第六話 アイドルに必要なもの!(脚本)
〇公園のベンチ
アミナ「・・・も、もしかして、トラフィック・ライトのカルシャ、さん?」
カルシャ「うん、そだよー」
カルシャ「キリサが帰ってくるの遅かったから、公園に見に来たんだけど___」
カルシャ「・・・聞いちゃったみたい、だね」
アミナ「はい・・・」
アミナ「・・・つまり、あたしたちは穴埋め、だったんですね」
キリサ「__アミナちゃん・・・」
カルシャ「・・・私たちも、すごく厳しい状態だったんだ」
アミナ「・・・え?」
カルシャ「本当はね、ライブハウスの私たちの使用時間が5時間だったんだけど、他の利用者さんが必要に迫ってきて___」
カルシャ「時間が4時間30分に 狭まっちゃったから、ひとグループ 外さなきゃいけなくなっちゃって__」
カルシャ「本当は二組とも参加できたのに・・・」
キリサ「だから、わたしたちも迷った。けど、あなたたちのライブを見たあとに『エレメンターズ』の方にしよう、ってなって___」
アミナ「・・・連絡したら、『エレメンターズ』さんがキャンセルになった、ってことですか?」
キリサ「・・・ええ、そういうこと」
アミナ(・・・あたし、『穴埋め』だなんて失礼なこと言っちゃった)
アミナ(・・・そう、だよね。 キリサさんも、カルシャさんも、人間なんだもんね。もちろん、悩んでるよね)
アミナ「ごめんなさい、キリサさん、カルシャさん。 あたし、浅はかなこと言って・・・」
キリサ「・・・いいのよ。 それより、わたしたちのこと、少しはわかってくれたかな」
カルシャ「私たちも、君たちも、同じ高校生。 同じ『アイドル』なの」
カルシャ「だから、アイドルである君が、そんな顔しちゃだめなんだよ?」
アミナ「カルシャさん・・・」
アミナ「・・・ありがとうございます」
アミナ「アイドルをやるには、希望を持っているだけではだめなんですね」
アミナ「どんなことでも、自分たちに降りかかることは、受け止めなきゃいけない・・・」
アミナ「その上で、笑顔でいられる__みんなに、笑顔を届けるーー!」
アミナ「・・・それが、本当のアイドルなんだね!」
キリサ「そうね・・・! アミナさん、いいえ__アミナちゃん、わたしが言えたことじゃないけれど、あなたは、将来有望なアイドルね!」
アミナ「キリサさん・・・!」
アミナ「あなたみたいな人気アイドルに、そう言ってもらえて、とっても嬉しいです!」
キリサ「なっ、人気アイドルだなんて・・・」
カルシャ「あっはは、キリサが照れてる」
カルシャ「いい後輩ちゃんができたね、キリサ」
キリサ「こ、こほん・・・。 そ、そうね!カルシャ」
アミナ「・・・二人とも、仲いいんだね」
エリカ「そうね・・・」
エリカ「はあ・・・。 アミナがすごすぎて、私の出る幕もなかったじゃない」
アミナ「そう? あたしには、エリカが何も言えなくて、ずっと真剣に話を聞いているように見えたけど」
エリカ「なっ・・・、う、うるさいわよっ!」
アミナ「ははっ、キリサさんだけじゃなくてエリカも照れてる」
キリサ「わたしたちはどんな状況だったとしても、前を向いていかなきゃいけない」
キリサ「でも、悩んだっていいの。 悩んで悩んで悩みきって、自分の答えを出せたとき、よりいいパフォーマンスができるから」
アミナ「・・・そう、ですね!」
アミナ「あたしたちも、人間らしくていいんですね!」
キリサ「ええ!」
エリカ「キリサさん、カルシャさん、本当にありがとうございます!」
エリカ「おかげで、アイドルにとって、私たちにとって、とっても大切なことをたくさん知りました」
エリカ「ね、アミナ」
アミナ「うん! 同じ高校生アイドルの先輩ができて、とっても嬉しい・・・!」
「本当に、ありがとうございました!!!」
カルシャ「そっ、そんなにかしこまらなくてもいいんだけど・・・」
キリサ「ま、いいんじゃない?」
キリサ「わたしたちも、あの子たちに負けないように頑張らないとね!」
カルシャ「はぁ、キリサはほんっとポジティブだよねー」
カルシャ「でも、頑張ろうね!」
キリサ「ええ!」
〇広い公園
翌日(日曜日)
近くの公園
アミナ「ほんっとによかった! 二週間後のステージに向けて、頑張ろうね!」
エリカ「そうね!」
エラカトラ「うんうん、ワタシも二人の話を聞いてびっくりしたけど、ハッピーエンドでよかったよ~」
アミナ「うん・・・」
エリカ「・・・? アミナ、どうかしたの?」
アミナ「た、大したことじゃないんだけど・・・」
アミナ「・・・『エレメンターズ』さんがキャンセルになったのが、なんだか不自然だな、って」
エラカトラ「・・・確かに、考えてみればそう捉えることもできるね」
エリカ「・・・それって!」
エラカトラ「そう、ね・・・。 ワタシの姉が関係してるかもしれないわ」
エリカ「でも、アミナの夢を邪魔してるなら、今回の行動に何の意味が・・・?」
エラカトラ「・・・多分、姉がターゲットにしてるのはアミナちゃんだけではないと思うの」
エラカトラ「『夢を目指している子』。 そんな子なら、誰であっても夢をねじ曲げようとする」
エラカトラ「それが、闇落ちした後の精霊の末路なの」
エラカトラ「だから、アミナちゃんの夢だけが狙われてる、ってわけではないと思ってて・・・」
アミナ「そう、なんだ・・・」
アミナ「・・・本当に、エラカトラのお姉さんを助けられるのかな」
エリカ「・・・何不安になってるの?」
アミナ「エリカ・・・?」
エリカ「私たちはアイドル。 どんな人にも___たとえ人間じゃなくても、見てくれた人みんなに笑顔と元気を届けるんでしょ!」
エラカトラ「エリカちゃん・・・」
エラカトラ「そう、よね。 みんなの願いを叶えたいワタシが、そんな弱気になってちゃだめよね!」
アミナ「エラカトラ・・・」
アミナ「・・・そうと決まれば、今日は探してみよっか! エラカトラのお姉さんが関わってそうなこと」
エリカ「そうね! 私たちの今後にも関わるし、エラカトラを救いたいわ!」
エラカトラ「二人とも・・・」
エラカトラ「ほんっとうにありがとう・・・! ワタシは二人と出会えてとっても嬉しい!」
アミナ「え、エラカトラ・・・」
アミナ「ありがとう。あたしも、とっても嬉しいよ!」
エリカ「・・・え、ええ」
エリカ「これからもよろしくね、エラカトラ」
エラカトラ「うん、もちろん!」