愛天使世紀 ウェディングアップル

ウェディングアップル・シナリオ制作チーム

第58話 第七の悪神①(脚本)

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〇海辺の街
  昼下がりの海辺の町。

〇住宅地の坂道
  市街地に続く長い坂道を、林檎が慌てて駆けていく。
朝陽林檎「遅刻、遅刻~!」

〇公園通り
朝陽林檎「ごっめ~ん、遅れちゃった!」
  優斗は振り向くと、黙って林檎に手を差し出した。
朝陽林檎「?」
黒岩優斗「遅刻代。映画の券、林檎のおごりな」
朝陽林檎「えぇ~~!」
  しぶしぶとバッグから財布を取り出す。
黒岩優斗「ばか、冗談だ」
朝陽林檎「なっ、優斗さんのいじわる~!」
  そのとき、男の叫び声が聞こえた。
  「危ない!」
  振り向く間もなく、林檎の頭上から工事用具が落ちてきた。
朝陽林檎「きゃあ!」
黒岩優斗「林檎!」
  咄嗟に優斗が林檎を引き寄せる。
作業員「すみません!! お怪我は?」
黒岩優斗「大丈夫。林檎は?」
朝陽林檎「へ、平気・・・あっ。優斗さん、血!」
黒岩優斗「かすり傷だ」
朝陽林檎「かすり傷でも、手当てしないと」
  林檎がハンカチを取り出して、優斗の血をぬぐう。
  優斗は傷口に滲む血をじっと見つめた。
黒岩優斗「・・・クク」
朝陽林檎「え?」
黒岩優斗「・・・どうした?」
朝陽林檎「今、優斗さん、笑って・・・」
黒岩優斗「何言ってんだ? ほら行くぞ、映画まで時間がない!」

〇SHIBUYA SKY
  ネオンの輝く夜の街並みが広がる。
  ベーザイは夜空にブローチを透かすようにして眺めた。
ベーザイ「・・・蘇る。忌々しい記憶」
ビーモン「こんな所においででしたか。 次のライブの予定ですが──」
ベーザイ「・・・・・・」
ビーモン「ベーザイ様?」
ベーザイ「ライブについては一任する」
  ベーザイはブローチをしまうと、ビーモンを残して去っていく。
ビーモン「どこへ行かれるのですか!」
ベーザイ「・・・黒岩優斗。 奴の悪魔の血を覚醒させる」
ベーザイ「今度は容赦しない!」

〇シックなバー
苗場桜「またデート?」
朝陽林檎「ただのデートじゃないもん!」
朝陽林檎「運命の場所、二人が初めて出会ったクローバーの丘でのピクニック!」
苗場桜「惚気るなら見えない所でして下さ~い」
雪代椿「わたくしには分かります、林檎さんの気持ち」
雪代椿「デートとは何度重ねても新鮮なもの。 いつだって心は初恋の気分」
マスター「椿ちゃん、頼んだやつまだ!?」
雪代椿「恋人たちの未来に幸あれ」
朝陽林檎「桜ちゃんにも分かるよ、この気持ち・・・いつか好きな人ができればね」
苗場桜「調子に乗っちゃって」
朝陽林檎「桜ちゃんの周りにも一人くらいいるんじゃない? 気になる人とか」
苗場桜「気になる人、ね・・・」

〇土手
大門ダイキ「ぼ、ぼくは・・・悪・・・この世を悪に染め上げることが使命」
苗場桜「しっかりしてよダイキ!!」

〇シックなバー
苗場桜「あいつ・・・大丈夫かな・・・」
朝陽林檎「あいつ?」
苗場桜「なんでもない、友達の話」
苗場桜「林檎、調子に乗って後でフラれても知らないから」
朝陽林檎「私達は永遠だもん。明日、楽しみだなあ」

〇可愛らしい部屋
バビルン「・・・焦げ臭い!?」

〇綺麗なキッチン
バビルン「た、大変だ林檎! 逃げろ、火事だああぁぁ~!!」
朝陽林檎「バビル~ン」
バビルン「・・・食べ物で遊ぶのはよくないぞ、林檎」
朝陽林檎「遊んでない! これも花嫁修業の一環」
朝陽林檎「花嫁たるもの、お弁当くらい作れなきゃ」
バビルン「弁当・・・先が思いやられる」

〇結婚式場前の広場
  翌日。優斗は急ぎ足で林檎との待ち合わせ場所に向かった。
黒岩優斗「・・・なんとか間に合いそうだな」
財前麗子「優斗くん」
黒岩優斗「麗子さん? どうしてここに」
武笠蘭(黒岩さん? と、誰・・・?)

〇公園のベンチ
  林檎はお弁当箱を膝に乗せたまま、ベンチで優斗を待っていた。
朝陽林檎「・・・出ない」
武笠蘭「林檎!」
武笠蘭「待ち合わせ?」
朝陽林檎「う、うん、優斗さんと」
朝陽林檎「でも遅いの。 何かあったんじゃないかって、少し心配」
武笠蘭「・・・あの人、林檎の気も知らないで」
朝陽林檎「蘭、何か知ってるの?」
武笠蘭「黒岩さんなら、さっき見かけたよ。 ・・・女の人と、一緒だった」
朝陽林檎「!」

〇広い公園
黒岩優斗「・・・っ」
  突き飛ばされて、叩きつけられる優斗。
  突き飛ばした本人──麗子は、不気味な笑みを浮かべて優斗を見下ろした。
黒岩優斗「麗子さん、突然何を・・・。 まさか、魔霊に取りつかれて──」
  麗子は瞬く間にベーザイに変貌すると、優斗に襲いかかる。
黒岩優斗「!? ぐっ・・・!」
  優斗は瞬時に変身して、ベーザイの攻撃を受け止めた。
聖クローバー「その姿は・・・!?」
ベーザイ「財前麗子は人間界での仮の姿」
ベーザイ「我が名はベーザイ、神聖なる悪魔の始祖」
聖クローバー「・・・あんた、魔霊たちの仲間か!?」
ベーザイ「ここ数日、人間に扮してお前の様子を観察していた」
聖クローバー「・・・俺に一体、何の用だ」
ベーザイ「林檎、とか言ったか? お前の側にいたあの娘」
聖クローバー「! 林檎がどうした!?」
ベーザイ「憐れな娘だ。お前のことを信じきっている。騙されているとも知らず」
聖クローバー「何言ってる、俺がいつ林檎を騙した」

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