File.7 池袋(脚本)
〇メイド喫茶
池袋
コンセプトカフェ『もえもえ』
本郷ノリカズ「やあ、キミか。 今ちょっと外出中でね」
本郷ノリカズ「ここの名物、イチゴパフェが出てくるのを 待っているところだ」
西邨アヤネ「先輩のおごり、とかではないですよね?」
本郷ノリカズ「野暮な事を言うなよ、サイトン」
本郷ノリカズ「さて・・・パフェが来るまでの間、 奇妙な話をしよう。 キミからの電話は、いつもそれだからね」
本郷ノリカズ「これは、同僚の引越し先に遊びに行った時の話なのだが・・・」
〇二階建てアパート
池袋
アパート『大成荘』
駅から少し離れた、古い2階建てアパート。
若者からの人気は無さそうな物件だが、
同僚の女性がここに引越したので
その日は、休日だというのに、手伝い作業に駆り出されていた
北埜カズフサ「これで全部、荷物入れ終わりましたね!」
本郷ノリカズ「そのようだな・・・。 思ったよりも早く片付いたんじゃあないか?」
西邨アヤネ「2人ともご苦労様! やっぱり男の子がいると違うね!」
本郷ノリカズ「休日に気軽に呼び出すとは・・・! ずいぶんと偉くなったものだな、 サイトン!」
西邨アヤネ「西邨(にしむら)だよ? そろそろ覚えようよ先輩」
本郷ノリカズ「私が呼びたいように呼ぶ。 で、荷解きは順調なのか?」
本郷ノリカズ「難航しているなら! そちらも手伝ってやるぞッ!」
北埜カズフサ(意外と面倒見はいいんだよな・・・。 パーフェクトゴリラ)
本郷ノリカズ「遠慮なくキタボンを使ってやれッ!!」
北埜カズフサ(パーフェクトゴリラアァッ!!)
西邨アヤネ「大丈夫だよ、そっちは自分で のんびりやってくから!」
西邨アヤネ「本郷先輩も、北埜先輩も せっかくだからお茶でも飲んでってよ! ケーキも用意してあるよ」
〇古いアパートの部屋
段ボール箱が積まれたままの部屋で、
ささやかな労働の報酬が供される。
まったく・・・割に合わん話だ
西邨アヤネ「今日は二人とも、本当ありがとう! ささ、どうぞー!」
北埜カズフサ「タカセンのロールケーキですね! いただきます」
本郷ノリカズ「しかしサイトンの引越し好きも ずいぶんなものだな・・・。 もう何回めだ?」
西邨アヤネ「今回で9回目・・・」
北埜カズフサ「先輩たしか、3ヶ月前にも引越ししていましたよね」
本郷ノリカズ「そのたびに呼ばれるのだから、 実際いい迷惑だ・・・。 どうして、そんなに引越しするのだ?」
本郷ノリカズ「葛飾北斎に対抗しているのかねッ!?」
西邨アヤネ「いや・・・べつに 引越し回数93回を目指してるわけじゃないんだけどさ・・・」
ピンポーン。
玄関のチャイムが鳴った
西邨アヤネ「ん?誰だろ」
立つ暇を与えないかのように、
チャイムがひたすら連打される
西邨アヤネ「ちょっと・・・なんなのよ・・・」
本郷ノリカズ「おいおいおい・・・。 ずいぶんと子供じみた真似をしてくれるじゃあないかッ!」
本郷ノリカズ「この本郷ノリカズがッ! 出てくれるわッ!」
〇アパートの玄関前
本郷ノリカズ「きさまッ! なんのつもりだッ!!」
本郷ノリカズ「・・・誰もいない、だと・・・ッ?」
しかし、ドアに見慣れない印が付けられているのが目に留まった
本郷ノリカズ「・・・黒いバツ印・・・? なんだ、これは!?」
西邨アヤネ「先輩、どうしたの・・・ ・・・ヒッ!?」
黒いバツ印を見た途端、サイトンは顔をひきつらせ、その場を走り去った
本郷ノリカズ「なんだとッ・・・!? あの女を追うぞ! 取り逃がすなッ!」
北埜カズフサ「先輩! 分かりましたが、 口調が山賊のそれですっ!」
〇公園通り
池袋
東口大通り
人々が賑やかに行き交う駅前。
肩で息をしながら、
彼女はようやく足を止めた。
西邨アヤネ「ハアッ・・・ ハアッ・・・!」
本郷ノリカズ「やっと追いついたぞッ!」
北埜カズフサ「西邨先輩、いったいどうしたんです・・・!」
北埜カズフサ「部屋の鍵もかけてないですよ。 もう帰りましょう?」
西邨アヤネ「いやっ・・・! 絶対帰らない!」
本郷ノリカズ「いったい何が起こった? 聞いてやるから落ち着け」
西邨アヤネ「言っても信じてくれないもん・・・」
北埜カズフサ「話してもらえないと、 信じようもありませんよ・・・」
西邨アヤネ「・・・分かったわ。 どこか座れるところで話す・・・」
〇レトロ喫茶
池袋
コーヒーサロン タカセン
大正9年に創業されたという老舗洋菓子店の2階、喫茶コーナー。
笑顔で談笑する客達の中において、明らかに異質なほど怯えた表情で、彼女は語り始めた。
西邨アヤネ「私の実家・・・すごい田舎でね。 古い因習とか言い伝えとか、 色々とあったりするの」
西邨アヤネ「・・・『ヤマガミサマ』。 もう、すっかり廃れちゃってる信仰なんだけど、豊穣の神様なんだって」
西邨アヤネ「その神様が、村人の中から『オソナエ』を選ぶ、という言い伝えがあって・・・」
北埜カズフサ「『オソナエ』?」
西邨アヤネ「・・・生け贄、なのかな」
西邨アヤネ「信じられないよね。 私も、この目で見るまでは 信じてなかったもん」
〇新興住宅
私がまだ高校生の頃の話・・・。
田舎とはいえ、スマホも普及してたし
古い迷信を信じてるのは、一部のお年寄りだけだった
豊作をもたらしてくれる代わりに、
『オソナエ』を村人の中から捧げる・・・。
もちろん、そんな風習はとっくに廃れて
『ヤマガミサマ』は誰からも敬われず、
オソナエもずっとされていなかったんだ。
そんなある日・・・
ある家の玄関に、黒いバツ印が付けられたの
村人「誰じゃ? わしの家にこんなイタズラしたのは」
村人「ヤマガミサマの印じゃ・・・。 オソナエをしておらんかったから、 自らお選びになられたんじゃ」
村人「お社も、長年放置されておったしの・・・。 お怒りになられておる」
村人「もう農業に頼っている訳でもなし・・・。 ここも近代化しとるんじゃ。 迷信もたいがいにしろ」
村人「敬うどころか、お山を崩して新興住宅化を進めていた結果が、これじゃ・・・。 だからワシら、あれほど言っておったのに」
丸山キヨミ「お父さん、うちに変なマークついてるけど、 どうしたの?」
村人「お前は何も気にせんでいい。 年寄り連中のイタズラじゃ」
丸山キヨミ「・・・? まあいいやー! アヤネと遊びにいってくるね!」
村人「キヨミちゃん、気をつけてなぁ・・・。 ヤマガミサマは、若い娘を気に入られるからなぁ・・・」
丸山キヨミ「・・・? はーい!ありがとう!」
丸山キヨミは、有力者の娘。
でも、偉ぶってるところがないし、私とはすごく気が合って・・・よく一緒に遊んでた
東京に行って、デザイナーの仕事とかできたら素敵だよね・・・なんて、夢を語り合ったりね
〇住宅街の公園
黒いバツ印がついてから、1ヶ月くらい経っていたかな・・・。
キヨミの家でも、話題にも上らなくなったみたいだった
その日も、公園でスケッチしながら、他愛もない話してたんだ。
いつの間にか日が暮れかけてて・・・
夕陽がやけに赤かったな
丸山キヨミ「アヤネ本当、絵がうまいよねー! お話作るのも上手だし、 売れっ子の漫画家になれるよー!」
西邨アヤネ「へへ・・・そっかな? ありがとうー! キヨちゃんのデザイン画も素敵!」
丸山キヨミ「私、将来は絶対、東京行くんだ。 あの夕陽に誓う!」
西邨アヤネ「ここと違って、お洒落なお店もいっぱいあるらしいものね! 私も絶対、キヨちゃんと一緒に行く!」
その時、急に突風が吹いて・・・
いつのまに現れたのか、異様なものが立っていたの・・・
丸山キヨミ「え・・・なに・・・!?」
?「おむかえに、きたよ。 一緒に遊ぼ・・・」
そいつは、キヨミの腕を掴んで、
ぐいぐいと引っ張っていこうとしたの
丸山キヨミ「やぁだっ! 離してっ!」
西邨アヤネ「キヨちゃんっ!」
私は夢中で、そいつに体当たりした。
まるで、ぬいぐるみみたいな、ふかふかした身体だった・・・。
西邨アヤネ「キヨちゃん、手が離れた! 逃げようっ!」
私達、わけが分からなかったけど、
一目散に逃げ出したの
〇ゆるやかな坂道
二人とも、無我夢中で
わけの分からない何かから逃げた。
不思議な事に、道路には私達の他に、誰も人がいなかった・・・
背後から、あいつが追いかけてきていた。
丸山キヨミ「いやあっ! こないでぇっ!」
キヨミが半狂乱になりながら、
車道へと飛び出した・・・。
その時、トラックが・・・
キヨミは、即死だった・・・。
背後から追ってきていたものの気配は、いつの間にか消えてた・・・
〇レトロ喫茶
西邨アヤネ「自分の娘を失った丸山の当主は、怒りに任せてヤマガミサマの社を取り壊し・・・やがて精神病院に入れられたわ」
西邨アヤネ「私は・・・ 東京に出て、大学館に就職した。 でもね。上京して3年くらいしてから・・・」
〇マンションの共用廊下
マンションの自室に、あれが貼られたの
〇マンションの共用廊下
引っ越すたびに、貼られるの。
最初のうちは、引っ越してから半年くらいは大丈夫だったんだけど・・・
最近はどんどんペースが速くなってきて・・・
〇レトロ喫茶
西邨アヤネ「・・・今のアパートは、引越し当日に貼られちゃった」
西邨アヤネ「・・・信じろというほうが無理だよね。 私も、もう・・・なんか、疲れちゃったな」
本郷ノリカズ「そう言って彼女は寂しく微笑み・・・ そして翌日から、姿を見せる事はなくなった というオチかッ!?」
本郷ノリカズ「なかなかに! 面白い話じゃあないかッ!」
西邨アヤネ「・・・勝手に殺さないでよ」
北埜カズフサ「西邨先輩・・・僕は信じます!」
西邨アヤネ「無理しなくていいのよ・・・。 現実離れした話なのは、 自分でもよく分かってるもの」
北埜カズフサ「僕だって、動く謎の植物に 喰われそうになりましたもの!」
西邨アヤネ「なに?? その現実離れした話!」
本郷ノリカズ「キタボンが、とある園長が使ったSFX技術に騙されただけの話だ」
北埜カズフサ「・・・まあ、それはそれとして。 僕からひとつ提案があります」
北埜カズフサ「西邨先輩の話の内容からするに、 多分これがベストな方法です!」
〇電車の中
池袋駅
JR湘南新宿ライン
キタボンに引っ張られるようにして、
私達は電車に乗せられていた
本郷ノリカズ「おいおいおい・・・。 何かと思えば、サイトンを 私の実家に連れて行くだとッ?」
北埜カズフサ「そうです! 本郷先輩のご実家は、 かの有名な『逢魔神宮』じゃないですか」
北埜カズフサ「こういう不思議な事案なら、 日本で一番、適切な場所だと思います!」
北埜カズフサ(あと、いざ得体の知れないのが出ても パーフェクトゴリラなら強引に 追っ払いそうな気がする)
西邨アヤネ「本郷先輩・・・本当ごめんね。 でも、もう頼るものがないの!」
西邨アヤネ「溺れる者が、周囲にワラもないので ゾウリムシの繊毛でいいから 掴みたいような状態なのっ!」
本郷ノリカズ「なるほどッ・・・! それは極限状態だなッ!」
本郷ノリカズ「しかし・・・珍しいな。 この時間帯なのに! 乗っているのが我々だけとは!」
北埜カズフサ「え・・・? 言われてみれば・・・そうですね」
西邨アヤネ「これ・・・このイヤな感じ・・・。 覚えがある・・・!」
本郷ノリカズ「車内で突風だとッ!?」
突如、車両内に強い風が吹いた。
思わず目をふさぐ。
再び目を開いた時、そこには
ファンシーな着ぐるみが立っていた
?「みぃつけたぁ・・・」
サイトンの服に、血のような色の
巨大なバツ印が貼り付けられる。
西邨アヤネ「ヤマガミサマ・・・! やだっ・・・!」
?「ようやく追いついたさ・・・」
西邨アヤネ「はなしてっ! いやあああっ!」
本郷ノリカズ「おいおいおい・・・黙ってみていれば! ちょっと調子にのってるんじゃあないか?」
本郷ノリカズ「電車の中まで追いかけ! 衣服に謎の液体をつけるとは・・・」
本郷ノリカズ「GPSを駆使した変態ストーカーだなッ!」
?「じーぴーえす? すとーかー??」
本郷ノリカズ「迷惑行為だというのがッ! 分からんのかッ!」
?「・・・邪魔をする子は、いらない子!」
?「神舞・・・『桜花烈風』!」
突如、淡い桃色の花弁と共に
車内に竜巻が巻き起こり
私の身体を包み込んだ!
本郷ノリカズ「うおおおおっ! これはッ! これはぁッ!?」
本郷ノリカズ「・・・」
本郷ノリカズ「・・・なんなんだ?」
?「・・・え? 効いてない??」
本郷ノリカズ「まあいいッ! これがッ! ストーカーへの裁きだッ!」
?「神に触れる事、叶わぬ・・・。 神舞・・・『桜花烈壁』!」
桜の花が乱れ舞う中、
着ぐるみの身体が何重にもぼやける。
打ち込む拳が、ことごとく
虚しく空をきった。
?「人の子に、神は倒せない」
?「その拳が神体に届く事はない」
本郷ノリカズ「うおおおおおおおーッ!」
?「・・・え、まだ、殴る?」
本郷ノリカズ「どらどらどらどらどらぁッ!」
?「・・・え? 待って・・・神通力が追いつかない・・・! ちょっと待ってぇっ!」
本郷ノリカズ「うおおおおッ! これがッ! ルポライターの魂だッ!!」
?「きゃあああああっ!?」
北埜カズフサ(本当に気合いだけで倒しちゃったよ、 本郷先輩・・・)
西邨アヤネ「あなた・・・っ! あなたがキヨミを・・・ 私の友達をっ・・・!」
?「それ・・・ちがう・・・。 誤解なのさ・・・」
〇古びた神社
昔は、人の子たちとうまくやれていた。
私は恵みを与え、人の子たちは信仰と
オソナエを与えてくれたのさ。
オソナエは、童たちを山に連れてくる事。
でも、私は童たちと仲良く遊ぶだけ。
楽しく戯れ、数日で山から返していた。
いつからか、人の子の信仰は私から離れた。
オソナエも、人の命を差し出すものと湾曲され、途絶えたさ
山は崩され、木は斬られ・・・
私の力はどんどん削がれていった。
信仰と依代を失った神に、
何の力が残されようか・・・。
〇新興住宅
東京という都市に行きたい、と毎日話している、仲の良い童たちがいた。
疲弊した私には、その話がとても輝いていた
その童たちと、山で語り合いたかった。
でも、オソナエの印をつけても、人の子たちには通じなかった
丸山キヨミ「お父さん、うちに変なマークついてるけど、 どうしたの?」
村人「お前は何も気にせんでいい。 年寄り連中のイタズラじゃ」
〇ゆるやかな坂道
意志が通じない事を悟った私は、
童たちの前に姿を現したさ。
でも信仰を失って久しい私には、
本来の姿を保つ力はなく・・・
せめて愛らしい姿であれ、と力を注いだ化身ではあったが、童たちは、私の姿を見て怯え・・・
〇電車の中
?「残られた童への誤解を解きたく、後を追ったのだが、怖がらせるだけになってしまった。本当にすまぬ・・・」
?「人の子に神通力が効かぬほど、私の力は弱まっていたさ・・・」
北埜カズフサ(弱まってるのではなく、 本郷先輩が特殊なだけな気がする・・・)
西邨アヤネ「私・・・ すぐにあなたを許す気にはなりません。 友人を失った、それは事実ですから」
西邨アヤネ「でも、あなたがずっと伝えたかった事。 それは理解しました」
?「ありがとう・・・。 その一言で、救われたさ」
?「住処となる社も、人の子との繋がりも、私にはもう無い・・・。 とうに、神としての勤めは終えたさ」
?「・・・さらばだ、人の子たち。 愚かしくも愛おしい存在よ」
桜色の光に包まれ、姿が薄れていく・・・。
その時、キタボンが実にッ!
余計な事を言ってのけたのだ
北埜カズフサ「あの・・・ヤマガミサマ! 僕にひとつ、提案があるのですが・・・」
?「・・・ん?」
〇祈祷場
都内某所
神社『逢魔神宮』
拝殿
本郷セイメイ「・・・息子よ。 一つ聞こう」
本郷セイメイ「うちはペット禁止だと言っただろうッ!」
本郷ノリカズ「親父・・・ 言い返すようだが、ペットではないッ!」
本郷ノリカズ「変態ストーカーだッ!」
本郷セイメイ「余計悪いわっ!! 聖なる領域に、危険人物を連れ込むな!」
本郷ノリカズ「・・・しかし、本人は、ヤマノカミだと言い張っている」
本郷セイメイ「神様だとッ? だとすれば、御力がほとんど尽き掛けている・・・。 すぐに祝詞を!」
静まり返った拝殿内に、親父の祝詞が反響する
本郷セイメイ「掛けまくも畏き伊邪那 筑紫の日向の橘の小戸の阿波岐原に 禊ぎ祓へ給ひし時に生り坐せる祓戸の大神たち」
本郷セイメイ「諸々の 禍事 罪穢れ あらむをば 祓へ給ひ 清め給へと 白すことを 聞こし召せと」
本郷セイメイ「恐み恐みも 白す!!」
ヤマガミサマ「・・・ふう。 この社は居心地が良い。 力が湧き出るようさ」
ヤマガミサマ「本来の姿へと戻してくれた事・・・ 本当に感謝する。 人の子よ、大儀であるさ」
本郷セイメイ(これは・・・ッ! ヤマガミの中でも最高位の一人、 和魂咲耶主 (ニギミタマサクヤヌシ)・・・!)
本郷セイメイ(このクラスの神が消滅しかかるほど、我が国の信仰は弱まっているのか・・・)
本郷ノリカズ「本当に神・・・だったとはな! 少し驚いたぞ」
ヤマガミサマ「おまえ、叩いてきたから嫌いさー! シャーッ!」
本郷セイメイ「神を叩いた?? というか、お前・・・怪異は信じないのに、神は素直に信じるのか??」
本郷ノリカズ「これでも神社の息子だッ! 神を否定するわけなかろうッ!!」
本郷ノリカズ「そして、はっきり言っておく・・・。 ここで暮らすなら収入を入れてもらおうっ!」
ヤマガミサマ「・・・し、収入・・・??」
〇メイド喫茶
池袋
コンセプトカフェ『もえもえ』
本郷ノリカズ「・・・という話なわけだ」
ヤマガミサマ「アヤネ、待たせた。 苺のスペシャルケーキさー!」
西邨アヤネ「ありがとう、ヤマガミサマ」
ヤマガミサマ「食べるのは少し待つさ。 より美味しくなる魔法の言葉を ここの店主が教えてくれたさ」
ヤマガミサマ「アヤネも、一緒に言うさ。 せーの・・・ 『もえもえきゅん』!」
本郷ノリカズ「おいおいおい・・・ヤマガミ。 こっちのパフェにも、それやってくれ」
ヤマガミサマ「お前、乱暴だからやだ! シャーッ!」
ヤマガミサマ「でも、感謝してるさ。 神社に住んで良いと言ってもらえたし、 こうやって人の子らと遊ぶ場も見つかった」
ヤマガミサマ「神は、恵みを返すもの。 人の子たちが大切にしてくれるのなら、 私も、人の子たちを護る力となるさ」
西邨アヤネ「やだ、なにこれ・・・。 こんな美味しいケーキ初めて食べた!」
ヤマガミサマ「良かったさー! サービス期間で、チェキも無料なのさ。 ほれ本郷、カメラ」
本郷ノリカズ「・・・馴染んでるようで、何よりだ。 笑え。撮るぞ・・・」
本郷ノリカズ「画面の向こうのキミも、池袋に行く機会があれば、このカフェに寄るといい」
本郷ノリカズ「運が良ければ、本物の神と遊ぶ事ができるだろう」
本郷ノリカズ「では・・・パフェが溶けないうちに食べるとしよう。通信切らせてもらうぞ」
File.7
池袋
完
遂にノリカズの父親が出てきたが…。
おいおいおい、息子と同じテンションじゃあないかっ!