継続する想い

鷹志

第1話 託された想い(脚本)

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〇教会の中
「お互いこれから忙しくなるな」
「ええ。それぞれのプロジェクトが終了するまで5年」
「次にこうしてゆっくり会えるのは5年後ね」
「大丈夫。5年なんてあっという間だよ」
「そうね」
「5年後に再び会おう」
「そして、ここで一緒に・・・」
「わかった」

〇研究装置
  4年後・・・
真人「よし、これで完成だ」
マサト「・・・?」
マサト「ここは? 僕はいったい?」
真人「マサト、よろしくな」
  アンドロイドの研究者の真人は、自分自身のアンドロイド・マサトを創った。

〇おしゃれなリビングダイニング
  真人とマサトはいつも一緒に行動した。
  食事のときも、仕事のときも。
  真人はマサトに対して、仲のいい双子の兄弟や親友のように接した。
真人「どうだい今日のご飯は?」
マサト「すごくおいしいよ」
真人「今日も忙しくなりそうだな」
マサト「そうだね。がんばろう」

〇海沿いの街
  外出するときも二人は一緒だった。
  忙しいプロジェクトの合間に無理矢理時間を作って、旅行にも行った。
マサト「いい景色だね」
真人「そうだな。来てよかったな」
  始めはどこかぎこちない様子だったマサトも、だいぶ打ち解けてきて、真人を心から信頼するようになっていった。
  2人は互いを尊重し合う信頼関係で結ばれていた。
  しかし、そんな2人の時間は長くは続かなかった・・・

〇病室
  真人が参加していたプロジェクトが間もなく終了するという頃・・・
  真人は体調を崩して入院してしまった。
  プロジェクトはマサトが引き継ぎ、無事に完了させることができた。
  しかし、その後も真人の体調が回復することはなかった。
真人「・・・」
  真人は病室にマサトを呼んだ。

〇病室
真人「マサト、今までありがとう」
マサト「真人、いきなり何を言い出すんだ」
マサト「病気でちょっと入院してるくらいで」
真人「実は今まで黙っていたが、俺の病気は相当進行している。もう治らない」
マサト「えっ!?」
真人「・・・俺は間もなく死ぬ」
マサト「なっ・・・真人、冗談はやめてくれよ」
真人「本当のことだ。こんなこと冗談じゃ言えない」
マサト「そんな・・・」
真人「マサト、お前にひとつ頼みがある」
真人「よければ、それを引き受けてくれないか?」
マサト「頼み?」
真人「俺は5年前に、ある女性と約束をした」
真人「5年後に再び会おうと」
真人「そして、2人で一緒になろうと・・・」
マサト「・・・」
真人「しかし、俺はもう長くない」
真人「その約束は果たせそうにない」
真人「だから・・・」
真人「マサト。俺の代わりに彼女に会いに行ってくれないか?」
マサト「えっ!?」
真人「この1年、俺たちはいつも一緒に行動してきた」
真人「いまやお互いの考えていることもわかる」
真人「だから、お前なら俺になれる」
真人「俺になって、彼女に・・・ナオミに会ってほしい」
真人「そして、もしマサトとナオミが望むなら、そのまま2人で一緒になってほしい」
マサト「真人・・・」
マサト「真人、君はそのために僕を創ったんだね」
真人「すまない。その通りだ」
真人「でも、お前と過ごした時間は、俺にとって本当にかけがえのない幸せな時間だった」
真人「それは本当だ」
マサト「・・・わかった」
マサト「僕は真人になる。そして、ナオミに会ってくる」
真人「マサト・・・」
マサト「僕が真人の想いを受け継ぐよ」
真人「マサト、ありがとう」
  数日後、真人は亡くなった・・・
  マサトは、真人の想いを受け継いで、ナオミに会いに行く・・・

次のエピソード:第2話 すれ違う想い

コメント

  • わぁー!鷹志さんっ!お元気でしたか⁉︎✨
    こうして新たな作品を読むことができて嬉しいです✨☺️

    切ないところから始まって、続きが気になります!!
    引き続き読ませていただきます✨☺️

  • 柔らかく、しっとりと入る印象的な第一話ですね✨
    5年という歳月、真人さんはマサトさんに想いを託すことになってしまいましたが、ナオミさんは変わらず愛を抱き続けてくれているのか、マサトさんの正体に気付いてしまうのか、先々がとても気になります😊

  • うわあ〜!もう切ないです!!
    真人が彼女のために創ったマサトが果たして恋人になれるのか…?
    引き続き読んできます!

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