Xヒーロー

語り部

第47話 氷の覚醒者(脚本)

Xヒーロー

語り部

今すぐ読む

Xヒーロー
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇西洋の市街地
  2021年 イリノイ州 デュページ郡 ネイパービル 氷壁に覆われた街
  辺りの景色が暗くなった頃、ゲライントが斎王達の部屋に訪れ、一行をナイトクラブへ案内する

〇ナイトクラブ
  氷壁に覆われた街 ナイトクラブ内
  ナイトクラブでは客がいない訳ではなく、普通に営業していた。しかし客層に違和感を思った者がいた
エンチャント魔導法士「見ろ客の格好・・・作業着に鎧にスーツにと・・・『五種類』しかない」
鸞「全員『フィンガーズ』の組織の者と思ったほうがいいな。下手なことはできん」
ゲライント「そう怖がらなくていいわよ?警備兼暴動鎮圧要員なんだから、さぁ二階においで~?」
  斎王達はゲライントに言われるがままついて行く。二階はVIPルームとなっており、そこには『四人の女性が待機していた』
ゲライント「皆ー?この子がボスの孫でグレーデイで殺し合いをした二人の子孫『斎王幽羅』よ」
  空港であったエル・シッドとシャルルは興味なさげにしていた一方、二人の女性は立ち上がり斎王に近づく
ライオネル・トンプソン「この子があの『灰色の悪魔』?意外と可愛い顔してるじゃん!げ・・・ウィリアム・・・」
エンチャント魔導法士「ワシを知っとるのか?ネエちゃん。はて・・・どこで会ったか・・・」
ライオネル・トンプソン「あー・・・覚えてないならいいのよ、別に。思い出さなくていいから」
  ライオネルがバツが悪そうにしていると、一人の女性が斎王の前に跪き、話始める
マリア・イアハート「幽羅様、よくぞご無事で・・・グレーデイ以降全世界が貴方様を恨んでいる様子であったので心配で心配で・・・」
ライオネル・トンプソン「うわ、マリアが男に敬語使ってる・・・初めて見た・・・」
マリア・イアハート「使うに決まってるだろ!幽羅様は頼様の血を引くお方だぞ!?見ろ、この気品あふれる佇まいを!」
斎王幽羅「マ、マリ姉・・・もう大丈夫、大丈夫だから抑えて・・・俺は大丈夫だから・・・」
マリア・イアハート「よくありませんよ幽羅様!この際だ、幽羅様の美しくも儚い物語をこいつらに一から聞かせてやる!」
斎王幽羅「Maria!Calm down!(マリア!落ち着け!)」
  斎王に怒られると、マリアはその場で正座し、小さく纏まってしまう。
マリア・イアハート「う・・・ ・・・ ・・・申し訳ございません幽羅様・・・マリアは、おとなしくします・・・」
ライオネル・トンプソン「マリアを手懐けてる・・・この子何・・・?猛獣使いか何か?」
キング「ある意味じゃ間違ってねえな。というかお前ら誰だ、名乗れよ」
ライオネル・トンプソン「それもそうね。私はライオネル・トンプソン『運動エネルギーを操作する』能力を持つ能力者よ」
エンチャント魔導法士「ライオネル・・・?どっかで聞いたな・・・確か若い頃そんな名前を・・・」
キング「三代目の時のダチじゃねえのか?三代目当時は200人近くギルドメンバーが居たっていうし、どうだ?」
エンチャント魔導法士「あの時代の人間ならワシみたいに年老いてるはずだし・・・誰かの子供か孫か?うーん・・・」
マリア・イアハート「一応ボスから私の情報は開示してもいい事になっているから、自己紹介させてもらうが」
マリア・イアハート「私はマリア・イアハート。『能力を一時的に覚醒させる』能力を持つ能力者で」
マリア・イアハート「グレーデイが起きる直前まで、頼様の右腕としてカナダで活動していた」
斎王幽羅「マリ姉、キャプテンとエドモンドさんはどうなったの・・・?グレーデイ以降、消息を絶ったって聞いてたけど・・・」
マリア・イアハート「申し訳ございません幽羅様、ワイズマンは逃走中アナザーに殺され」
マリア・イアハート「エドモンドは私を逃がすためにアメリカ海軍に・・・」
斎王幽羅「そっか・・・じゃあスカイハイのおじさん達やファミリーの魚人達も皆・・・」
マリア・イアハート「生存者はゼロかと・・・残ったのは私達『失楽園の天使達』だけです」
斎王幽羅「色々と苦労したよね・・・?ごめんねマリ姉、何もしてあげられなくて・・・」
マリア・イアハート「そんなことはありません!私は幽羅様の生存を信じて、こうやってボスの下で働いていました!」
マリア・イアハート「今こそお役に立てる時です、どうぞ私と姫騎士達をお使いください」
  するとゲライントが話を中断させる。どうやらボスが幽羅と話したいと言ってるようで
  VIPルームの『奥』にある扉の向こうにいるとの事。
  当然のようにキングと鸞がついていこうとするが、ゲライントに止められる
キング「おい、何の真似だゲライント。まさか『知りもしねえ奴』と斎王をサシにさせろってのか?」
ゲライント「そうよ?悪いけどボスは絶対なの。おとなしく待ってもらえるかしら?」
鸞「聞き入れることは難しいな。斎王の命を狙うやつは少なくない、一人ついて行ったぐらいで何か変わるのか?」
ゲライント「知らないわよ、とにかく座りなさい。どうしても嫌なら・・・私達と下にいる子達全員で相手してあげる」
  するとゲライントはライフルを出現させ、その銃口を鸞に向ける。
  鸞はゲライントを真っ直ぐに見つめ『撃てるなら撃て』と挑発をする。だが斎王が鸞とキングを宥めながら話始める
斎王幽羅「鸞、キング。ありがとう・・・でも俺一人で大丈夫だからさ・・・ひとまず、待ってて」
斎王幽羅「あとキングとエンチャントさん!女性陣にセクハラ発言禁止!マリ姉が『暴れちゃう』から」
  斎王はその言葉を残し、奥の部屋へと一人で向かう

〇ホストクラブのVIPルーム
  ナイトクラブ内 最奥の部屋 ボス専用ルーム
  空気が冷えていた。吐く息は白く、吸う空気は凍てついていた
  斎王はこの『感じ』を知っていた。そして最奥にいる『彼』に会い、挨拶をし始める
斎王幽羅「久しぶり、母さんの葬式以来だね。元気···だった?『冷羅さん』」
  斎王が部屋に入り、一礼をしながら言葉を放つ。男は酒とツマミをテーブルに置きながら軽い返事をし
  斎王に座るように促す。まもなく男も座り斎王に酒が飲めること確認し、酒をを自身と斎王のコップに注ぐ
鬼月冷羅「お前が来るから日本酒にしようかと思ったが・・・こっちじゃウイスキーのほうが旨くてな・・・」
鬼月冷羅「ジョニーウォーカーだ、度数は高いが旨いぞ?」
斎王幽羅「んっ・・・うん、美味しいよ。スコッチって苦いの多いけどこれは甘くて飲みやすいね」
鬼月冷羅「そうか・・・ちなみにこの瓶一つで4万ぐらいするから、味わって飲んでおけ」
斎王幽羅「そ、そんなにするの!?ひぇぇ・・・じゃあこのスモークチーズも・・・?」
鬼月冷羅「北海道から取り寄せたモンだ、輸送料も含めてこれは6万くらいするな」
斎王幽羅「ひょぇぇぇ・・・い、いつもこんな高いの食べたりしてるの・・・?」
鬼月冷羅「いや、今日はおまえが来るから特別に取り寄せただけだ。いつもはもっと質素にしている」
斎王幽羅「ま、まぁ・・・そうだよね・・・なんか、ありがとう。所でなんで俺をここに?」
鬼月冷羅「未久の『予言』に書いてあったからだ。覚えてるか?天上院未久を」
斎王幽羅「うん・・・『先見の巫女』だよね?数日前横須賀港で死体で出てきたって聞いてるけど・・・知ってる?」
鬼月冷羅「未久がか・・・?クソっ・・・あいつが『自身に先がない』って予言は本当だったのか・・・!」
斎王幽羅「それも予言できてたの・・・?何で防げなかったんだろう・・・」
鬼月冷羅「知らん。だがまぁ・・・あいつの予言は『100%絶対』だからな、仕方ないんだろう・・・」
斎王幽羅「そうなんだ···未玖さんの予言ってどんなのか聞かせてくれる?」
鬼月冷羅「『東の地に灰色の子が降り、氷の君に出会いに来る。その瞬間、運命は決定されるだろう』」
斎王幽羅「『運命』···?運命って言うのは何?」
鬼月冷羅「知る必要は無い。お前は自分のやるべき事に集中しろ、アメリカに来たのも『理由』があるんだろ?」
斎王幽羅「うん、実はその事で頼みたいことがあるんだ···」
  斎王は今までの旅の事、そしてアメリカでしなければならない事を冷羅に話した
鬼月冷羅「輸送された赤ん坊にクローン喧嘩王、そして娘を殺した『WoOS』という組織の実態調査か···」
鬼月冷羅「まず輸送された赤ん坊の行方は知っている。場所はオレゴン州のポートランドにある研究所に輸送されている」
鬼月冷羅「クローン喧嘩王『アナザー』もそこで研究、開発が進んでいる。量産はどうやら別らしいが特定はできていない」
鬼月冷羅「そして娘を殺したWoOSという組織···初耳だ、後でシャルルに探らせてみる」
鬼月冷羅「それで···神奈川での話。本当なのか?本当に娘と···『雪羅』と会ったのか···?」
斎王幽羅「本当だよ。誰も見つけられなかった母さんのロケットペンダントを貰ったし、マリアさんが生きてることを教えてくれたのも母さんだ」
鬼月冷羅「そうか···実の息子のお前がそう言うなら、そうなんだろう···」
  冷羅は幽羅が述べた言葉を疑うことなく、ただ静かに受け止め続けた。
  『死んだ人間が現れ、想い人に会いに来る』そんな話を聞きながら酒を飲み、冷羅は『羨ましい』と言葉を漏らす
鬼月冷羅「ひとまず···お前の情報の裏をとってみる。それで協力だが··· ··· ···」
鬼月冷羅「『名残り雪は斎王一派に協力をしない』」
  To Be Continued··· ··· ···

次のエピソード:第48話 Xヒーローの対

成分キーワード

ページTOPへ