本能寺さんはクソ野郎

和久津とど

第10話 本能寺さんの本音(脚本)

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〇保健室
玉宮守「うん、やっぱりここで勉強する方がまだマシだな」
  俺は授業を抜け出した後、保健室のベッドで教科書を読み進めていた。
玉宮守(俺が学年1位をキープできていたのは、1日のほとんどを勉強に費やしてきたからだ)
  対して、学年2位の本能寺は、大した勉強をしなくても高得点を取れる天才肌だ。
玉宮守(もともと大した学力差はなかったんだ。 このままだと俺は確実に負ける)
  そうなったら最後、卒業するまで本能寺のオモチャになってしまう。
玉宮守(それだけは絶対に避ける)
玉宮守(残りあと一週間、学校では保健室で勉強、家では睡眠時間を削るしかない!)
  学校に来る時間すらもう惜しい。
  というか本能寺に会う機会を少しでも減らしたい。
玉宮守(なんで俺がこんな目に遭わなきゃならないんだ?)
玉宮守(確かに、小学生時代の俺が、他人に嫌われまくるクソガキだったのは認めるが・・・)
玉宮守「そこまで俺に嫌がらせしたいのか!  マジで何なんだ本能寺は!?」
本能寺令「呼んだ?」
玉宮守「うおおッ!? 本能寺!?」
  まさかの本人登場に、俺は腰を抜かした。
玉宮守「何しに来た!?  保健室にまで勉強の邪魔しに来たのかよ!?」
本能寺令「違うって! ただその、心配で」
玉宮守「は?」
本能寺令「えっと、大丈夫かなって」
  何言ってんだコイツ?
玉宮守「心にもないこと言うなよ!  どうせまた俺の邪魔する気だろ!」
本能寺令「違うよ! 本当に心配してるの!」
本能寺令「玉宮くんが、あんなに嫌がってるとは思わなかったから」
玉宮守「はぁ!? あんな嫌がらせしといて、何言ってんだお前!」
玉宮守「嫌に決まってるだろうが!」
本能寺令「それは、楽しかったから・・・」
玉宮守「は? 楽しい? 嫌がらせするのが楽しい?」
玉宮守「ほんとにクソ野郎だなお前は!」
本能寺令「違う違う!  楽しく遊んでるつもりだったの!」
本能寺令「玉宮くんも同じ気持ちかなって思ってたんだけど」
玉宮守「遊び? 楽しく?」
玉宮守「ふざけんな!」
  堪忍袋の緒が切れるとは、こういうことを言うのだろう。
  俺は、プツンと何かが切れ、怒鳴りまくった。
玉宮守「毎日毎日、飽きもせず勉強の邪魔してきやがって、そんなにテストで勝ちたいか?」
玉宮守「勝ってどうする、そんなに俺の黒歴史をイジりたいか?」
玉宮守「どこが遊びなんだよ、どこに俺が楽しい要素があるんだよ!」
本能寺令「楽しくなかったの?」
玉宮守「全然楽しくねえよ!」
本能寺令「え、少しも?」
玉宮守「これっぽっちも楽しくねえよ!」
本能寺令「そ、そっか。楽しくなかったんだ」
  俺は、言いたいことをぶちまけた。
  本能寺はかなりショックを受けている様子で、大きく目を見開いている。
本能寺令「・・・・・・」
  言葉を発することができずにいる本能寺を見て、我ながらお人よしかと笑いたくなるが、少し言い過ぎたかと困惑する。
玉宮守「お前、俺が楽しんでると思ってたのか?」
本能寺令「・・・うん」
玉宮守「えーと。始めに戻ろう。 お前はどうして俺を脅迫してきたんだよ」
本能寺令「あれは、脅迫みたいになっちゃったけど、玉宮くんと触れ合える最後のチャンスだったから仕方なかったの!」
本能寺令「だってそうしないと、私たち全然接点ないじゃん!」
玉宮守「お前、俺のこと嫌いなんだろ?  接点なんて無くていいだろうが」
本能寺令「嫌い!?」
  俺の言葉に、本能寺は目を丸くした。
本能寺令「ちょ、ちょっと待って!」
本能寺令「私が玉宮くんのこと嫌いって、誰がそんなこと言ったの?」
玉宮守「誰に言われなくても明かだろ!  嫌がらせは嫌いな相手にするモンだ」
本能寺令「だから私は、玉宮くんも楽しんでると思ってたの!」
玉宮守「ああ、そう言えばそうでしたね!」
  乱暴に言い捨ててから、頭に無数の疑問符が浮かぶ。

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