父、帰りたい

makihide00

第2話 父、やるせない(脚本)

父、帰りたい

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〇病室
ハルオ(アンドロイド)「いやー、まさか 私のモデルであるハルオさんに お目にかかれる日が来るなんて!」
ハルオ(アンドロイド)「・・・ナイストゥーミーチュー!」
ハルオ「俺が・・・モデル・・・?」
ハルオ「1ミリも共通点がなーい!!」
ユキエ「あ、あなた・・・ これには深いわけがあるの」

〇アパートのダイニング
ユキエ「・・・本当なんでしょうか」
ユキエ「本当に、主人にそっくりの アンドロイドなんて・・・」
アンドロイド業者「このたびのご主人様のこと、 心からお悔やみ申し上げます」
アンドロイド業者「ですが、残された奥様方は 前に進んでいかなければならない」
アンドロイド業者「われわれの技術がその一助となり、 心の隙間を少しでも埋め、 また、未来への希望となればと・・・」
ユキエ「でも・・・」
ユキエ「そっくりといっても 所詮はアンドロイド・・・」
ユキエ「主人の・・・あの人の代わりには・・・」
アンドロイド業者「・・・」
アンドロイド業者「・・・大変失礼しました」
アンドロイド業者「ご心労のさなかに自宅まで 伺いました無礼をお許しくだ・・・」
ユキエ「待ってください!」
アンドロイド業者「・・・え?」
ユキエ「・・・あの」
ユキエ「アンドロイドは主人に 似てなくてもいいんですか?」
アンドロイド業者「え、ええ、まぁ・・・」
ユキエ「わたしの好きなように カスタマイズってできます?」
アンドロイド業者「・・・もちろん」
ユキエ「・・・」
ユキエ「分割保険金払いでお願いします!!」

〇病室
ユキエ「・・・わかってくれた?」
ハルオ「・・・理由はわかった」
ハルオ「でも、旦那の立場としては ちょっとわからないねぇ!?」
ハルオ「なんだよ、カスタマイズって!」
ユキエ「だって、ほら、わたし・・・」
ユキエ「イケオジ、大好きだからっ!」
ハルオ「答えになってなーい!!」
ハルオ「あのなぁ、旦那の名前で 自分好みの男のアンドロイド作って・・・」
ハルオ「なにがしたいんだよ! そもそもじゃあなんで俺と結婚した!?」
ユキエ「そりゃあなただって、 若い頃はそれなりにイケてたもん」
ユキエ「・・・時の流れは残酷よね」
ハルオ「そんなのお互い様だろうが!」
ハルオ「お、お前だって若い頃は もっと肌もツヤツヤでキレイで・・・」
ユキエ「・・・ひどい」
ハルオ「い、いや、だってどっちもどっち・・・」
ハルオ(アンドロイド)「レディを泣かせちゃいけませんねぇ、 ハルオさーん」
ハルオ(アンドロイド)「ユキエは今もソービューティフル! ね、だから泣かないで!」
ユキエ「・・・うんっ」
ハルオ「俺、どんな顔して この会話聞いてりゃいいんだ!?」
アミ「ちょ、静かにしてくんなーい」
アミ「電話の声聞こえないんで」
ハルオ「おい、そもそも病室で電話するなよ!」
ハルオ「だいたい誰と電話してんだ?」
アミ「はぁ? カレピだけど」
ハルオ「カレ・・・ピ・・・?」

〇草原の一軒家
アミ「パパ・・・これどうぞ!」
ハルオ「おお、毎年すまないなぁ・・・」
ハルオ「あのな、アミ・・・ もうパパにバレンタインはいいから」
ハルオ「来年は本命だけに渡せよ?」
アミ「ほ、本命だなんて・・・」
アミ「そんなのいないもんっ!!」

〇病室
アミ「んー、わかったー 終わったらソッコー合流するー」
アミ「え? クルマで迎え? マジ助かるー んじゃまた、あーい」
ハルオ「お、おい、クルマ・・・? いったい相手はいくつだ?」
アミ「にじゅうよーん」
ハルオ「は、犯罪・・・」
ハルオ「16の娘に24の男は犯罪でしょうが!?」
ユキエ「あらー、彼氏さん とってもいい子よー、イケメンだし」
アミ「ママー、もう行っていい? あと、今日夕飯いらないから」
ユキエ「はいはい、いってらっしゃーい」
ハルオ「いってらっしゃーい、じゃねぇっ!」
ハルオ「ユキエ、お前どういう教育・・・」
ユキエ「・・・仕方ないじゃない」
ユキエ「あの子だって、多感な時期に 急に父親がいなくなって・・・」
ユキエ「少しぐらい道をはずれて 心の拠り所を探したくもなるわよ」
ハルオ「だからって、ステレオタイプすぎる! 典型的なグレ方じゃねぇか!」
ハルオ(アンドロイド)「はいはーい、ストップストップ!」
ハルオ(アンドロイド)「・・・ハルオさん、今おいくつ?」
ハルオ「・・・48」
ハルオ(アンドロイド)「レディに聞くのはソーソーリーですが ・・・ユキエさんは?」
ユキエ「・・・40」
ハルオ(アンドロイド)「あれ?おふたりだって 年の差8歳じゃあーりませんか!」
ハルオ「いや、しかし、 俺がユキエと出会ったのは30手前で」
ハルオ(アンドロイド)「年齢なんて、ナンセンス!」
ハルオ(アンドロイド)「それに・・・アミちゃんは今、 大事な大事な人生勉強をしてるんです」
ハルオ(アンドロイド)「痛みを知らなければ わからないことだってある」
ハルオ(アンドロイド)「本当に道を踏み外しそうになったら 手を差し伸べてやればいい」
ハルオ(アンドロイド)「それまでは若さゆえの葛藤を あたたかく見守ってやりましょう・・・」
ハルオ(アンドロイド)「ね!」
ハルオ「・・・」
ハルオ「ユキエ、お前の理想のタイプって 本当にコイツなのか?」
ユキエ「うん・・・最近ちょっと カスタマイズしすぎたかなって思う」

〇黒
  次回予告

〇病室
ケン「こっちのパパのほうが いっぱい遊んでくれるもん!」
ハルオ「・・・ケン」

〇車内
ハルオ「帰るぞ!自然あふれる 狭いながらも楽しいわが家に!」
ハルオ「え」

〇黒
  第3話 父、居場所ない
  お楽しみに!
  ※なお、次回の内容は
  予告から変更になることがあります

次のエピソード:第3話 父、居場所ない

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