①サークルから追放されたので気ままに青春を?バカ言うな馬鹿 ゴーレム部に来い後編(脚本)
〇組織のアジト
ミシマ「ゴッドスター? 男ですか?」
ハグレル「女だ 最近目をつけてる魔工部員でね」
ハグレル「よく魔工部の部室に忍び込んで技術をパク── もとい、参考にしているのだが」
ハグレル「彼女の「杖」 芸術的といっていい」
ミシマ「「杖」・・・」
ミシマ「確か、魔法を出す道具だろ チチンプイプイ、つってこう、振ったりして」
ハグレル「ちちんぷいぷい!? いきなりなんて破廉恥なことを言うんだお前は!!」
ミシマ「え? すまん」
ミシマ(この世界だと、どぎつい下ネタらしい・・・)
ハグレル「──まあ、お前の認識の通りだ 魔法を打ち出す道具は一般的に「杖」」
ハグレル「どんな形でも、魔法を撃つ道具ならそう言う 例えばこれ」
ミシマ「シンプルだが・・・ 「杖」というより「釘」だな」
ハグレル「おう これは「釘型」 先端に魔法陣をつけただけの原始的な杖だ」
ハグレル「あくまで打ち出す方向を決めるものだから、呪文はしっかり詠唱する必要がある」
ハグレル「腕から出すよりマシといった程度か」
ミシマ(手とか体から魔法を出す場合は、魔法を打ち出す「方向」まで詠唱する必要がある・・・ だったか)
ミシマ(意外と融通が効かないんだよな 「魔法」ってやつも)
ミシマ(この杖を使えばその詠唱過程をスキップできる、ということか)
ハグレル「ま、今じゃ古いタイプの杖だな 需要がないわけでもないが」
ハグレル「しかし、いま「杖」と言ったらこれだ」
ミシマ「!? オイオイ、マジかよ」
ハグレル「「杖」に呪文を刻印することで、詠唱無しに魔法を使えるタイプの杖だ」
ハグレル「ジグザグした形だから「イナズマ型」と呼ばれている 現代じゃ最もポピュラーな──」
ミシマ「・・・」
ハグレル「どした?」
今思えば・・・
「剣」や「弓」がある世界に「銃」に類いするモノがない道理はない
しかし、少しショッキングだった
こんな童話のような世界でも、人は同じことを考える
〇炎
〇噴水広場
ミシマ「・・・」
ミシマ「コイツを持って走ると、思い出してしまうな あの戦場──」
ミシマ「っと、 今はそれどころではない」
ミシマ「ゴッドスター・・・ 彼女はどこに!?」
〇森の中
ゴッドスター「んー」
ゴッドスター(設計のコンセプトは悪くないけど 魔板の刻印はちょっと杜撰だな)
ゴッドスター(こういう動かし方にしたいなら 私ならもっとこう)
ゴッドスター「って、 何やってんだ私」
ゴッドスター「早くコレ返さないと」
ゴッドスター「あの女の人、カタギじゃなさそうだったし、指詰められかねない」
「森の中で読書か 可愛らしい趣味してるじゃないか」
ゴッドスター「!」
カイバーン「やあ! 元気でやってるかい?」
ゴッドスター「部、部長!? なんで」
カイバーン「君に「部長」と呼ばれる筋合いは無いが」
ゴッドスター「う」
ゴッドスター「そう・・・です もう関係ないでしょう私たち」
ゴッドスター「何しにきたかは知らないですけど もう関わら」
カイバーン「モチロンそうしようとも!」
カイバーン「ただ、返すモノは"しっかり"返してもらわないと、困るんだな」
ゴッドスター「返すって・・・ アレは私が作ったモノです!」
カイバーン「違うな 君の設計図を元に我々が作ったモノだ」
ゴッドスター「同じです! 返すのはそっ」
カイバーン「キミだ」
カイバーン「「魔板」があるんだろう あの杖専用に挿し込むヤツだ」
カイバーン「もう一度言う 「返せ」」
ゴッドスター「「返せ」じゃない!」
カイバーン「返答はYESかNOに限定すべきだったな ドワーフとは話が通じん」
ゴッドスター「・・・!!・・・!」
カイバーン「YESなら、君に何もしない NOなら・・・」
カイバーン「はあ」
カイバーン「育ちの悪さってのは、しょうがないモノだとしてもね」
カイバーン「仕方ないな 気は進まないが」
アビスクライマーA「ぴぎゃぱぱぱぱぱぱ」
カイバーン「アビスクライマー」
カイバーン「俺と意識を共有」
カイバーン「彼女を追い、あの杖の「魔板」を取り戻すまで」
カイバーン「服を破け」
アビスクライマーA「ぴぎゃふるるぱ」
カイバーン「念の為もう2体ほど出しておくか」
〇けもの道
ゴッドスター「うう〜 なんで最近逃げてばっかなの〜」
「ぴるるるるる」
ゴッドスター「ひっ! なに!?」
アビスクライマーA「ぴぱぱぱぱ」
ゴッドスター「うわ!! ヤダ!! 無理無理!キモい!」
アビスクライマーA「ぴゃるるるるっ!」
ゴッドスター「ひッ!」
アビスクライマーA「ぱぱぱぱぱ」
ゴッドスター「ウソッ!? シャレなんないッ!」
アビスクライマーB「ぴるるるる」
ゴッドスター「ひっ ひっ うそっ」
ゴッドスター「だっ だれかっ たすけ」
ゴッドスター「あ」
アビスクライマーC「ぱぁ」
〇組織のアジト
ミシマ「なぁ、思ったんだが」
ミシマ「この、じゅ・・・ いや「杖」、ちょっと不便じゃないか?」
ハグレル「ほう というと?」
ミシマ「確かに詠唱を省略して魔法を使えるのは効率がいいのはわかる」
ミシマ「しかし、この杖に呪文が刻まれているということは、この呪文の魔法以外は使えんということだろう」
ハグレル「ずいぶん優等生だな君は」
ハグレル「魔法学1000年の歴史にケチをつけれるほど偉いヤツなのだな、お前は」
ミシマ「嫌味な煽り方だな 友達やめるぞ?」
ハグレル「!?」
ハグレル「うそウソ嘘!! ごめんホントに!! もうしないから!!」
ミシマ「冗談だ、すまん」
ハグレル「そう? よかった〜」
ハグレル「・・・おほん モチロン、昔の人間もそう思った」
ハグレル「「そのとき使いたい魔法を使えないのは不便だ・・・」ってな」
ハグレル「元々、魔法は詠唱が基本だ その時々で必要な魔法を使いたい、というのは魔法使いのサガだ」
ハグレル「そして、作り出されたのが・・・」
ハグレル「魔板」
ハグレル「呪文が刻まれた板だ」
ハグレル「コイツは杖に挿しこんで使う そうすれば「魔板」に刻まれた呪文の魔法を杖で撃てる」
ミシマ「! なるほど つまり・・・」
ミシマ「別々の呪文を刻んだ「魔板」を複数用意すれば・・・」
ハグレル「状況に応じて挿し替えることで、杖で撃てる魔法を変えることができる!」
ハグレル「「イナズマ型Bタイプ」だ 見た目はさっきと同じだが、魔板を挿し込む穴があるだろう?」
ミシマ「本当だ マガジンを入れるとこみたいだ」
ハグレル「一度試しに撃ってみるか? 魔板と杖を貸すよ」
ハグレル「「魔板」はそうだな・・・ やはり最もポピュラーな」
〇けもの道
アビスクライマーA「ぱるるるあ!?」
「ぴあ!」
ゴッドスター「う・・・」
ゴッドスター「あ、あれ? わたし・・・」
ミシマ「なんて奴だ 女の子にクリーチャーを差し向けるとは」
ゴッドスター「ミ・・・ ミシマさん!?」
ミシマ「先日はすみませんでした」
ミシマ「お詫びにもなりませんが、せめて今日は貴方を守りましょう」
ゴッドスター「へっ・・・ ふ、ふぁい!」
アビスクライマーA「ぴるるるる」
ミシマ「ずいぶん頑丈だな 火球では無理か?」
ミシマ「ここはひとまず」
アビスクライマーA「ぷるぱぱぱぱぱ!!」
ゴッドスター「にっ、逃げましょう!」
アビスクライマーB「ぴるるるるるる!!」
〇厩舎
射撃場
ミシマ「・・・」
ミシマ「ん? そうか、「杖」だから引き金はないのか」
ミシマ「え? じゃあ、どう撃つんだ、これ」
ハグレル「そりゃ 魔力を注入して・・・」
ハグレル「はっ!? そうか!!」
ハグレル「魔法が無いところから来たってことは お前、「硝華腺」が無いのか!」
ミシマ「「硝華腺」?」
ハグレル「つまり、お前の体には魔力を出せる器官が無いんだよ! うっかりしてた!」
「待ってろ!」
ミシマ「へ〜 魔力って練習して習得するものかと」
ミシマ「待てよ? この世界で魔力が使えないって、結構致命的なのでは」
ハグレル「待たせたな! コイツを使え!」
ミシマ「変わらんな」
ミシマ(! いや、引き金がついている)
ハグレル「「イナズマ型Cタイプ」 もとい、引き金があるから「弩(いしゆみ)型」という呼び方もあるな」
ミシマ「引き金を引けば魔法が出るのか? どういう原理なんだ」
ハグレル「この杖は魔力を一切使わず魔法を撃てる コイツを装填すれば、な」
ハグレル「中には「魔石」が入ってる 魔力が詰まった鉱石だ この魔力を利用して魔法を撃ちだす」
ミシマ(弾薬・・・ というより、イメージはバッテリーに近いのかな?)
ミシマ「ふ〜ん」
ミシマ「・・・はあ、」
ハグレル「なんだよ 近年開発された革新的武器だぞ テンション上がらんのか」
ミシマ「なんかちょっと・・・気が滅入る」
ミシマ(こんなところに来て、前いた世界と同じことするのか)
ミシマ「あれが的だな」
ミシマ「・・・」
ミシマ「おお ホントに出た」
ハグレル「200G(ゴールド)」
ミシマ「え?」
ハグレル「おかね」
ハグレル「魔石は消耗品なんだ 一度魔力を出したらおわり」
ミシマ「先に言ってくれ」
〇森の中
アビスクライマーB「ぴるるるる」
アビスクライマーB「るぴぱぱぱぱぱ」
ミシマ「さっきはびっくりしただけか まるで効かん」
アビスクライマーC「ぶぷぴぴぴ」
ミシマ「ッ!ッチイィ!」
ゴッドスター「ミシマさん!」
ミシマ「・・・魔板を替える!」
ミシマ「装填!」
アビスクライマーC「ぴるるるる!」
アビスクライマーC「・・・!!」
アビスクライマーC「・・・」
アビスクライマーC「? ?」
〇体育館の裏
ミシマ「どいてくれ!」
生徒A「ひゃあ」
生徒B「えっ あの子・・・」
ゴッドスター「・・・!」
生徒B「凄い筋肉・・・ ドワーフだったの?あの子」
アビスクライマーA「ぴぃ」
生徒A「ひえ」
生徒B「ばぁぁぁ!! モンスター!!」
〇華やかな裏庭
ミシマ「しつこいヤツらだ しかしあと少し」
ゴッドスター「すいません・・・ 私のせいで」
ミシマ「いや、君こそ」
ミシマ「平気、なわけないか」
ゴッドスター「・・・」
ミシマ(しかしこの子の体・・・ 「どわーふ」ってのは凄い種族だな)
ミシマ(先天性なのか? この筋肉量)
ゴッドスター「! 見ないで!」
ミシマ「すまん 失礼だったな」
ゴッドスター「あっ ごめんなさい」
ゴッドスター「・・・ あの、やっぱり」
ゴッドスター「置いてって、下さい」
ミシマ「え?」
ゴッドスター「これは返します 勝手に持ってってすみませんでした」
ミシマ「お、おいおい」
ゴッドスター「わたし・・・ 無理なんです、結局」
ゴッドスター「いつだってこの身体のせいで馬鹿にされて 次だってきっと、うまくいくはずがない」
ゴッドスター「だったら1人で、 ずっと1人がいいでず・・・」
ミシマ「・・・」
ミシマ「いやだね」
ゴッドスター「そうでず だがら・・・」
ゴッドスター「・・・え?」
ミシマ「別に君をここまで逃してきたわけじゃない」
ミシマ「部長は君に見てほしいモノがあるんだと」
アビスクライマーA「ぱゃあああああ」
ミシマ「俺は君をそこに案内しないとなんだな」
ゴッドスター「うし、後ろ!!」
アビスクライマーA「うぴ うぴぴぴぴぴ!!!」
アビスクライマーA「ぴばゃにっっ」
ゴッドスター「わっ め、目を!?」
ミシマ「こいつは」
ミシマ「200Gの借り・・・ 返すチャンスでね」
アビスクライマーA「ぷううぴぢゅにゃぱあああ!!!!!」
ミシマ「よし、死んだな」
ゴッドスター「ひ・・・」
ミシマ「あんたを連れてくのが俺のミッション。 引きずってでも連れてくから」
ゴッドスター「け、け・・・」
ゴッドスター「結局また勧誘じゃないですか!!」
〇森の中
カイバーン「び・・・びっくりしたなぁ〜」
カイバーン「あんな躊躇なく目をぶっ刺して撃つかね サイコパスなんじゃないの?」
カイバーン「ま、いいや まだ2匹いるし」
カイバーン「・・・ふむ」
〇ツタの絡まった倉庫
廃屋に逃げたか
わざわざ逃げ場のない屋内に逃げるとは
袋のネズミだな
よし、突入!!
アビスクライマーB「ぱあ」
〇組織のアジト
アビスクライマーC「ぱにぱぴぁぁあ!!」
アビスクライマーB「・・・ぴ?」
「上だ、バーカ」
アビスクライマーC「!」
ハグレル「レディ〜ス エンド ジェントルメン」
ハグレル「エンド、」
ハグレル「死ね!!」
巨大な・・・手!?
アビスクライマーB「き、 きゃあ〜〜」
ハグレル「しまった、流石にこれは可哀想だな」
ハグレル「掃除のおばちゃんが」
アビスクライマーB「あ、ああ〜〜」
ハグレル「「コイツ」で魔法は初めて出すな・・・」
アビスクライマーB「あ・・・ ああぁあ〜〜〜〜!!!」
ハグレル「蒸発しろ! 跡形なく消え去れ!!」
アビスクライマーB「あぅ・・・ あ」
ハグレル「原型残ってるな まぁ、こんなものか」
ハグレル「威力強くしたところで、所詮は「初級魔法」 まずまずの結果ってとこかな」
ハグレル「と、いうわけだ! ゴッドスターくぅん!」
ゴッドスター「・・・・・・」
〇古代文字
ゴッドスター「3人 いや、5人で取り掛かったとしても」
ゴッドスター「右腕だけでも・・・・・・一年かかる」
〇組織のアジト
ゴッドスター(まさか すでに完成させていたなんて)
ゴッドスター(2人だけで、どうやって?)
ゴッドスター「あ、ありがとうございます」
ハグレル「お礼より感想を言え!!!」
ゴッドスター「ええー!」
ハグレル「貴様がケチつけた!! 私の発明品のなあ!!」
ゴッドスター「ご、 ごめんなさ〜い」
ハグレル「げぇーーー! 壊れた!!」
ハグレル「「メガハンド23号」も失敗作、か・・・」
ミシマ「・・・・・・ふっ」
この後
私はゴーレム部に入ることになる
それなりに退屈しない日々を送ることになるのだけど・・・
ま、それについては
気が向いたら話そうかな
1話 おわり