ロボットは星空なんか見上げない

アボカド

第二話 ”ぶんかい”(脚本)

ロボットは星空なんか見上げない

アボカド

今すぐ読む

ロボットは星空なんか見上げない
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇ボロい倉庫の中
カリン(幼少期)「はやく とーさんみたいになりたい」
ダチュラ「・・・・・・」
  廃倉庫で向かい合って立つ
  カリンとダチュラ。
ダチュラ「カリン?」
カリン(幼少期)「だめ?」
ダチュラ「いまは・・・ 「勝手に出かけてごめんなさい」 だろう?」
  カリンは粗末な金づちを
  後ろ手に持ち、
  身体を左右に揺らし始める。
カリン(幼少期)「ここにいても・・・ ”ぶんかい”ばっかりだもん」
ダチュラ「そうか」
ダチュラ「”ぶんかい”、嫌いなのかい?」
カリン(幼少期)「う~ 好きだけど~・・・」
  その場にしゃがんで
  カリンと目線を合わせるダチュラ。
ダチュラ「フフッ」
ダチュラ「とーさんも大好きだ」
ダチュラ「小さいころは カリンのお爺さんが持ち帰る 全てがお宝に見えて・・・」
ダチュラ「自前の作業台から 片時も離れられなかった」
カリン(幼少期)「とーさんは14さいまで待てたの?」
ダチュラ「いーや、待っていられなかったね」
ダチュラ「何が「一人前の証」に相応しいか 皆に聞いて回ったり・・・」
ダチュラ「一日でも早く 規定の14歳になるために 食糧の置き場に忍び込んで・・・」
ダチュラ「貴重な牛乳をがぶ飲みして こっぴどく叱られたよ」
カリン(幼少期)「・・・ぎゅーにゅー嫌い」
ダチュラ「それじゃあ カリンの旅立ちは遅くなるかな」
カリン(幼少期)「えーっ!? えーっ!? やだやだやだやだ!?」
  両脚で小刻みに飛び跳ねるカリン。
ダチュラ「ごめんごめん! 冗談だよ」
カリン(幼少期)「もービックリした よかったぁー・・・」
ダチュラ「・・・・・・」
ダチュラ「さ、カリン」
カリン(幼少期)「うん!」
ダチュラ「持ち場に戻って ”ぶんかい”を続けて」
カリン(幼少期)「はーい!」
  廃倉庫から駆け出してゆく
  カリン。
ダチュラ「・・・・・・」

〇森の中
カリン「・・・・・・」
  運転席のハンドルに
  もたれかかるカリン。
  バックミラーに紐で結ばれて
  ぶら下がる粗末な金づちを
  じっと見つめて黙っている。
ミリオン「いやー! 屋外は太陽の光に思う存分 当たれるねー! おはよー!!」
ミリオン「僕がいた聖堂も ほとんど屋外みたいなものだけど、 一日が木漏れ日を浴びて始まるなんて素敵だね!」
ミリオン「けど濡れてしまったカリンの服を 乾かすほど強くはないかなー! 風邪ひかないように気をつけてね!」
ミリオン「あ、そうだ! もう一度言ってくれない? 僕のことを「伝説級!」って 嬉しかったなー」
カリン「朝からうっせえな!! あのときは舞い上がってたんだよ!」
  楠の枝にかけた
  ジャケットとズボンが、
  風に当たってゆらゆらと揺れている。

次のエピソード:第三話 テラス

コメント

  • やはり世界観作りすごくうまいです
    分解が主な仕事だったのでしょうか。二人がどんな冒険を繰り広げるのかとても楽しみです!

成分キーワード

ページTOPへ