供養鑑定士(仮)

在日ミグランス人

〈ストレスを吸う〉観葉植物(脚本)

供養鑑定士(仮)

在日ミグランス人

今すぐ読む

供養鑑定士(仮)
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇ビジネス街
上司「どうなってんだ! 庄司ーーッ!!」

〇オフィスのフロア
上司「ったく! お前は何年この仕事してんだよっ!」
上司「ああっ!?」
庄司忍(しょうじしのぶ)「す、すいません」
上司「何で事前に相談しなかった?」
上司「ああッ!?」
庄司忍(しょうじしのぶ)「『それくらい自分で考えろ』って⋯⋯」
上司「んじゃ俺が悪いってのか?」
上司「ああッ!?」
庄司忍(しょうじしのぶ)「⋯⋯」
庄司忍(しょうじしのぶ)「⋯⋯いえ、俺の責任です」
上司「そうだろう〜?」

〇オフィスのフロア
部下「セ〜ンパイ、今日も残業っスか?」
庄司忍(しょうじしのぶ)「ああ。ミスった分、挽回しないと」
部下「ですよね〜」
部下「しっかりやんないと、その内給料ドロボーとか言われそうですもんね〜」
庄司忍(しょうじしのぶ)「⋯⋯」
部下「んじゃお疲れ〜っス」
庄司忍(しょうじしのぶ)「⋯⋯」

〇白いアパート

〇ダイニング(食事なし)
庄司忍(しょうじしのぶ)「⋯⋯ただいま」
庄司明美(しょうじ あけみ)「⋯⋯」
庄司忍(しょうじしのぶ)「⋯⋯なあ、飯は?」
庄司明美(しょうじ あけみ)「ん」
庄司忍(しょうじしのぶ)「え? カップ麺一個だけ?」
庄司忍(しょうじしのぶ)「疲れてるんだ。もうちょっとさぁ⋯⋯」
庄司明美(しょうじ あけみ)「そんな気分じゃないし、私も疲れてるんだけど?」
庄司明美(しょうじ あけみ)「仕事して帰って来て洗濯して掃除して明日の準備して⋯⋯」
  くどくどくどくど⋯⋯
庄司忍(しょうじしのぶ)「⋯⋯」
庄司忍(しょうじしのぶ)「⋯⋯寝るわ」
庄司明美(しょうじ あけみ)「お休み〜」

〇簡素な一人部屋
庄司忍「うぅ⋯⋯」
庄司忍「あああ⋯⋯」
庄司忍「ッ!?」
庄司忍「痛っ⋯⋯」
庄司忍「いたぁ⋯⋯」
庄司忍「痛ってぇ⋯⋯」

〇病院の診察室
医者「胃に穴が開いとります」
医者「いわゆる胃潰瘍ですな」
庄司忍(しょうじしのぶ)「マジっすか?」
医者「ま、話を聞く限りストレスでしょうな」
医者「薬は出しますが、根本的な事を解決しないと、完治は難しいでしょう」
医者「いっその事、転職を考えてみては?」
庄司忍(しょうじしのぶ)「ムチャ言わないでくださいよ」
庄司忍(しょうじしのぶ)「家のローンは残ってるし、」
庄司忍(しょうじしのぶ)「嫁に殺される」
医者「ん〜⋯⋯」
医者「気休めにしかならんかも知れませんが⋯⋯」
庄司忍(しょうじしのぶ)「?」

〇ダイニング(食事なし)
庄司明美(しょうじ あけみ)「ちょっと、何よコレ?」
庄司忍(しょうじしのぶ)「⋯⋯観葉植物」
庄司明美(しょうじ あけみ)「それは見りゃわかるわ」
庄司明美(しょうじ あけみ)「何で、こんなもん買ってきたのか? って聞いてんの」
庄司忍(しょうじしのぶ)「ストレスの緩和に良いらしい」
庄司明美(しょうじ あけみ)「邪魔だし、むしろストレス溜まるんですけど?」
庄司忍(しょうじしのぶ)「俺の部屋に置くし、世話もするから」
庄司明美(しょうじ あけみ)「病院行って余計なお金使ってんのに⋯⋯」
庄司忍(しょうじしのぶ)「⋯⋯」
庄司忍(しょうじしのぶ)「光った?」
庄司忍(しょうじしのぶ)「⋯⋯やっぱ疲れてんなぁ」

〇オフィスのフロア

〇簡素な一人部屋

〇オフィスのフロア

〇簡素な一人部屋

〇ダイニング(食事なし)
庄司明美(しょうじ あけみ)「え?」
庄司忍(しょうじしのぶ)「よ! おはよ!」
庄司明美(しょうじ あけみ)「お、おはよう⋯⋯」
庄司明美(しょうじ あけみ)「⋯⋯じゃなくて、何コレ?」
庄司忍(しょうじしのぶ)「見りゃわかるだろ? 朝飯」
庄司忍(しょうじしのぶ)「どうしたのかって? 作ったんだよ」
庄司忍(しょうじしのぶ)「気分が良いからさ」
庄司明美(しょうじ あけみ)「⋯⋯」
庄司明美(しょうじ あけみ)「⋯⋯なんか、悪い物でも食べた?」

〇大会議室
庄司忍(しょうじしのぶ)「近年起きたパラダイム・シフトにより、様々なキャズムが取り払われ、各社のコア・コンピタンスがコモディティ化⋯⋯」
「⋯⋯」
庄司忍(しょうじしのぶ)「我が社のアセットでもあるナレッジ化されたコンテンツ・マーケティング戦略は更にドライブさせる事で⋯⋯」
上司「ねえアイツ、何があったの?」
上司「めっちゃ怖いんだけど!?」
部下「わかんないっス⋯⋯ わかんないっス⋯⋯」

〇簡素な一人部屋
庄司忍(しょうじしのぶ)「んんふふふふ⋯⋯」
庄司忍(しょうじしのぶ)「お前のお陰で絶好調だよ⋯⋯」
庄司忍(しょうじしのぶ)「お迎えして本当に良かった」
庄司忍(しょうじしのぶ)「これからも宜しく頼むよ⋯⋯」

〇ダイニング(食事なし)
庄司忍「今日も少し怒られたんだけどさ〜⋯⋯」
庄司明美(しょうじ あけみ)(え? あの観葉植物に話しかけてんの?)
庄司明美(しょうじ あけみ)(キモ⋯⋯)
庄司明美(しょうじ あけみ)「わっ!」
庄司忍(しょうじしのぶ)「⋯⋯なんだよ」
庄司明美(しょうじ あけみ)「べ、別に⋯⋯」
庄司忍(しょうじしのぶ)「⋯⋯」
庄司明美(しょうじ あけみ)「何?」
庄司忍(しょうじしのぶ)「たまには飯でも食いに行こうか?」
庄司明美(しょうじ あけみ)「⋯⋯え?」

〇黒

〇走行する車内
庄司忍(しょうじしのぶ)「だから俺はこう言ってやったワケ」
庄司忍(しょうじしのぶ)「お前は、オフチョベットしたテフをマブガットするリットか!」
庄司忍(しょうじしのぶ)「って」
庄司忍(しょうじしのぶ)「ふふ⋯⋯ 面白いだろ?」
???「⋯⋯」

〇レストランの個室
庄司忍(しょうじしのぶ)「乾杯」
庄司忍(しょうじしのぶ)「ああ、ごめん。お酒はダメだよね」
庄司忍(しょうじしのぶ)「じゃあ改めて」
???「⋯⋯」

〇怪しい部屋
庄司忍(しょうじしのぶ)「今日からここが俺達の家だよ⋯⋯」
庄司忍(しょうじしのぶ)「葉子⋯⋯」
庄司忍(しょうじしのぶ)「もうどこにもいかない⋯⋯」
庄司忍(しょうじしのぶ)「いきたくない⋯⋯」
庄司忍「生きたくない⋯⋯」

〇黒

〇ダイニング(食事なし)
庄司明美(しょうじ あけみ)「え? 出社して来てない?」
電話「最近、無断の遅刻や欠勤が続いてまして⋯⋯」
電話「昨日もなんですよ」
電話「何かあったんですか?」
庄司明美(しょうじ あけみ)「昨日は帰って来てませんけど⋯⋯」
電話「え?」
庄司明美(しょうじ あけみ)「忙しいから、会社に寝泊まりしてるんじゃ⋯⋯」
電話「昨日も欠勤ですよ!」
庄司明美(しょうじ あけみ)「そんな⋯⋯」
電話「探してください。こっちも心当たりを洗ってみます」
庄司明美(しょうじ あけみ)「GPSなら⋯⋯」

〇古いアパート
庄司明美(しょうじ あけみ)「ねえ! いるんでしょ!?」
庄司明美(しょうじ あけみ)「開けるわよ!」
庄司明美(しょうじ あけみ)「ねえったらッ!」

〇怪しい部屋
庄司明美(しょうじ あけみ)「これは⋯⋯」

〇黒
  そこにいたのは
  悪いストレスどころか、
  生きていく為に必要な
  良いストレスさえ吸われた、
  廃人の姿だった⋯⋯

〇黒

〇祈祷場
在日ミグランス人「っていう話だったんですけど⋯⋯」
供養鑑定士「ボツっちゃいましたか⋯⋯」
在日ミグランス人「ボツっちゃいました」
在日ミグランス人「中々アイディアが通らず、イジっているうちにワケわかんなくなっちゃって⋯⋯」
在日ミグランス人「初期バージョンで書いてみたんですが⋯⋯」
供養鑑定士「それではこの物語の鑑定額は⋯⋯」
供養鑑定士「プライスレスッ!」
在日ミグランス人「言いたいだけでしょ⋯⋯」

次のエピソード:供養鑑定士(仮)のご案内

コメント

  • 良いストレスが無くなって廃人になってしまうという設定を見たときから、深い、読んでみたい!と思っていたので、こうして拝見することができて嬉しいです✨
    デートシーンの数々は怖くもありコミカルでもあり、タップする手が止まりませんでした‼️

  • 面白かったです!日の目を見て?よかったです。

  • 面白かったです!(*゚▽゚*)
    いわく鑑定士のプロジェクトには参加しませんでしたが、題材が題材なだけに物語の着地点が訳わからなくなるのは共感しました……。難しいですよね( ;∀;)
    それでも、そういったボツ題材をこういった形で消化するというアイデアは素晴らしいです!!( ´ ▽ ` )

コメントをもっと見る(10件)

ページTOPへ