神に譲歩は難しい

資源三世

神に譲歩は難しい(脚本)

神に譲歩は難しい

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神に譲歩は難しい
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〇西洋の城
  ──幻想の地・イザヴェル
  シヴァにイザナギ、ゼウス・・・、世界中の主神級が、虹の橋を越え、この地に会していた

〇ファンタジー世界
オーディン「やってくれたな、ロキ」
ロキ「なんのことだ?」
オーディン「とぼけるな。グノーシスの奴らを、この会議へ呼んだろう?」
ロキ「変革には異端という起爆剤が必要だからな」
オーディン「だとしても、あんな得体の知れない奴ら」
ロキ「案外、普通だったぞ」
オーディン「そんな戯れ言、信じるとでも──」
オーディン「来たか!」

〇西洋の城

〇ファンタジー世界
オーディン「あれが魔王と天使長!」
オーディン「なんて存在感だ・・・」

〇西洋の城
???「閣下ー」
モブ悪魔「お弁当忘れてますよー」
ルイ「え? あ、本当だ。ありがとー」
モブ天使「天使長!」
ミア「私は忘れてないけど?」
モブ天使「私への罵倒をお忘れです」
ミア「知らないわよ。帰れ」
ルイ「それで今日の会議は何やるんですか?」
ミア「何で知らないのよ」
ルイ「暖房が壊れて氷漬けになってたので、よく覚えてないんですよ」
ミア「会議に参加してていいの?」
イザナギ「いくか」
シヴァ「そうだな」

〇ファンタジー世界
オーディン「あれが魔王に天使長か・・・」
ロキ「あれが、魔王に天使長。なんて存在感だ」
オーディン「やめろー!」

〇城の会議室
  ──神殿・会議室
オーディン(おのれ魔王に天使長。紛らわしいモブを連れてきやがって)
ルイ「なんか睨まれているような」
ミア「当然でしょ。あなた、魔王なんだから」
ルイ「いやいや、神(クソ上司)の悪行からして、天使の方がよっぽど──」
ロキ「静粛に」
ロキ「全員揃ったな」
ロキ「ではこれより第数千回目の英雄神プロデュース会議を始める」
  英雄神──
  それは偉業を成し、人々から信仰を集め神へ至った者達である
  彼らは神として世界の平穏を守り、次代の英雄達へと平和のバトンを繋げてきた
  ――が
ロキ「近年は英雄の減少で少神化著しく、後継者は不足、負担は激増、ワンオペ、サビ残当たり前。いまや神は超絶ブラック扱いだ」
ロキ「我々はこの事態を重く受け止め、ある対策を打ち出した。それが強制的に神に至る英雄を生み出す儀式(デスゲーム)だ」
ルイ「面白い試みですね」
ロキ「魔王ならそう言うと思ったよ」
ミア「神(ハゲ)が嫌な顔しそうなのが特にいいわ」
ロキ「天使がそれ言っていいのか?」
ルイ「進捗はどのくらいです?」
ロキ「何一つ決まってない」
ルイ「は?」
ロキ「例えば、参加者をどう集めるかだが」
アテナ「ゼウスは『私が誘拐する』と言ってます」
ロキ「自分の神話を見直してから言え」
イザナギ「やはり神隠しなら我が国の天狗だな。ついでに試練も八岐大蛇退治でどうだ? 知略と武勇、両方を試せるぞ」
ロキ「攻略法バレてるぞ」
アテナ「ゼウスは『たかが八つ首の蛇がどうした。うちの息子は九つ首を倒した』」
アテナ「『他に獅子、鹿、猪、怪鳥も狩ってる。英雄ならこれくらい出来ないと』と言ってます」
ロキ「現代人に十の難行をさせんな。即全滅するわ」
シヴァ「死んだら象の頭でもつけとけ」
ロキ「傷口にツバつける感覚でガネーシャ量産するな」
ロキ「・・・このように会議は紛糾して何一つとして決まってない」
ルイ「・・・帰っていいですか?」
ロキ「却下」
ロキ「君達を呼んだのは、異分子を参入させ、事態のブレイクスルーを起こし、イノベーションに繋げることを期待してのこと」
ルイ「ブレイクする? リノベ? ぶっ壊して刷新ですね、得意です!」
ミア「違うわよ」
ロキ「報酬に月と太陽とフレイヤをやるから」
ミア「それ払う気ないでしょ」
オーディン「そういうのは解決できる奴がいうもんだ」
ルイ「はあ? この程度できますが? 報酬がショボいからやらないだけですが?」
オーディン「なら何が欲しい? グングニルでも、ミョルニルでもいいぞ。言うだけならタダだからな」
ルイ「良いんですか? 後でやっぱり無理とか泣きつかれても知りませんが」
オーディン「貴様らこそ、イザヴェルの砂を持ち帰る準備をしておくんだな」
ロキ「決まりだな」
ロキ「誇りと神の武器を賭け、グノーシスと北欧の対決といこうじゃないか」

〇西洋の城

〇城の会議室
ミア「では参加者は天狗の神隠しで連れてくることで決定です」
イザナギ「任された」
ルイ「じゃあ次、デスゲームですが」
ミア「これは難易度調整より、参加者に力を与える方が楽じゃない?」
ルイ「チートというやつですね」
シヴァ「楽して力を得るのは気に入らんな」
アテナ「勇あれど武なき者もいます。勇と知で戦局を変えるチートも良いと思いますよ」
シヴァ「ふん、一理あるな」
ルイ「でもチートの用意はどうします?」
アテナ「ゼウスは『私の子種(チート)なら、いくらでも配れる』と言ってます」
ルイ「汚いチートをばらまくな」
イザナギ「我々が与える必要あるのか? 道真は自らチートを発現させ、神に昇りつめたぞ」
ルイ「それチートじゃなくて祟り!」
ロキ「随分と落ち着いてるな」
オーディン「課題を細分化し、話題がずれたら軌道修正を繰り返す。一見すると順調だ」
オーディン「だがこの程度なら、既にお前が解決しているだろう」
  そう言うとオーディンは、活発な会議の中で静かにするゼウスを眺め、にやりと笑みを浮かべる
オーティン「穏健な神々相手なら、これで十分だ」
オーティン「我の強い神々も、良い流れに我儘は通さない」
オーディン「だが──」
アテナ「ゼウスは『やはり私が参加者を誘拐して、子種(チート)を授けるほうがお得だ』と言ってます」
ルイ「話を蒸し返すな!」
オーディン「ゼウスは譲らない」
オーディン「あいつ、出禁にしても、何食わぬ顔して会議にやってくるからな」
シヴァ「やはり己の武を持たぬ英雄はどうかと思うぞ」
モブ神2「いやいや、武や知じゃなく、芸術で有能な人間だってな」
ルイ「あー、もう! 少し落ちついて」
モブ神3「最近は神絵師というのがいてな、そやつらなどは──」
ルイ「はぁ? そういうのはダヴィンチ越えてからにしてもらえます?」
オーディン「奴が我を押し通そうとするから、皆も意地になって、場はぐちゃぐちゃになる」
ロキ「いつものパターンだな」
オーディン「会議とはより良い答えを、皆で導き出すもの。だがゼウスは違う」
オーディン「奴は自分の意見を押し通すことしか考えてない」
オーディン「元よりこの勝負は賭けになってないんだよ。全て私の想定通り──」
「えーい、面倒だ! 全て壊してしまえ!」
シヴァ「全て破壊して、最初から創造し直そうぞ」
ミア「いけない、あまりの混沌ぶりに、破壊神たちのリセット欲求が高まってるわ」
ルイ「やーめーろー! ここまで文明育つのにどれだけの時間と労力がかかったと思ってるんだー」
ロキ「予想外の方向に悪化してるな。これも想定内か?」
オーディン「いや、流石に本当に破壊するわけが・・・」
ミア「仕方ない。アレの出番ね」
ルイ「何か策があるんですか?」
ミア「今こそ、ラッパを吹くとき! 待ちに待ったハルマゲドンの時間よ」
ルイ「勝手に始めるな!」
ロキ「やる気満々だな。どうすんだ、これ」
オーディン「あー、えーと、そうだな・・・」
オーディン「なんとかしろ、ロキ! あいつら連れて来たのお前だろ」
ロキ「あ?! あいつらを煽ったのはお前だろが」
  世界を作り直したい破壊神、維持したい穏健派、最終戦争を目論む天使長、とにかく自分の意見を通したいゼウス・・・
  会議は混沌を極め、この混沌をかき混ぜたら、新しい世界が作れそうなほど、収拾がつかない事態に陥っていた
ルイ「あー、もう!」
ルイ「この手は使いたくありませんが、仕方ないですね」
  ますますヒートアップする会議に、ルシフェルは向き直ると、胸を張り、出来る限りの大きな声で訴えかける
ルイ「聞け、異国の神々よ。今すぐ争いをやめよ! さもなくば──」
ルイ「あなた達の奥さんを呼びますよ」
オーディン「おい、やめろ、おい・・・」
イザナギ「・・・ナミが! イザナミがくる! うわぁー!」
シヴァ「違う、今回は会議だから! 家庭より行を優先してるわけじゃないから!」
アテナ「ゼウスの脈がありません。ショック死したようです」
  収拾のつかない混沌とした会議は、たちまちのうちに阿鼻叫喚へと姿を変えた。別の混沌になったとも言う
ルイ「奥さんに醜態晒したくなければ、さっさと会議を決める!」
  神々の恐怖と、ゼウスの死。二つの相乗効果により、会議は驚くべき速さで進んでいった
  あれだけ我を通そうとした神々が、互いの意見を尊重し、譲り合い、一つの目標の為に最善を尽くしてゆく
  その姿を見て、ルシフェルはこう思った
ルイ「どんだけ奥さん怖いんですか、この神々・・・」

〇西洋の城
  神々の尽力により、会議は成功を告げた。そして──
オーディン「ほら、約束の報酬だ」
ルイ「これがレーヴァティンですか。燃えてる、燃えてる」
ミア「巨人の武器なんてどうするつもり?」
ルイ「それはですね・・・」

〇闇の要塞
  ──追放の地・コキュートス

〇謁見の間
ルイ「あったかーい」
バアル・ゼブル「流石は北欧の炎属性。暖房にうってつけですね」
  勝利の報酬として、コキュートスに暖房が導入されたのだった

コメント

  • キャラ立ちがスゴかったです!

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