ロボット災害

夏目心 KOKORONATSUME

13 兄との再会 後編(脚本)

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〇研究施設のオフィス
桐ヶ谷誠「兄さん!!」
桐ヶ谷聡太「誠・・・まだ懲りないのか?」
マリア・シモンズ「流石にしつこいわね・・・」
中島蒼「お兄さん!何でこんな事に協力するんですか!?あなたは自分の弟が死んで喜ぶ様な人じゃ無いでしょ!?」
桐ヶ谷聡太「弟だから・・・家族だから?そんな物に意味無いよ・・・」
桐ヶ谷誠「兄さん・・・」
マリア・シモンズ「全く子供はギャアギャアうるさいわね・・・何も知らずにギャアギャア騒ぐだけ・・・その上で何も気付けない・・・」
中島蒼「どう言う事?」
桐ヶ谷聡太「プロフェッサー、俺から話します。お願いできますか?」
マリア・シモンズ「あら?あなたが分からせてくれるなら、任せるわ!」
桐ヶ谷聡太「ありがとうございます!」
桐ヶ谷誠「・・・・・・」
桐ヶ谷聡太「誠、お前は考えた事があるか?何の為に自分が生まれて、何で周りには自分と同じ人間がいるのか・・・」
桐ヶ谷誠「え?」
桐ヶ谷聡太「太古の昔に生まれて、物を作ったり、物を使う事を覚えて、自分達の世界を開拓して、壊したり作ったりを繰り返して、」
桐ヶ谷聡太「その過程を通して俺達が生まれた。でも何の為に?」
桐ヶ谷誠「兄さん・・・一体何を言って・・・」
桐ヶ谷聡太「作る、壊すを繰り返した過程の中で、俺達は毒を作って地球を汚し、自分の利益の為に武器を作って相手の物を傷付け、奪う・・・」
桐ヶ谷聡太「昔の頃から自分が行きたいと思った場所に行って今の世界は構築されてる。でも未だに戦争とか、貧困とかは終わらない・・・」
桐ヶ谷聡太「戦争や貧困だけじゃ無い。環境が変わって未知の病原菌だって出て来るし、異常気象でいつもの生活が脅かされる・・・」
桐ヶ谷聡太「誠、俺達はずっと作る壊すを繰り返して、その先には一体何が待ってると思う?何をどう考えても俺達の未来は決まってる・・・」
桐ヶ谷誠「兄さん・・・本気でその事を考えて・・・」
中島蒼「お兄さん!あたし達は確かに同じ過ちを繰り返しました!だけど、作る壊すを正しく理解できたら、破滅の未来だって!!」
桐ヶ谷聡太「無駄だよ!!」
中島蒼「・・・・・・!?」
桐ヶ谷聡太「確かに人間には優しさや思いやりはあるよ・・・だけど、そう言う奴に限ってズルい奴らに利用されて、最後は決まって」
桐ヶ谷聡太「切り捨てられる・・・俺の家族だってそうだ・・・父さんは酒に溺れて勝手に死んで、母さんは自分の利益にしか全く興味が無い」
桐ヶ谷聡太「そんな親を見たらどう思う?自分もそうなる可能性があるって事だ・・・同じ過ちを繰り返させない?自分はいつからそう断言」
桐ヶ谷聡太「できる様になった?自分は正しいと思ってる奴に限ってまた同じ過ちを繰り返す!結局無駄なんだよ!どんな立場になっても」
桐ヶ谷聡太「自分は相手を傷付け、相手は自分を傷付ける!自分の見えない所でお互いを傷付ける・・・でも分かった事もある・・・」
桐ヶ谷誠「え?」
桐ヶ谷聡太「お互いを傷付ける事、相手を見下す事が、人間にとって一番の快楽なんだって・・・」
桐ヶ谷誠「兄さん・・・そこまで追い詰められて・・・」
中島蒼「お兄さん!考え直して下さい!あたしも誠も、一ヶ月くらい前に親を亡くしてます!これ以上奪えば!」
桐ヶ谷聡太「そうか・・・母さんは死んでたのか・・・それがなんだって?」
桐ヶ谷誠「兄さん?」
桐ヶ谷聡太「親だから?兄弟だから?それがなんだよ?確かに血の繋がりはあるんだろうけど、学校か何かで出来た友達と話したり喧嘩してるのと」
桐ヶ谷聡太「どんな違いがあるんだよ?俺達は最初から、赤の他人同士なんだよ!そんな事も分からないのか!?」
桐ヶ谷誠「・・・・・・」
桐ヶ谷誠「・・・・・・」
桐ヶ谷誠「兄さん、本気でロボットで世界を蹂躙し続けるんだね・・・」
桐ヶ谷聡太「本気だよ!誠、人類を終わらせよう!もう何もしなくて良くなるんだ!全部終わらせて、楽になろう!!」
桐ヶ谷誠「分かったよ・・・兄さん・・・」
桐ヶ谷誠「兄さん、俺決めたよ。俺は兄さんも、兄さんと一緒にいたあいつも殺す!ロボットを全滅させて全部終わらせる!!」
桐ヶ谷聡太「そうか!俺を殺すか!父さんも母さんも、これが見たくて俺に兄弟を作ったんだろうな!!」
中島蒼「ま、誠!何を言ってるの!?そんな事したら!!」
桐ヶ谷誠「蒼、もう兄さんに何言っても聞いてもらえない・・・兄さんにもやりたい事がある様に、俺にも守りたい物が沢山あるから!」
中島蒼「そ、そんな・・・」
桐ヶ谷聡太「あぁ殺してやるさ!誠!俺達のこんな詰まらない関係を終わらせよう!!」
桐ヶ谷誠「うわっ!?」
マリア・シモンズ「お喋りはここまでよ!これ以上私達の邪魔をしないで!!」
桐ヶ谷聡太「プロフェッサー!!」
マリア・シモンズ「聡太君!私達が死んで良いのはロボットがメインコンピューターから開放されてからよ!こんな奴らに割く時間は無いわ!」
桐ヶ谷聡太「・・・!申し訳ありませんプロフェッサー!でも、こいつらを野放しにする訳には!!」
マリア・シモンズ「分かってるわ!だからこのロボットを使って、私達は安全な所へ!」
桐ヶ谷聡太「はい!!」
桐ヶ谷誠「・・・!待て!兄さん!!」
ロボット「ターゲット確認、コレヨリ殲滅スル・・・」
中島蒼「・・・!こいつを何とかしないと!!」
ロボット「攻撃開始・・・」
桐ヶ谷誠「蒼!走り回れ!!」
中島蒼「えぇ!!」
桐ヶ谷誠「これでどうだ!!」
ロボット「機体ヘノ損傷ヲ確認、任務ヘノ支障無シ・・・」
中島蒼「こんな奴まともに相手してられないわ!お兄さん達を追い掛けないと!」
桐ヶ谷誠「そうだよな!逃げながら戦おう!」
ロボット「損傷甚大・・・任務ヘノ支障無シ・・・」
桐ヶ谷誠「蒼、行こう!」
中島蒼「えぇ!」
ロボット「ターゲットノ逃走ヲ確認・・・追跡ヲ開始スル・・・」

次のエピソード:14 決着

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