座り込む
エンチャント魔導法士「ひぃ···ひぃ···腰が··· ··· ···ワシの腰が終わる···」
キング「どうせ休憩の時間だし、じいさんそこのベニヤ板に横になってろ」
エンチャント魔導法士「すまんなキング···いでで··· ··· ···若いのが必死になって力になってるのにワシがこんなんで」
エンチャント魔導法士「足引っ張ってると思うと申し訳なくてな···つい、無茶をしてしまう」
キング「気にすんなよ。じいさんができねえ事を俺らがして、俺らができねえ事をじいさんがする」
キング「助け合いで行こうぜ、俺ら仲間なんだからよ」
凪園無頼「そーそー!俺頭脳プレイ苦手だし、そういうの指示出してくれる時とか俺助かるー!」
エンチャント魔導法士「ふっ···すまんな二人とも、今は少し甘えさせてもらうかな」
斎王幽羅「ただいま、この能力結構繊細だから『元の姿に戻る』の時間掛かっちゃった···」
キング「いや問題ねえよ、で···どうだった?なんかわかったか?」
斎王幽羅「ごめん、何もわかんなかった···特に変なところもないかな···」
斎王幽羅「ただちょっと気になることはあったんだけど···」
斎王幽羅「朝、会議終わった後すぐ色んな人がトラック乗って帰ったの見たんだけどさ」
斎王幽羅「『アジア系』が多いなって印象は受けたかな。偏りはないけど、全体的に多いなって···変かな?」
エンチャント魔導法士「いや、アジア系はアメリカ全体じゃ30%程いるから特別変ではない。ただどうだろうな···その国と周辺国だからわかる『違い』」
エンチャント魔導法士「ワシの場合同じ白人でもフランス人やイタリア人、ドイツ人等ヨーロッパ系が『何となく』区別がつく」
エンチャント魔導法士「お前はどうだ斎王?何となく見た感じ『中国人っぽいな』ってのはどれくらい居た?」
斎王幽羅「うーん···わかんないかな···俺日本に居たの数年だけだし、鸞ならわかるかもしれないけど···」
エンチャント魔導法士「となると鸞に探って貰う必要があるな···ん?誰かこっちに来るぞ?」
  そう言うと遠くから見たことのある女性が1人、斎王達の方へ近づいてきた
エル・シッド「ようキング!そしてキングを腑抜けにした『腰抜け』。なんの相談だ?アタシも混ぜろよ」
キング「おい、随分な挨拶だなエル・シッド。斎王が腰抜けじゃねぇかどうか試してみるか?」
エル・シッド「いいね!ならアタシのタマたんまり喰らわせてやるよ!」
凪園無頼「やらせるわけなくね?斎王殺るんなら···まず俺ら相手しろや」
斎王幽羅「二人ともやめて。エル・シッドさんも『協力する気』があるなら俺の仲間を刺激しないで欲しい」
エル・シッド「うっせぇんだよ!てめぇのその偽善者ぶった話し方がイライラすんだよ···ボスの孫かなんか知らねえけど、ブチ殺すぞ···」
斎王幽羅「俺を殺して今コンキスタドール建設の抱えてる問題が解決するならそれでいいよ。ただ···」
斎王幽羅「俺は頼まれたからとはいえ、この問題の解決に『手を抜く』事はしない。俺が気に入らないならそれでいいけど」
斎王幽羅「これは貴女の組織の問題だ、解決するのに貴女の力を借りたい」
  エル・シッドはその答えを出さず、ただ斎王に軽機関銃の銃口を向けていた。そして数分の静寂の後
  エル・シッドは斎王に『ある質問』をした
エル・シッド「··· ··· ···お前ひとつ聞くけどよ、もしキングの体に拡がってる錆『自分の寿命使って治せる』としたら···どうする」
斎王幽羅「『治すよ』。でもキングが望んでるならの話で、もし皆と一緒に寿命を迎えたいと思ってるなら···」
斎王幽羅「俺はキングに拡がってる錆を『治さない』。ひとりぼっちがどれだけ苦しいか、身に染みてわかってるからさ」
  斎王はなんの迷いもなくそう答える。キングや凪園、エンチャントは斎王のそんな答えに言葉には出さないものの
  『斎王ならそういうと思った。』と納得の表情を見せた。エル・シッドはそんな光景を見て
  なぜキングがこんな奴を信用し、炉郷荘の仲間達を置いてこんな所まで来たのか。
  なんとなく『わかった気がした』
エル・シッド「なぁキング···アタシさ、ランスロットが親父と一緒に墓に埋まったのすげぇムカついたけどさ」
エル・シッド「今ならほんの少し···『わかる気がする』··· ··· ···」
キング「だろ?もうちょっと一緒にいればこいつの良さがわかるぞ、どうだ?少しの間だけでいいから···一緒に行動しねぇか?」
エル・シッド「よーしノッた!キングが惚れた男だ、きっとアタシも好きになれるよな!」
エル・シッド「おいルーキー!しばらく協力してやるからよろしくな!」
斎王幽羅「ありがとうエル・シッドさん、短い間かもしれないけど···よろしく」
  To Be Continued··· ··· ···

次のエピソード:第53話 ティソーナの輝き

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