第八話 キリサのお願い!(脚本)
〇可愛らしい部屋
五日後(日曜日)
エリカの部屋
アミナ「はぁぁぁ、疲れたぁ」
エリカ「なに言ってるの、アミナ。 どんなときでも、どんな場所でも最高のステージを届けるために、体力はつけないと!」
エリカ「一回休憩するけど、その後もまだまだやるわよ!」
アミナ「え”!?」
エリカ「じゃ、私が帰ってきたら再開ね」
アミナ「え、エリカ!?」
アミナ(うう、あんなこと言うんじゃなかった・・・)
〇広い公園
三日前(木曜日)
夕方
近くの公園
アミナ「よしっ! たくさん練習したし、今日は終わりかなー」
エリカ「ふふっ、張り切ってるわね、アミナ」
アミナ「そりゃそうだよー! あたしたちは、苦しんでる人に笑顔を届けるって決めたんだもん! これくらいしておかないと!」
エリカ「そうね・・・」
エリカ「なら___」
エリカ「運動して、体力もつけないと、ね?」
アミナ「そうだね! あたし、ヨガとかバランスボールとか、体感鍛える系なら、結構やれる自信があるよ!」
アミナ「ステージ上でジャンプしたり、宙返りしたりするときにも、ステージから落ちちゃわないようにしないとだし___」
アミナ「エリカ、休みの日にでも、一緒にやらない?」
エリカ「・・・・・・アミナ、言ったわね?」
アミナ「え・・・? う、うん」
エリカ「よしっ、なら徹底的にやるわよ!!!」
アミナ「えぇぇぇ!?」
〇可愛らしい部屋
アミナ(あ、あたしが、『やろう』なんて 言わなければ・・・)
エラカトラ「お、頑張ってる?アミナちゃん」
アミナ「・・・う、うん」
エラカトラ「まさか、エリカちゃんにあんな側面があったなんて、ね」
アミナ「はぁ、まったくだよ~。 ストレッチ程度と思って来たけど、まさか空気椅子二時間だなんて・・・」
エラカトラ「あはは・・・」
エラカトラ「・・・なんだか、エリカちゃんならもっと、きついものを用意してきそうだけど」
アミナ「えぇ!? うう、これ以上は体が持たないよぅ・・・」
アミナ「ん?誰かきたのかな?」
エラカトラ「あっ、ワタシは隠れとくね」
アミナ(エリカも待ってて、 って言ってどこか行っちゃったし・・・)
アミナ(これ、あたしが出るしかないよね)
〇シックな玄関
アミナ「はーい」
アミナ「って、き、キリサさん!?」
キリサ「アミナちゃん!?」
アミナ「ど、どうしてキリサさんがここに・・・?」
キリサ「ええっと・・・」
エリカの声「アミナー?誰か来てるの?」
アミナ「あっ、エリカ」
エリカ「アミナ・・・ってええ!? どうしてキリサさんがウチに!?」
キリサ「あ、エリカちゃん。 最近住所教えてくれてたでしょ? あなたたちに相談したいことがあったから・・・」
アミナ「相談、したいこと?」
エリカ「私たちに、ですか?」
キリサ「ええ・・・」
エリカ「まあ、こんなところでもあれですし、 中、入ってください」
キリサ「え、いいの?」
エリカ「はい、どうぞ」
キリサ「ありがとう。 なら、お言葉に甘えて、お邪魔します」
〇明るいリビング
エリカの家・リビング
キリサ「うわぁ、きれいなお部屋ね・・・」
エリカ「そ、そんなことは・・・」
エリカ「ええっと、話ってなんですか?」
アミナ「あたしもそれ、気になってた!」
キリサ「うん、わたしたちのグループのことなんだけど・・・」
キリサ「実は、タニアっていうチームメイトの子が昨日から家に帰ってないらしくて」
エリカ「え・・・?」
エリカ「そ、それって、 すごい非常事態なんじゃ・・・」
キリサ「タニア自体、夜のうちに家に帰らないことなんてよくあったそうよ」
キリサ「でも、朝になっても___ましてや、24時間経っても帰ってこない、なんてことはなかったみたい」
エリカ「そう、なんですか」
キリサ「ええ。 もともとおてんばで、なんにでも興味があるから、目を離すと、すぐどこかに行ってしまうの」
エリカ「まるで子ども・・・」
キリサ「そうなのよね。 わたしとカルシャも、それについてはずっと悩んでたんだけど___」
キリサ「タニアは、わたしたちよりもすっごく歌がうまくて、ダンスにも類いまれなセンスがあるから__」
キリサ「わたしたちだけで何とかしよう、ってことにしてたんだけど・・・」
エリカ「・・・いなくなってしまった、と」
キリサ「ええ・・・」
キリサ「今、カルシャが探してくれてるんだけど、 ほかに頼れる相手もいなくて・・・」
キリサ「エリカちゃんとアミナちゃんに、タニアの捜索をお願いしたいの!」
エリカ「そ、捜索!?」
アミナ「あ、あたしは別にいいけど・・・」
アミナ「本当に、あたしたちなんかでいいんですか?」
キリサ「ええ。 あなたたちだからこそ、お願いしているの」
キリサ「わたしは、信頼していない人には、チームメイトの捜索なんて頼まないわ」
アミナ「キリサさん・・・」
エリカ「アミナ、やるんでしょ? どうせ、あなたのことなんだから」
アミナ「うん、もちろんだよ!」
アミナ「このまま帰ってこなかったら、タニアさんを応援してくれている人も悲しんじゃうし、何せ、あたしが嫌だもん!」
アミナ「困っている人が目の前にいる。 それを助けるのもアイドルだから!」
エリカ「そうね!」
キリサ(やっぱり、この二人に頼んでよかった)
キリサ「二人とも、見つかるまで付き合ってもらってもいい?」
「もちろんです!」