エピローグ (脚本)
〇中規模マンション
事故物件
このマンションがそう呼ばれたのは、過去のことです
長い時間をかけて、悪意は風化してゆき、今や誰もその名で呼ぶことはありませんでした
今は、変質者(兄と編集長)が捕まったマンションとして有名です
妹「全部、持ってかれた!」
妹「長い時間をかけてマンションのイメージを塗り替えて行ったのに、一瞬で上書きされた!」
妹「お兄ちゃんは本当に空気読めないんだから」
私はもう霊が視えません。一時的な霊感の上昇でしたから、一ヶ月もせずに衰えて消えてしまいました
だから、今のマンションはどんな状況なのかは分かりません
幸いにも、梓はもう、マンションに黒いモヤを見てないそうです
妹「あとは変質者のイメージが悪さをしていないことを祈るばかり」
妹「どうか、どうか、マンションに変なおじさんが生まれてませんように!」
そう一心に念を送っているときでした
くいっ・・・
不意にスカートの端を後ろから引っ張られる感覚
覚えのある感覚に、思わず振り向きましたが、そこには誰もいません
〇空
ただ桜の花びらをひらめかせた風が、空高く駆け上がっていきました
その姿はとても美しく、落ちてくる花びらは羽のようで
視えないけど、そうであるなら
また、あの子が教えてくれたのなら
私は見えない友人達に笑顔を向けて、祝福の言葉を送りました
〇中規模マンション
妹「ご退去、おめでとうございます」