SAMURAI・RYU

鶴見能真

第一章その5 2人の東川龍(脚本)

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〇白
  刀は人を斬る刃。
  包丁は食材を切る刃。
  鎌は草を切る刃。
  言葉は時に心を切り付ける刃。
  用途は違えど刃は生物を傷付けいずれ死に追いやる。
  如何なる刃を振るいし者も、手にするそれは人を殺せると知れ──
東川龍「ここは・・・!?」
  気がつくとそこは何もない空間だった
東川龍「そうか・・・。あの時死んだんやな、おれには救えへんかったんか」
???「全くだ」
???「お前言ったよな、今回は自分で解決したいから今回だけはやらせてくれって」
東川龍「・・・すまん」
青龍「貴様等、ワシのカラダニ何してくれる!?」
???「お、ミズトカゲ」
東川龍「青龍・・・」
???「お前らな。今は俺の肉体(からだ)だぞ、十年以上前にそう決めただろ?」

〇森の中
  11年前、ある森・・・
???「ギュルルルル!!」
  当時、大昔に封印された魔物が復活した。
  その名は麒麟
北山玄武「良いか皆の者! 今こそ四神の力を結束させ、彼奴を封じるのじゃ!」
白き勇士の末裔 娘「あいよ! あたいらが力を合わせて乗り越えられへんかった苦難はあらへん!」
南澤雀呂「けっ! お前らと組むなんざ御免や。 今回で最後やさかいな!」
東川龍「いくでみんな!」
  4人はそれぞれ手にする武器を天に掲げ重ねる
「うおおおおー!」
  雄叫びと共に4人は向かってゆく。
  力は拮抗していたが、それは意外な形で崩れる事になる
東川龍「ぐっ──」
  どこかからの横槍により龍はダメージを受け一瞬の隙が生じる
北山玄武「青龍!」
南澤雀呂「龍!」
白き勇士の末裔 娘「龍ちゃん!」

〇白
「おれは、死んだんか・・・?」
???「おーい、・・・おーい!」
東川龍「誰や・・・。青龍か?」
青龍「グッ・・・オレハ、コッチダ。ナンナンダ奴は!」
東川龍「奴・・・?」
???「やっと起きたかー!」
東川龍「って誰やお前! おれ!?」
青龍「グッ・・・」
東川龍「しかも青龍コテンパンにさるとるし、どういう事や?」
???「ん、その化物か? さっき”俺様”の”お前の身体を頂く”とか言いながら食おうとしてたからぶっ倒してやったぜ?」
東川龍「わけわからんわ・・・。誰やお前は?」
???「俺か? 俺は通りすがりの魂。特技は剣術だ」
東川龍「魂・・・、幽霊か?」
???「あー、もう面倒だからいいやそれで。今度時間ある時ゆっくり話してやる」
東川龍「はあ。・・・それでここはどこや? 青龍もおるゆう事はおれの精神世界かそれともあの世か?」
???「あの世やないな。やべ、関西弁うつった。 だから前者だな」
東川龍「やとしたら何で通りすがりの幽霊がおれの精神世界におるんや?」
???「まずな、お前はさっき死んだ。で、丁度身体を探してる俺がここに辿り着いたんだ」
???「この世に復活・・・いや今時に言うなら転生する為にな」
東川龍「おれが死んだ所に丁度転生する身体を探してたお前が現れたゆうんか」
東川龍「そう言えばさっき青龍を倒した言うたが、本来死んだおれの身体は青龍に食われる筈やったのにお前が倒したからそうはならんかった」
東川龍「そう言うわけか?」
???「ああ、そのバケモノはそう言うわけだったのか」
東川龍「で、おれの身体はお前のものになるっていう訳か」
???「俺のものっていうか、身体を貸してくれる代わりに今回生き返らせてやるって事だ」
???「とは言え、主人格は俺になるぞ。だがお前の意見はある程度聞いてやる」
???「人間関係でこいつと仲良くとか縁を切るとか。将来はどんな仕事をしたいとかな」
東川龍「それっておれ生きてるって言うのか?」
???「それは勝手に判断しろ。おまえがダメなら俺は他の身体探すだけだ」
東川龍「まあ、どうせ死んだおれは青龍に心身食われる事になってるからな・・・」
東川龍「お前、剣士って言うてはったな。ここで手合わせ出来るか?」
???「ん、いいぞ」
  刀を構えた2人は剣を交える事でお互いを知る事になる。
???「お前弱いな。基礎もしっかりしてるし才能もある。憂うべきは人を斬る覚悟が出来てねえ事か?」
???「いや、違うな。才能は無い。ただ人を斬る覚悟があればそこそこマシになる程度だ」
東川龍「人を斬るやなんて、今の時代じゃ快楽殺人者くらいやろそんなん覚悟出来るのは」
???「で、剣を交えて何か感じたか?」
東川龍「あんだが強い事と、悪人じゃない事、信用出来る事はわかった」
???「普通そんな事わかるか? 俺はお前が、人を斬る覚悟は無いが何かを守る覚悟がある事くらいしかわからなかったぞ?」
東川龍「それで充分やと思うが・・・」
???「じゃ、お前身体をよこして生きるか諦めるかどっちだ?」
東川龍「青龍よりは信用出来そうや」
青龍「グッ・・・”ワシノカラダ”ガ!!」
東川龍「頼むで。・・・そう言えばお前の名前聞いてへんな」
???「俺の名か? そうだな、俺の名を呼んで初めてお前は俺を受け入れた事になる」
???「いいか、俺の名は──」
  その後復活した龍は麒麟を撃ち倒すのであった

〇白
  時は戻り現在より少し前
  北山玄武の訃報をしった直後の東川龍
東川龍「頼む! おれに北山のじっちゃんをやった犯人を逮捕させてくれ!」
???「いいぞー。条件は言うまでも無いよな?」
東川龍「おれがヘマしたらもう2度とおれは表に出られずアンタに身体を渡すんやろ?」
東川龍「わかっとる。一回死んだ時点でこうなる事は覚悟の上や」
???「んじゃ、達者でなー」

〇白
???「な?」
青龍「フン!」
東川龍「あぁ・・・」
???「で、お前は今回。”玄武の爺さんをやった犯人は自分が捕まえたい”って言ったよな」
???「で、俺は。もし”失敗したら二度と表には出られない”って言ったよな?」
東川龍「あぁ・・・。おれの無力さには参るで」
???「後悔しても遅いぞ。今回特例を与えた結果がこれだ、覚悟は出来てるだろうな?」
東川龍「・・・」
  龍はもう1人の人格に切り伏せられる

〇中華風の通り
東川龍「よし復活」
  立ち上がった龍は体に刺さる朱雀の羽を抜き取ってゆく
東川龍「イテテテテ」
朱雀「ナニ! ナゼイキテイル!?」
東川龍「傷の治りは早え方なんだよ」
東川龍「さて、始めるか!」

次のエピソード:第一章その6 伝説の始まり

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