第5話 父、真相を知る(脚本)
〇応接室
ハルオ「いやー、お前ら、久しぶりだな!」
小野寺「そうだな・・・」
中林「大浜が遭難した、 あの日以来だからね・・・」
〇小型船の上
建設会社で同期だった俺たちは当時、
離島の役場の建替工事を担当していた
〇小型船の上
小野寺「しかし、ずいぶん急に荒れてきたな」
中林「無事に港に着けばいいけど」
ハルオ「参ったな・・・」
帰りの船上で天気が急変し、
次第に風雨は強まっていった
「ひいっ!」
中林「うわっ、すごい揺れ!」
小野寺「こりゃまずいな・・・」
乗組員「資材を積んでるから 船のバランスが悪くなってる!」
乗組員「すぐ船首側に移動してくれ!」
ハルオ「わかった!」
ハルオ「揺れるからな、慎重に・・・」
ハルオ「うわっ!」
ハルオ「あ、ああっ──」
小野寺「大浜!」
中林「大浜!」
ハルオ「うわあああああっ──!!」
「お、大浜あああああっ!!」
〇応接室
ハルオ「俺は波間に漂っていた流木に 必死にしがみついたまま気を失って」
ハルオ「気がついたら、見知らぬ島の砂浜に 打ち上げられていた・・・」
ハルオ「でも、お前らもきっと あのあと大変だったんだろ?」
ハルオ「もしかしたら船が転覆して 俺みたいに奇跡的に無人島に・・・」
中林「・・・」
小野寺「それがな・・・」
〇小型船の上
小野寺「大浜あああああっ!!」
中林「くそっ・・・」
小野寺「なんとか、なんとか 助ける方法はないのか!?」
中林「無理だよ、この嵐じゃ・・・」
乗組員「おい、あれを見ろ!」
〇豪華なクルーザー
〇小型船の上
中林「・・・お」
小野寺「大型船だ!」
中林「おーい!おおーい!」
小野寺「助けてくれーっ!」
〇応接室
小野寺「・・・次の日の明け方、港へ着いた」
ハルオ「・・・」
ハルオ「は?」
ハルオ「俺の・・・3年間って・・・」
小野寺「俺たち、なんだかそれがうしろめたくてな」
小野寺「今日までお前に顔向けできなかったんだ」
中林「本当は入院中に見舞いにでも 駆けつけるべきだったんだが・・・」
小野寺「すまん、大浜・・・」
ハルオ「・・・別に、お前らが悪いわけじゃねぇ」
ハルオ「こうして生きて帰ってこれて、 お前らがわざわざ自宅まで来てくれて」
ハルオ「それだけで俺は嬉しいよ!」
ハルオ「だからさ、顔・・・上げろよ」
小野寺「・・・ありがとう」
中林「生きててよかったよ、本当に・・・」
ハルオ「・・・しっかしお前らさぁ、 いくら気まずいからって、そんな かしこまった格好しなくてもいいのに」
ハルオ「いつも作業着なのにさ・・・ お前らのスーツ姿なんて見たの 入社式以来だよ!」
小野寺「・・・これ、会社の方針なんだ」
ハルオ「・・・え?」
中林「実はウチの会社、業態変更してね」
小野寺「建設業から・・・ 総合ITコンサルティングカンパニーに」
ハルオ「・・・え?」
中林「社名も変わったんだ」
小野寺「長山橋建設から・・・ ミラクル☆レヴォリューション、に」
ハルオ「・・・なに? その厨二病みたいな名前」
中林「・・・全ては、ウチを買収した 外資系グループのせいなんだ」
小野寺「現場工事してた人間が、 いきなりIT系の営業だぜ? 無理あるだろ?」
ハルオ「そんな業態変更、効率が悪すぎる・・・ なぜそんなことを?」
中林「外国人の考えることは、 よくわからないよ・・・」
小野寺「・・・でもな」
小野寺「この変革で一番得をしたのは・・・」
小野寺「大浜、お前かもしれないぜ」
小野寺「・・・いや、お前というかなんというか」
ハルオ「は?」
ハルオ「どういうことだ?」
ハルオ(アンドロイド)「いやー、参りましたよー」
ハルオ(アンドロイド)「マダームカナヤマに 1時間もつかまってしまって・・・」
ハルオ(アンドロイド)「ん?」
ハルオ(アンドロイド)「小野寺さーん、中林さーん、 来てたんですかー!」
ハルオ「おい、なんでお前、俺の同期の名前・・・」
「・・・」
「おじゃましてます!」
「エグゼクティブプロデューサー!!」
ハルオ「・・・は?」
ハルオ「わけがわからーん!!」
〇黒
次回予告
〇アパートのダイニング
CEO「・・・見えたわ」
CEO「完全に見えた!」
〇高級マンションの一室
ハルオ「うう・・・」
ハルオ「なぜ?」
〇黒
第6話 父、わけわかめ
お楽しみに!
※なお、次回の内容は
予告から変更になることがあります