第6話 父、わけわかめ(脚本)
〇応接室
ハルオ「エ、エグゼクティブプロデューサー?」
ハルオ「なにがどうなってそうなったんだよ!」
ユキエ「それは・・・わたしから話すわ」
ハルオ「ユキエ!」
ユキエ「あなたが遭難して半年が経った頃・・・ 会社の日本統括CEOが訪ねてきたの」
〇アパートのダイニング
CEO「I think・・・」
通訳「われわれが買収する前ではありますが、 業務中に命を落とした旦那様に 深く哀悼の意を表します」
CEO「So ・・・」
通訳「わが社はあなた方家族を 全力で支えて参る所存です」
CEO「You・・・」
〇黒
※以下、日本語でお送りします
〇アパートのダイニング
CEO「奥様もさぞショックでしょう・・・」
ユキエ「・・・お気遣いありがとうございます」
CEO「われわれにできることがあれば、 なんでもおっしゃ」
ハルオ(アンドロイド)「お茶でーす、どうぞ」
CEO「・・・」
CEO「あら、素敵な殿方・・・」
CEO「こちら、どなたですの?」
ユキエ「主人の代わりの・・・アンドロイドです」
ハルオ(アンドロイド)「はじめまして・・・」
ハルオ(アンドロイド)「大浜ハルオですっ!」
CEO「アンドロイド・・・」
CEO(これは・・・使えるかも)
CEO(いかにも営業向きのルックス・・・ アンドロイドならITはお手のもの・・・)
CEO(そしてなにより・・・話題性は十分)
CEO「・・・見えた」
CEO「完全に見えたわっ!!」
ユキエ「あ、あの・・・」
ハルオ(アンドロイド)「なにが見えたんです?」
CEO「・・・あなた」
CEO「ウチで働きませんこと?」
「・・・」
「えええええっ!?」
〇応接室
小野寺「それからの活躍は凄まじかった・・・」
中林「メディアにも取り上げられて、 会社の業績はうなぎのぼり・・・」
ユキエ「そして、ついに今年から エグゼクティブプロデューサーに昇進」
「よっ、大黒柱!」
ハルオ(アンドロイド)「そんな、よしてください・・・」
ハルオ(アンドロイド)「みなさんのサポートあってこそです!」
小野寺「謙虚なところも好感度が高い!」
中林「さすがエグゼクティブプロデューサー!」
ユキエ「・・・ステキ」
ハルオ「・・・あのさ」
ハルオ「俺、落ち着いたら 復職しようと思ってるんだけど・・・」
ハルオ「居場所、ある?」
「・・・」
小野寺「あ、あるよ! なぁ?」
中林「エ、エグゼクティブプロデューサーの マネージャーとかさ・・・」
ユキエ「そ、そうよそうよ・・・」
ハルオ「なんで俺が自分のアンドロイドの マネージャーをしなきゃならないんだ!」
〇高級マンションの一室
ハルオ(ユキエがお金の心配をしてなかったのは そういうわけだったのか・・・)
ハルオ「・・・はぁ」
ハルオ「なんか俺、帰ってこないほうが よかったのかな・・・」
ハルオ「・・・ん?」
ハルオ「この時計は・・・」
ケン「あ、その時計、 前の家から持ってきたやつだよ!」
ケン「お姉ちゃんが、どうしても 持ってきたいって言ってさ・・・」
ハルオ「・・・アミが?」
ハルオ「アミ・・・お前・・・」
ハルオ「アミ!」
〇畳敷きの大広間
アミ「わ! 古時計!」
ハルオ「前に住んでた人が 置いてったものみたいでな・・・」
ハルオ「電池を換えたらまた動き出したんだよ」
アミ「大きな音!」
ハルオ「いいじゃないか、 家のどこにいても時間がわかって」
ハルオ「・・・ま、この家の シンボルみたいなもんになればいいな」
アミ「シンボル?」
ハルオ「もし、この先誰かが 家を離れることになっても」
ハルオ「この時計の音と一緒に この家を、家族を、思い出す・・・」
ハルオ「なーんてな!」
〇女の子の部屋
ハルオ「アミ! お前、あの時のこと、 ちゃんと覚えて・・・」
アミ「・・・」
〇黒
「おい、部屋に入る時はノックしろよ!」
「す、すまん、悪かった・・・」
〇ダイニング
ユキエ「みんなー、ご飯よー」
ハルオ「・・・す」
ハルオ「すき焼きだっ!」
ハルオ「俺の大好物・・・覚えててくれたのか?」
ユキエ「忘れるわけないじゃない・・・」
ユキエ「おかえり、パパ!」
ハルオ(ユキエ・・・なんやかんや言って、 俺のこと気にかけてくれているんだな)
ハルオ(3年ぶりのわが家、か・・・)
ハルオ(もしかして今夜、3年ぶり、に・・・?)
〇高級マンションの一室
ユキエ「それじゃ、パパはリビングで寝てね」
ユキエ「おやすみなさーい」
ハルオ(アンドロイド)「グッナイ、ハルオさん!」
ハルオ「・・・」
ハルオ「なぜ・・・?」
ハルオ「アンドロイドって・・・ そういう機能も充」
〇黒
※以下、自主規制
〇黒
次回予告
〇グラウンドのトラック
「親子大運動会、 続いての種目は二人三脚でーす!」
ケン「よーし、頑張るぞー!」
ハルオ「・・・」
ハルオ「いや、おかしいだろ!?」
〇黒
第7話 父、はしりだす
お楽しみに!
※なお、次回の内容は
予告から変更になることがあります