〈素敵な結婚式を挙げられる〉ウェディングドレス(脚本)
〇時計台の中
鑑定士「この世には〈いわく〉を抱えた呪いの品が存在します」
鑑定士「私はそんな〈いわく〉付きの品専門の鑑定士」
鑑定士「さて、本日の〈いわく〉は、一体おいくらになるのでしょうか・・・」
〇時計台の中
鑑定士「鑑定する品物をお見せください」
鑑定士「『ウェディングドレス』ですね」
鑑定士「では、この品にまつわる〈いわく〉をお話しください」
〇ホテルのレストラン
白鳥花凛「今日は、何の用事?」
白鳥花凛「わざわざ、こんなところに呼びだして・・・」
青山幸人「ああ、俺たちももう3年──」
白鳥花凛(とうとうプロポーズ・・・!?)
青山幸人「そろそろ、別れよう」
白鳥花凛「はぁ!?」
青山幸人「ぶっちゃけ、他に好きなやつができた」
白鳥花凛「はあぁぁっ!?」
〇大衆居酒屋
白鳥花凛「どー思う!? 信じらんないでしょ!!」
白鳥純「姉さん、わかったからもうその辺で・・・」
白鳥純「そんな男なら、結婚前に別れられてよかったじゃん」
白鳥花凛「あんたに、あたしの気持ちなんかわかんないわよ!」
白鳥花凛「うわ〜んっ」
白鳥純「今度は泣き上戸かよ・・・」
白鳥花凛「すいませんー、生追加でー!」
白鳥純「もうその辺にしとけよ」
〇住宅地の坂道
白鳥花凛「うえっぷ・・・気持ち悪い・・・」
白鳥純「飲みすぎなんだよ」
白鳥純「一人で帰れなくなるほど飲むなんて・・・」
白鳥純「俺がいないときは自重できるようにしろよ」
白鳥花凛「うるさい! 今日は朝までつき合いなさいよ!」
白鳥純「まだ飲む気かよ!?」
白鳥純「俺は家で可愛い奥さんが待っているから早く帰りたい」
白鳥花凛「あんたばっかり幸せそうで、ムカつく!」
白鳥花凛「こんなの飲まなきゃ、やってらんないでしょーが!」
白鳥純「はいはい、近所迷惑だから静かに歩いてくれ」
白鳥花凛「母さんたちの墓に、いい報告ができると思ったのになぁ・・・」
〇綺麗な部屋
昔、母さんのウェディングドレスを
一緒に見たの、覚えてる?
白鳥花凛「わあ、キレイ!」
お母さん「お母さんの宝物よ」
お母さん「花凛が大きくなったら、あげるわ」
白鳥花凛「本当!?」
白鳥花凛「いつか絶対、わたしもこのウェディングドレスで結婚式をする!」
〇住宅地の坂道
白鳥花凛「あーあ、結婚したかったな・・・」
白鳥純「・・・仕方ないな、今夜だけ泊まってやる」
〇一戸建て
花凛の家
〇おしゃれなリビング
白鳥純「姉さん、風呂空いた──」
白鳥純「って、何その格好!?」
白鳥花凛「どう? キレイでしょ」
白鳥純「いやいやいや、何でウェディングドレスなんて着ているのさ!?」
白鳥花凛「だって、彼氏と別れたんだよ!?」
白鳥純「それに何の関係が!?」
白鳥花凛「もうすぐ三十路なのに!」
白鳥花凛「ウェディングドレスなんて一生、着る機会がないかもしれないじゃない!」
白鳥花凛「だから、着てみた!」
白鳥純「だからって・・・」
白鳥花凛「なかなか似合っているでしょ?」
白鳥花凛「やっぱり結婚式を挙げてみたいなぁ・・・」
白鳥純「ん? 今、なんか光った?」
白鳥花凛「ちょっとやだ、あたしが輝いていて眩しいって!?」
白鳥純「そんなこと、いってない・・・」
白鳥花凛「決めた! あたし、何がなんでも結婚してみせる!」
白鳥花凛「そうと決まれば、さっそくマッチングアプリに登録よ!」
白鳥純「もう勝手にしてくれ・・・」
〇大衆居酒屋
数週間後
白鳥花凛「純、どうしよう・・・!」
白鳥花凛「全っ然、彼氏できない!」
白鳥純「・・・そんな簡単にできるわけないだろ」
白鳥純「姉さんなんだし!」
白鳥花凛「あたしに釣りあう男はなかなかいないもんね!」
白鳥純「そのポジティブな思考がすげえよ」
白鳥花凛「共通の友だちから聞いたんだけど、元カレもうまくいってないみたい」
白鳥花凛「ざまあみろよ!」
白鳥花凛「絶対あたしの方が、先に結婚してやるんだから!」
白鳥純「そんな無理しなくてもいいだろ」
白鳥花凛「ダメよ! 何としてでも、結婚式でウェディングドレスを着なきゃ!」
白鳥花凛「ハァ・・・登録したマッチングアプリが悪いのかな・・・」
白鳥純「何てアプリ?」
白鳥花凛「この『アベックズ』っていうアプリ!」
白鳥花凛「”かりん⭐︎”っていう名前でね──」
白鳥純「いや、アカウント名までは聞きたくない」
〇本棚のある部屋
白鳥純「『アベックズ』ね・・・」
白鳥純「・・・ん? これは・・・」
〇SNSの画面
ネットの声「【悲報】アベックズで地雷女 発見!」
ネットの声「初対面なのに、開口一番『いつ結婚する?』って聞かれたwww」
ネットの声「”かりん⭐︎”っていうアカウントなんだけど、マジでヤバい!」
白鳥純「ちょっと待て、まさか・・・」
ネットの声「その女、俺も会ったことある!」
ネットの声「家に行ったら、ウェディングドレスで出迎えられた!」
〇本棚のある部屋
白鳥純「何だこれ・・・」
白鳥純「どういうことだよ、姉さん・・・!」
〇一戸建て
〇おしゃれなリビング
白鳥純「姉さん、話があるんだけど──」
白鳥純「何でそんなの着ているんだよ!?」
白鳥花凛「え? ああ、ウェディングドレス?」
白鳥花凛「だって、どうしてもこれを着て結婚式を挙げたいんだもん」
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後れ馳せながら、公開おめでとうございます!
明るくあっけらかんとした様子のまま狂気にのまれていくさまが、余計に修復不能というか……強固さを感じてそわそわするお話でした。
プロジェクト、お疲れ様でした✨️
公開おめでとうございます。
ウェディングドレスで生活するというのも狂気を感じ、そして最後の弟のセリフでもいわくに取り憑かれた狂気を感じてゾクリとしました😱
かりんの気持ちはよく分かります😣
焦りますよね、目の前にあればなおさら😅
でも最後、弟くんにもいわくが憑いちゃった……⁉️
そこが一番ゾクッとしました😭
キレイにまとまってるめっちゃ読みやすいストーリーでした😊さすが✨
久望さん、プロジェクトお疲れ様でした~☺️