いわく鑑定士

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〈憧れのあの子になれる〉手鏡(脚本)

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〇時計台の中
鑑定士「この世には〈いわく〉を抱えた呪いの品が存在します」
鑑定士「私は、そんな〈いわく〉付きの品専門の鑑定士」
鑑定士「さて、本日の〈いわく〉は、一体おいくらになるのでしょうか・・・」

〇時計台の中
美結「はぁ、はぁ、」
鑑定士「お客様、どうされましたか?」
美結「ここ、ですか? こちらが、その、〈いわく〉付きの物を処分する・・・」
鑑定士「処分ではなく、『鑑定』です」
鑑定士「では、こちらに鑑定したい物を」
鑑定士「手鏡、ですね。では、これにまつわる〈いわく〉をお聞かせください」
美結「はい、えっと、私は・・・、あ、あの、ま、み、美結・・・」
美結「す、すみません、メモを準備してきたので、少し待っていただければ・・・」
鑑定士「・・・」
美結「えっと、私の名前は黒田美結、三姉妹の次女、私は美結、姉妹の中では暗い方で、馬鹿にされていました」
美結「私、美結は小学校の頃から憧れの友人がいました。彼女は可愛くて、明るくて、私にとってアイドルのような存在でっ!」
鑑定士「お客様、〈いわく〉についてお聞かせください」
美結「・・・すみません」
美結「では、改めてお話しします・・・」

〇テーブル席
  私には、真結美という小学校からの友達がいました。
  可愛くて、明るくて、真結美は私の憧れでした。
  対する私は、暗くてブス。いつか真結美に近づけるようにと、ずっと頑張っていたのですが・・・
美結「はぁ・・・」
真結美「元気出してよ、美結」
美結「やっぱ私に読モなんて無理なのかなぁ、ブスだし・・・」
真結美「そんなこと無いって! だって美結が応募した読モのオーディション、倍率100倍はあるよ?」
真結美「あんなの、大体の人が落ちるって。 美結は可愛いよ」
美結「えー、本当にぃ?」
美結「あー、ブスじゃん、ブス顔が映ってるじゃん、ブスブスブスブス・・・」
真結美「あのさぁ、私があげた手鏡でブスブス言うの、やめてくれない?」
美結「鏡よ鏡、この世で醜い生き物はだぁれ?」
美結「はぁ・・・」
真結美「昔からこんな使い方してるの? 嫌なんだけど・・・」
真結美「あのね、美結。結果が出たばっかりだから凹む気持ちもわかるけどね」
真結美「私は、美結にもっと自信を持って欲しい。美結は可愛いし、凄い努力家でしょ?」
真結美「私は、そんな美結が好きだよ!」
美結「真結美・・・///」
美結「いつも、お世辞を言ってくれてありがとう、真結美・・・///」
真結美「そのマイナス思考は嫌いだけどねっ!!」
美結「ごめぇん・・・」

〇カウンター席
美結「化粧でなんとかなるのかなぁ、こんな私、どうにかなるのかなぁ・・・」
美結「まゆみぃ、どう思う?」
真結美「ん~?」
美結「まゆみぃ・・・」
真結美「だからぁ、ありのままの美結で良いって。 もう二軒目、疲れたぁ・・・」
美結「あ、それは本当にごめん・・・」
友子「あれ、まゆみんに美結。偶然!」
真結美「あ、友子ちゃん!」
友子「あ、そうだ! まゆみん、読モのオーディション合格、おめでとっ!!」
友子「凄いよね、あれ倍率100倍くらいあるんでしょ? 流石、まゆみん!」
美結「・・・真結美、なにそれ」
真結美「えっと、美結が挑戦してるから、私も挑戦しよっかなって思って・・・」
真結美「美結と同じオーディション受けてたこと、言えなくて・・・」
美結「・・・言えなかった? なんで?」
真結美「だって、美結が頑張ってるのに・・・」
美結「頑張ってるから何? 自分は頑張らなくても受かっちゃって、ごめんね~ってこと?」
真結美「ち、ちが・・・」
美結「なんで言ってくれなかったのっ!?」
友子「み、美結っ!? 落ち着いてっ!?」
美結「友子ちゃんは黙ってて!!」
美結「言ってくれれば良かったじゃん!!  一緒に受けるって、合格したって、友達でしょ!?」
真結美「だって、だって・・・」
真結美「だって美結は、私が一緒に受けるって知ったら集中できなくなるでしょ!?」
真結美「美結自身と私を比較して、余計に力が出せなくなるって思ったから!!」
真結美「私は、ありのままの美結を全力でぶつけて欲しかったってだけっ!!」
美結「・・・前から言いたかったんだけどさ」
美結「私は、自分が嫌いなの・・・、昔からブスで根暗な自分が嫌で、だから頑張ってるのに・・・」
美結「そんな私に、ありのままとか言われても、辛いだけなの。みんなが、真結美みたいに自信があるわけじゃないんだよ・・・?」
真結美「美結、ごめ・・・」
美結「なんか、疲れた。この私が頑張ったって、どうせ報われない。こんなことなら・・・」
美結「いっそ、真結美になってしまいたい・・・」
真結美「え?」
美結「・・・真結美、オーディション合格、おめでとう」
美結「もう、帰るね・・・」
真結美「・・・ありがとう」

〇大教室
美結「・・・はぁ」
友子「美結、昨日は本当にごめんね! 私が余計な事を言っちゃったせいで・・・」
友子「その、大丈夫、だった?」
美結「友子ちゃんのせいじゃないよ。私が大人気なかっただけで・・・」
美結「ただ、今はちょっと、真結美には会いたくないかな・・・」
友子「ごめんね、本当に・・・」
友子「・・・?」
友子「・・・美結、メイク変えた?」
美結「え? 何もしてないよ?」
友子「じゃあ、痩せたとかっ! なんちゃって!!」
美結「いや、昨日の今日でそんなわけ・・・」
友子「本当に? すっごく可愛くなってるよ!」
美結「え、可愛く・・・?」
美結「可愛く、なってる・・・?」
友子「凄いね、雰囲気、変わってるよ! 前より明るくなった気がする!」
美結「あ、う、うん・・・」
友子「まゆみんからいつも聞いてるよ、美結は凄い努力家だって」
友子「その努力の成果だね! まゆみんも、きっと喜ぶと思うっ!!」
美結「そ、そうかな///」

〇大学の広場
友子「美結、今から空いてる?」
美結「友子ちゃん、あ、空いてるよ!」
友子「ねぇねぇ、これから一緒にコスメ買いに行かない?」
友子「美結が使ってるやつ、教えて~!」
美結「えー、普通のだけど~」
真結美「み、美結・・・」
美結「あ、真結美」
美結「ごめん、今から友子ちゃんと一緒にコスメを買いに行くから」
美結「じゃあ友子ちゃん、一緒に行こっ!」
友子「う、うん・・・」
真結美「・・・・・・」

〇店の入口
友山「へ~、予約したお店って、ここ? おっしゃれ~!」
友山「ってかさ、美結から誘われるの意外っ! うちら、2人で遊んだことないでしょっ!」
美結「え~、そんなに意外?」
友山「だって、美結は自分から誘わないじゃん! そういうの、真結美のキャラでしょ?」
友山「変わったね、良い意味で!」
美結「いつも、誘うこととかは真結美に頼ってばかりだったから」
美結「これからは、自分からも勇気を出そうかなって。真結美を見習って!」

〇美容院
美容師「お客様、前髪はどうしましょう」
美結「あ、今のまま・・・」
美容師「綺麗な顔をしているので、もっと顔が出るヘアスタイルとかどうですか?」
美結「え、本当ですか? じゃあ・・・」
美結「・・・・・・」
美結「・・・?」

〇大学の広場
  おはよー
  今日の講義の課題やったー?
  途中で終わってるんだよね~。
  難しくて・・・
美結「・・・・・・」
美結「・・・え?」
友子「美結、どうしたの?」
美結「・・・今、私達、何か喋ってた?」
友子「え、課題の話をしてたけど・・・」
美結「誰が?」
友子「美結が」
美結「そっか・・・」
友山「美結、大丈夫~? 課題のやり過ぎて疲れちゃった感じ~?」
美結「・・・・・・」

〇大教室
美結「すいません、今、よろしいですか?」
大学教授「はい、なんですか?」
美結「昨日のレポート、提出遅れて申し訳ございません。今日中に出しますので・・・」
大学教授「あれ、そうだったっけ? 美結さん、美結さん・・・」
大学教授「先週に提出していますよ。安心して、こっちにも届いているから」
美結「え、本当ですか!?」
大学教授「ほら、ここ」
美結「え、こんなの、やった? いつ・・・」
美結「あ、ありがとうございます・・・」

〇大学の広場

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コメント

  • 文章で読んだ時から、こちらの作品ミステリー小説のようで素敵だなぁと、感じてました!!✨☺️

    ラストのオチとかもすごいですよね✨☺️

    面白かったです!!

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