父、帰りたい

makihide00

第8話 父、一番長い日(脚本)

父、帰りたい

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〇高級マンションの一室
ユキエ「おはよう、パパ!」
ハルオ(アンドロイド)「グッモーニン! ハルオさん!」
ハルオ「・・・おい」
ハルオ「昨日の夜が充電日だった ってのはわかってる・・・」
ハルオ「でも、寝室から 一緒に出てくるこたぁないだろ!?」
ユキエ「えー、神経質すぎない?」
ハルオ「じゃあなんだよ! その手の恋人つなぎはっ!」
ユキエ「え、いや、まぁ、その・・・」
ハルオ(アンドロイド)「充電直後だから サポートしてくれてるんですよー」
ユキエ「そ、そうそう・・・」
ユキエ「もしかして・・・妬いてるの?」
ハルオ「ち、違・・・」
ハルオ「ええい、散歩に行ってくる!」

〇タワーマンション
ハルオ「妬いてるもなにも、 あれ見たら誰だって・・・」
ハルオ「それにしても、嫌な雲だな」
ハルオ「俺が遭難した日もこうだった」
ハルオ「・・・嵐の予感、か」

〇高級マンションの一室
ハルオ「ただい・・・」
ハルオ「ま?」
ユキエ「ハリーは玄関をお願い! ケンもお手伝いして!」
ユキエ「・・・パパ、どこほっつき歩いてたの!?」
ハルオ「い、いや、だから散歩って・・・」
ユキエ「今すぐ掃除よ、掃除!」
ユキエ「急いで・・・時間がないの」
ハルオ「なんだよ、いったいなにが・・・」
ユキエ「午後から・・・お客様が来るの」
ハルオ「お客様? 誰だよ?」
アミ「・・・」
アミ「カレピが、パパとママに挨拶したいって」
ハルオ「あい・・・さつ・・・?」
  午後──
ハルオ「・・・こんな時、どんな顔すればいいのか」
ハルオ(アンドロイド)「リラックス、リラックスですよ、 ハルオさーん」
ユキエ「でも・・・改めて挨拶って言われると 緊張するわね・・・」
ハルオ「だいたいなんでいきなり?」
ユキエ「わかんない・・・ アミにも急に連絡があったみたいで」
ハルオ「き、来たか?」

〇高級マンションのエントランス
勧誘員「・・・あなた、今しあわせですか?」

〇高級マンションの一室
ハルオ「間に合ってます!」
ハルオ「なんなんだよ、こんな時に・・・」
ユキエ「タイミング悪いわね・・・」
ハルオ(アンドロイド)「わたしは毎日ハッピーですよっ!」
ハルオ「いや、今そんなことはどうでも・・・」
ハルオ「今度こそ・・・来たか?」

〇高級マンションのエントランス

〇高級マンションの一室
ハルオ「だから間に合ってますって!」
ハルオ「今度はなんだ? なんの宗教だ?」
ユキエ「い、いや、パパ・・・」
ハルオ「はぁ? なんだ? 知り合いか?」
アミ「・・・私のカレピ」
ハルオ「・・・」
ハルオ「はぁぁぁぁぁっ!?」

〇応接室
ムバンべ「ハジメマシテ!」
ムバンべ「ムバンべ・ブビンビ・オビブベンベ とモウシマス!」
ムバンべ「アフリカのノイマン王国から ニホンにヤッテキマシタ!」
ムバンべ「イマは大学院にカヨッテマス!」
ムバンべ「サテ、早速デスガ・・・」
ハルオ「待て待て待て待て!」
ハルオ「いきなり情報量が多いって!」
ユキエ「ムバンべさんのご実家、 ダイヤモンドの採掘やってるんですって」
ハルオ「なんだお前? 会ったことあんのか?」
ユキエ「ええ、一度、アミを送ってもらった時に」
ハルオ「じゃあ事前に情報くれよ! さすがに戸惑うだろうが!」
アミ「ところでムバ君、今日は急にどうしたの?」
ハルオ「ムバ君ってなんだよ!」
ハルオ(アンドロイド)「・・・そもそもふたりは どうやって知り合ったんです?」
ムバンべ「ソレは、半年前」
ムバンべ「このマンションに住ム 父のシリアイをタズネタ時・・・」

〇コインパーキング
ムバンべ「ナイ・・・ナイ・・・」
  ワタシが車のキーをナクシテ
  困ってイタラ・・・
「あの・・・」
アミ「もしかして、 探されてるのってこれですか・・・?」
ムバンべ「ヤマト・・・ナデシコ・・・」
ムバンべ「おー、それデス! アリガトウゴザイマス!」
ムバンべ「アナタは・・・ダイヤの原石デス」
アミ「・・・え?」
ムバンべ「お礼もカネテ・・・ スグにワタシの車に乗ってクダサーイ!」
アミ「え、あの、ちょ、えっ?」

〇ウェディングドレスショップ
アミ「・・・ここは?」
ムバンべ「わがオビブベンベ財閥専用の スタイリングサロンデース」
ムバンべ「アミは、今でも十分カワイイ・・・」
ムバンべ「デモ、磨けばもっとピカピカの ダイヤモンドにナレル!」
ムバンべ「・・・ソノお手伝いを、サセテクダサーイ」
アミ「あ、あの・・・ちょっと思考が 追いつかないんですけど・・・」
ムバンべ「カモン! スタイリスト!」
アミ「え、ちょ、ちょっ・・・」
ムバンべ「・・・デハ、カガミをドウゾ!」
アミ「・・・」
アミ「これが・・・わたし・・・?」
ムバンべ「マーベラース! マーベラース!」
ムバンべ「ヤハリ、ワタシの目に 狂いはナカッタ・・・」
ムバンべ「アミ・・・」
ムバンべ「ワタシの、プリンセスに ナッテクダサーイ!」
アミ「プ、プリ・・・!」
アミ「いや、あの・・・ 出会ったばかりでそんな・・・」
ムバンべ「ヘンジはスグに・・・とはイイマセン」
ムバンべ「これから、アミのシラナイ景色、 ワタシがタクサン見せてアゲル・・・」
アミ「・・・」
アミ「楽しみ・・・です」

〇応接室
ハルオ「・・・」
ハルオ「誘拐じゃねーかよ!!」
ハルオ「美談みたいになってるけど、 やってること誘拐じゃねーか!」
ユキエ「まあまあ、落ち着いて・・・」
ハルオ「ユキエもユキエだ! 娘がいきなり茶髪になって帰ってきて よくすんなり受け入れたな!」
ユキエ「そ、そりゃ私だって驚いたわよ!」
ユキエ「でもね、あの日、家に帰ってきた時の」
ユキエ「アミのキラキラした表情みたら・・・ 怒れなくなっちゃったの」
ユキエ「あんな顔するの、パパが遭難したあとで はじめてだったから・・・」
ハルオ「・・・」
アミ「ちょっと! これ以上 ムバ君を悪く言うのはやめて!」
アミ「ムバ君のおかげで わたし、自分に自信を持てたんだ」
アミ「生きてるってこんなに楽しいんだって、 ムバ君が思い出させてくれたのっ!」
ムバンべ「アミ・・・」
ムバンべ「ソレでは、タントウチョクニュウに 言わせてイタダキマース」
ムバンべ「アミさんと、ケッコンさせてクダサーイ!!」
ハルオ「けっ!?」
ユキエ「けっこ・・・!?」
アミ「けっこん!?」
ムバンべ「オネガイシマス! オトウサン!」
ハルオ(アンドロイド)「・・・」
ハルオ(アンドロイド)「・・・オトウサンは、あっちね」
ハルオ「け、けけっ・・・け、結婚!?」

〇黒
  次回予告

〇応接室
ムバンべ「アジアでは初デース」
ハルオ「歴史的快挙みたいに言うな!」
ユキエ「玉の輿よっ!」
アミ「ムバ君・・・」

〇黒
  第9話 父、揺れる想い
  お楽しみに!
  ※なお、次回の内容は
  予告から変更になることがあります

次のエピソード:第9話 父、揺れる想い

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