第七話 エラカトラの姉!(脚本)
〇教室
二日後(火曜日)
学校教室
アミナ(日曜日、近所の人たちにいろいろ聞き込みしたけど、エラカトラのお姉さんに通じそうな有益な情報はなかったな・・・)
アミナ(やっぱり、お姉さんが狙ってる夢は『少女の夢』・・・。 だとしたら___)
アミナ「みんな、ちょっといいかなー」
生徒「アミナさん?どしたのー?」
アミナ「あ、ライさん。えっと、ね、みんなの願いについて教えてほしいの!」
アミナ「ほら、あたしってアイドルしてるでしょ? やっぱり、笑顔を届けるには、みんながどんな願いを持ってるかも___」
アミナ「知ってた方がいいのかな、って思ったから」
ライ「そっか!いいよ!私の願い教える! みんなも、それでいい?」
生徒A「うん!じゃあさ、みんなで黒板に書いていこうよ!その方が効率的!」
「それでいこう!」
「じゃ、ここに書くねー!」
アミナ(よかった。 エリカの案、思ったよりも作用してる)
アミナ(今日、エラカトラと一緒に精霊の世界で調べてもらうために、学校休ませちゃったのが苦しいけど・・・)
ライ「アミナさーん!全員分書き終わったよー? それだけでいいの?」
アミナ「あ、ありがと、ライさん!」
アミナ「もうひとつあるんだけど、最近、みんなが夢に関することで変だなー、って思ったことはない?」
「変ー?」
「私あるかも!夢は看護師なんだけど、最近病院に行って看護師さんの悪いところ見ちゃってから、本当に夢は看護師なのかな・・・」
「って思い始めてて・・・」
「だったら俺にもある!」
「スポーツ選手目指してるんだけどさ、大怪我する夢ばっか見て、ちょっと恐怖が芽生えて来たんだよなー」
アミナ「・・・・・・」
アミナ(やっぱり、みんなに影響を及ぼしてる・・・)
アミナ(あれ? そういえば、エラカトラは影響は『少女だけ』って言ってなかったけ? なんで男子の夢にも関わってるの・・・?)
ライ「アミナさん?大丈夫ー? これでちょっとは私たちもアミナさんの役に立てたかな」
アミナ「う、うん!ライさん、みんな、ありがとう!」
ライ「もしまた何かあったら、遠慮しないで言ってね! 私たち、力になるから!」
アミナ「うん!頼りにしてるね!」
〇広い公園
夕方
近くの公園
アミナ「いやー、すっかり遅くなっちゃった・・・」
アミナ「もう二人とも来てるかなー?」
アミナ「・・・ん?」
???「・・・・・・」
アミナ(ジャングルジムでごそごそしてるのって・・・)
アミナ「エラカト、ラ・・・?」
???「ウガーー!!!!」
アミナ「___じゃ、ない!?」
アミナ(ひいいいい!!! こっちに向かってくるー!?)
アミナ(・・・ん? エラカトラと似てて、『ウガー』?)
アミナ「・・・っ、もしかして!」
アミナ「あっ、あなたは、エラカトラのお姉さんなの!?」
???「ウガーー?」
アミナ(・・・っ、やっぱり言葉は通じない、か)
アミナ(でも、動きは止まってる! もしかして、『エラカトラ』に反応した?)
アミナ「聞いてください! あたしたちの願いを叶えるお仕事は、決して簡単なものではないと思います!」
アミナ「でも、夢を叶えることは、嬉しくなる人が多いと思うんです!!」
アミナ「あなたは、闇に呑まれても、まだ苦しんでいます!」
アミナ「あなたの中の、『優しい心』のあなたが、まだ足掻いているんです!」
アミナ「それを、忘れないでください!! それを、見捨てるような真似はしないでください!!」
アミナ「諦めないで!まだ、道はきっとあるはずだから」
エラカトラの姉「う、ウガー?」
エリカ「あ、アミナ!?」
アミナ「エリカ!?」
エリカ「今帰って来たんだけど、その人って・・・」
アミナ「・・・うん、多分、エラカトラのお姉さん。 さっき公園でいたのを見つけて・・・」
エラカトラの姉「ウガーーー!!!」
アミナ「『ウガー』しか言ってないし、話せないんだけど、どうしたらいいと思う?」
エリカ「どうしたら、って・・・」
エラカトラ「ただいまー」
エラカトラ「・・・って、アミナちゃん、その隣にいるのって・・・」
アミナ「あ、エラカトラ・・・」
エラカトラ「__もしかして、お姉ちゃん、なの・・・?」
エラカトラの姉「ウガーー?」
エラカトラ「まさか、 もうこっちの世界に来ていただなんて・・・」
エラカトラ「・・・そう、だよね。 もとに戻ってるかも、なんて思ったワタシがいけないよね」
エラカトラ「もう、この事実を受け止めないと・・・」
アミナ「・・・・・・」
アミナ(エラカトラ・・・)
アミナ(やっぱり、バッドエンドでは終われない!)
アミナ(あたしはアイドル!! それに、エラカトラのお姉さんを救う、って約束したんだもん!)
アミナ「エリカ!」
エリカ「・・・? アミナ、急にどうしたの?」
アミナ「歌を、届けない?」
エリカ「・・・誰に?」
アミナ「今、エラカトラのお姉さんみたいに、苦しんでる人たちに」
アミナ「苦しんでいるのは、何も闇落ちした精霊だけではないと思うの」
アミナ「その気持ちが、エラカトラのお姉さんにも通じたらいいな、って」
アミナ「この世の中でも___」
アミナ「身近な人にも、悩みはあるし、それを打ち明けられない人もいる」
アミナ「あたしたちの歌をそんな人たちの心に、少しでも響かせたい、って思うの」
エリカ「アミナ・・・」
エリカ「そうね。 このアイドル、って活動をきれいごとで終わらせたくないわ」
エリカ「やりましょう。 苦しんでいる人たちに、 笑顔をとどけましょう!」
アミナ「うん!」
エラカトラ「アミナちゃん! 危ない・・・!!」
アミナ「え・・・?」
〇タンスの置かれた部屋
アミナ「うわっ!?」
アミナ「いてててて・・・」
アミナ(一体、何が・・・?)
エラカトラ「___あ、アミナちゃん、大丈、夫?」
アミナ「エラカトラ・・・」
アミナ「ここ、あたしの部屋だよね? 何があったの?」
エラカトラ「ワタシのお姉ちゃんが、アミナちゃんを攻撃して、夢を奪い取ろうとするのが見えて・・・」
エラカトラ「だから、思わず二人を連れて、アミナちゃんの部屋に逃げてきたの・・・」
エラカトラ「ごめんね・・・。 二人が一生懸命救う方法考えてくれてたのに」
アミナ「それは、いいよ・・・」
アミナ「それより、エラカトラは大丈夫なの?」
エラカトラ「・・・・・・っ」
エラカトラ「・・・だって、 受け止めるしか方法がないから。 もう、どうしようもないから・・・」
アミナ「・・・・・・」
アミナ「助ける方法なら、あるよ」
エラカトラ「え・・・?」
〇タンスの置かれた部屋
エラカトラ「ワタシのお姉ちゃんを助ける方法がある、ってどういうこと?」
アミナ「ただ、その可能性がある、ってだけだよ」
アミナ「それはね、エラカトラのお姉さんに届くように、歌を歌うこと」
エラカトラ「歌・・・」
アミナ「でも、お姉さんが振り向いてくれるかもわからないし、正直、どうすれば届けられる環境になるかもわからないんだ・・・」
エラカトラ「・・・・・・」
エラカトラ「・・・それなら、町内放送をすればいいんじゃないかしら」
アミナ「町内放送・・・?」
エラカトラ「分かりやすく言えば、町中内外関係なくテレビが出現する、ってところかも」
アミナ「て、テレビ・・・? コンセントがないところでも?」
エラカトラ「ええ。 まあ、その方法はワタシに任せてほしい」
アミナ「・・・わかった」
エラカトラ「それで、やっぱり、歌を届けるのは二週間後?」
アミナ「え・・・?」
エラカトラ「アミナちゃんたちにとって、二週間後は一番大事なステージ。 だからこそ、今までで一番多い気持ちを届けられるかな、って思って」
アミナ「エラカトラ・・・」
アミナ「ありがとう!じゃあ、そうしようかな」
エリカ「それ、誰かに見つかったりはしないの?」
エリカ「テレビなんだし・・・」
エラカトラ「それは大丈夫だよ。 ワタシが操作して『苦しんでいる人』『希望をなくしてしまった人』にだけ見聞きできるようにするから」
アミナ「・・・ありがとう、エラカトラ」
エリカ「ま、そういう線でいくのね」
エリカ「でも、ステージにいない人にも届けられるのはいいけど、少し恥ずかしいわね・・・」
アミナ「そうだね。ま、二週間後に向けて頑張ろう!」
「うん!(ええ!)」