ひなまつり

尾長イルカ

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〇古風な和室(小物無し)
  長わずらいで亡くなった
  祖母の遺品を整理していると──
姫野 つくみ(ひめの つくみ)「お雛様?」
  髪のほどけた 女雛の首

〇商店街の飲食店
速水 咲(はやみ さき)「アハハ 首なし事件だ!」
姫野 つくみ(ひめの つくみ)「逆だよ 無いのは胴体 それと男雛」
姫野 つくみ(ひめの つくみ)「お祖母ちゃん 震災で家財道具 半分失くしてたから」
速水 咲(はやみ さき)「写真よく見せて」
速水 咲(はやみ さき)「下げ髪のお雛様だね」
姫野 つくみ(ひめの つくみ)「髪が ほどけてるのでは?」
速水 咲(はやみ さき)「ストレートの雛もあるよ」
速水 咲(はやみ さき)「何だか つくみみたいだね」

〇古風な和室(小物無し)
  祖母はいつも
  髪を梳いてくれた
祖母「つくみの髪は綺麗ね」
祖母「私のお人形さん!」
姫野 つくみ(ひめの つくみ)「ウフフフ」
姫野 つくみ(ひめの つくみ)「おばあちゃん ありがとう」
お内裏様「首返せ」

〇部屋のベッド
姫野 つくみ(ひめの つくみ)「夢?」
姫野 つくみ(ひめの つくみ)「首返せって・・・?」

〇渋谷駅前
姫野 つくみ(ひめの つくみ)「首無神社?」
速水 咲(はやみ さき)「オタク君は 神社に詳しいの!」
御宅 一郎(みたく いちろう)「オタクじゃなくて 御宅(ミタク)です」
速水 咲(はやみ さき)「ゴメンゴメン💦 それでオタク君が言うにはね 雛人形が供養されてるの」
姫野 つくみ(ひめの つくみ)「雛人形!! 本当ですか オタクさん!?」
御宅 一郎(みたく いちろう)「ミタクです・・・ 災いのあるお雛様が 供養されてるとか」
速水 咲(はやみ さき)「つくみ行こうよ  供養した方が良いって ね オタク君!」
御宅 一郎(みたく いちろう)「ミタクです・・・」
姫野 つくみ(ひめの つくみ)「でも お祖母ちゃんが  大切にしてたお雛様だから」
御宅 一郎(みたく いちろう)「一度見学してみたら? 決めるのはそれからでも・・・」
速水 咲(はやみ さき)「それが良いよ!! さすがオタク!!」
姫野 つくみ(ひめの つくみ)「そうですね・・・ オタクさんの言う通りかも」
御宅 一郎(みたく いちろう)「いや オタクじゃなくて・・・」
姫野 つくみ(ひめの つくみ)「え? なにか?」
御宅 一郎(みたく いちろう)「いや いいです・・・」

〇古びた神社
姫野 つくみ(ひめの つくみ)「これだけ お雛様が並んでると壮観ね」
速水 咲(はやみ さき)「首無しも あるかな? アハハハハ」
姫野 つくみ(ひめの つくみ)(笑うかな・・・)
御宅 一郎(みたく いちろう)「実は ある伝説がありまして」
姫野 つくみ(ひめの つくみ)「伝説?」

〇山道
  その昔 嫉妬に狂った男が
  高貴な女の首を刎ねた
  女の首は 遠くへ飛んで行ったが
  それを追った男は──
  道中で
  髪の美しい女の首も 次々刎ねた

〇古びた神社
御宅 一郎(みたく いちろう)「男の呪いと 殺された女性の霊を鎮めるため お雛様の供養が始まったと・・・」
御宅 一郎(みたく いちろう)「その男も 男雛として 供養されているのですが・・・」
速水 咲(はやみ さき)「嫉妬野郎が 女の首を斬りまくった 最悪じゃん!」
姫野 つくみ(ひめの つくみ)「それで男雛は?」
御宅 一郎(みたく いちろう)「それが・・・行方不明なんです」

〇閑静な住宅街
リポーター「切断された女性の首が 見つかったのは 川沿いの住宅地 今月二件目です」
リポーター「被害者は二人とも 黒髪の美しい女性でした」
リポーター「専門家は 長い黒髪に執着のある人物の可能性を──」

〇古風な和室(小物無し)
姫野 つくみ(ひめの つくみ)「近所だ!!」

〇古風な和室(小物無し)
お内裏様「首返せ」

〇山道
  髪の美しい女の首も 次々刎ねた

〇古風な和室(小物無し)
姫野 つくみ(ひめの つくみ)「まさか この女雛を狙って・・・」

〇車内
速水 咲(はやみ さき)「その首を神社に」
姫野 つくみ(ひめの つくみ)「・・・・・・」
速水 咲(はやみ さき)「早く神社に納めちゃおう」
姫野 つくみ(ひめの つくみ)(泣いてるみたい・・・)
姫野 つくみ(ひめの つくみ)「納めたあと どうなるの?」
速水 咲(はやみ さき)「お経をあげて 燃やすんだよ」
姫野 つくみ(ひめの つくみ)「燃やす!!」

〇古風な和室(小物無し)
祖母「つくみの髪は綺麗ね」
祖母「私のお人形さん!」
姫野 つくみ(ひめの つくみ)「ウフフフ」

〇車内
姫野 つくみ(ひめの つくみ)「できない できないよ 燃やすなんて!」
速水 咲(はやみ さき)「つくみ!?」
姫野 つくみ(ひめの つくみ)「とめて! 降りる!!」
速水 咲(はやみ さき)「つくみ」

〇黒
  守ってあげる
  ──────

〇山道
姫野 つくみ(ひめの つくみ)「すっかり道に迷っちゃった」
姫野 つくみ(ひめの つくみ)「ここは!!」

〇古びた神社
姫野 つくみ(ひめの つくみ)「首無神社」

〇祈祷場
姫野 つくみ(ひめの つくみ)「奉納されたお雛様たちの 首がない!!」
姫野 つくみ(ひめの つくみ)「この前は あったのに」
姫野 つくみ(ひめの つくみ)(まさか 男雛が来た!?)
姫野 つくみ(ひめの つくみ)「だ だれ!?」
姫野 つくみ(ひめの つくみ)「咲 咲」
姫野 つくみ(ひめの つくみ)「いやあぁぁぁぁ」
御宅 一郎(みたく いちろう)「待ってくれ ち ちがうんだ」

〇山道
  駆けだした つくみ
  外に居たのは──
お内裏様「首返せ!!」

〇村に続くトンネル
  別の道に逃げ込む
  倒れて 転がる首
  あわてて 首を掴んで逃げる
「まってくれ」
  右からは御宅
御宅 一郎(みたく いちろう)「話を聞いてくれ たのむ」
  左からは 小さな男雛が
  刀を振り翳す男雛

〇暗い洞窟
  狭い横穴へ逃げ込む
  発信者は御宅
姫野 つくみ(ひめの つくみ)「ムリ・・・」
  怯えて電話を切る
  するとLINEが──

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コメント

  • 和ホラーとスチルの相性が良くて、背筋がヒヤリとしました😨
    後味の悪さもとても良いです❗️
    ホラーにおける人形の怖さ、再認識しました😆

  • 読んでいてかなり恐怖を感じるお話で、とてもゾワゾワしました!!
    常に先の読めない展開と、イラストの使い方の上手さが尾長イルカ様らしさを感じて、楽しく読ませていただきました!!

    読むのが遅れてしまいましたが、やたら暑い夏にぴったりのお話で、背筋が涼しくなりました 笑

  • 敵と味方が入れ替わるどんでん返しな展開で、綺麗に終わると思ったら、最期の最後にアレですか。さすがに予想外でした。
    オタクは憑りつかれた? それとも最初から?

    時々入るスチルが怖すぎでしたw

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