いわく鑑定士

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〈ぴったりに等分できる〉ナイフ(脚本)

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〇時計台の中
鑑定士「この世には〈いわく〉を抱えた呪いの品が存在します」
鑑定士「私は、そんな〈いわく〉付きの品専門の鑑定士」
鑑定士「さて、本日の〈いわく〉は、一体おいくらになるのでしょうか・・・」
依頼人「僕が鑑定していただきたいのは、このナイフです」
依頼人「このナイフの〈いわく〉を、話さなければならないのですね」
依頼人「それが依頼人に与えられた平等だというなら、いいでしょう。お話しします」

〇東京全景

〇歌舞伎町

〇大衆居酒屋
店員「おあいそですね。 お会計こちらになりまーす!」
部長「1人、4000円だぞー!」
後輩「うえーーーい! 了解っっすー!」
平 律子「それは平等ではありません!」
部長「な、なんだ!?」

〇仮想空間
平 律子「部長は、焼き鳥を皆より1本多く食べていましたし」
平 律子「さらに、天ぷらそばまで食べていました!」
平 律子「しめて4433円払ってください!」

〇大衆居酒屋
部長「細えなぁ・・・」
平 律子「あと、3円足りません!」
部長「くうううー」

〇歌舞伎町
三文 公平「律っちゃん!」
平 律子「公平・・・」
三文 公平「さっきの部長のことなんだけど・・・」
平 律子「な、なに?」
平 律子(ちょっと言い過ぎちゃった? 公平にだけは嫌われたくないのに・・・)
三文 公平「僕もずっと思っててさ、律っちゃんが言ってくれてすっきりした!」
三文 公平「律っちゃん、かっこよかったよ!」
  それはね
  平等じゃないと損するのは、いつも私だからだよ

〇一戸建て

〇クリスマス仕様のリビング
三文 公平「ハッピーバースデー! 律っちゃん、唐花!」
「ありがとう! 公平!」
三文 公平「律っちゃんと唐花は双子だから、同じものにしたよ」
平 唐花「そんなことより、公平! 部屋の飾り付け手伝って」
平 律子「公平からのプレゼント。 嬉しい」

〇クリスマス仕様のリビング
「カンパーイ!!」
平 唐花「皆に、報告があるの!!」
友人「えー。なになに?」
平 唐花「私たち、結婚しまーす!!」
「えええええー!」
平 律子「そんな・・・」
三文 公平「そして嬉しいことに・・・」
三文 公平「唐花のお腹の中には、僕の子が・・・!!」
平 律子「お、おめでとう・・・」
平 唐花「ありがとう。お姉ちゃん!」

〇綺麗なキッチン

〇綺麗なキッチン
平 唐花「なんだ。こんなところにいたんだ」
平 律子「唐花・・・」
平 唐花「お姉ちゃん。とうとう失恋しちゃったね」
平 律子「気づいてたの?」
平 唐花「付き合ってること、黙っててごめんね」
平 律子「公平とのこと、 言ってくれれば良かったのに・・・」
平 唐花「だって、お姉ちゃんに話したら、 邪魔されるじゃない?」
平 律子「そ、そんなこと!」
平 唐花「てことだから、 公平にちょっかい出さないでね」
平 律子「出すわけないよ! 公平は、唐花の旦那さんになるんだから・・・」
平 唐花「旦那さん。うふふ。 いい響き♡」
平 唐花「その顔じゃ、 しばらく戻れないだろうから、」
平 唐花「お姉ちゃんにケーキ、お願いしていい?」
平 律子「・・・うん。 人数分にカットして持って行く」
平 唐花「それとー。言いたくないけど」
平 唐花「ローストビーフの切り方、雑だったよ」
平 律子「そ、それは!!」
平 唐花「言い訳はいいから、 ケーキはちゃんと等分してよね」
平 唐花「今日の主役は、私なんだから🎵」
平 律子「私だって・・・ 誕生日なんだよ」
平 律子「ケーキ・・・ 切らなくちゃ・・・」

〇黒背景
  ── 子供の頃からそうだった

〇おしゃれなリビングダイニング
平 唐花「お姉ちゃんだけ、ずるいーー!」
平 唐花「お姉ちゃんのケーキには、チョコが載ってるのに、私のケーキには載ってない!」
平 律子「これは、私のだもん・・・」
平 唐花「なんで私のは、無いの!?」
ママ「それはね。ハッピーバースデーのチョコレートプレートは、一個しかないから」
平 唐花「でも私だって、誕生日だもん!!」
ママ「じゃあ、半分こすればいいわよ」
平 律子「私のチョコ、半分、唐花にあげるの?」
ママ「そうよ。双子なんだから、なんでも平等に分けないとね」
ママ「はい、半分。 これで平等でしょ?」
平 律子「え!? ママ!! 唐花の方が大きいよ!!」
平 唐花「わーい!」

〇綺麗なキッチン
平 律子「いっそ、なんでも平等に分けられたらいいのに」
平 律子「ちゃんと、等分しないと・・・」

〇クリスマス仕様のリビング
平 律子「みんな、お待たせー。 ケーキどうぞ!」
平 唐花「綺麗にカットしてくれてありがとう! お姉ちゃん!」
三文 公平「どれもぴったり同じサイズだね」
三文 公平「さすが、律っちゃん!」

〇クリスマス仕様のリビング
三文 公平「さあ、律っちゃんも一緒にケーキ食べよう」
三文 公平「律っちゃんだって、主役なんだからさ!」
平 律子「う、うん!!」

〇空

〇事務所
部長「おーい。 誰か、この芋羊羹切ってくれないか?」
平 律子「部長。いくつに切りましょうか」
部長「お、おう。7個に分けてくれるか」
平 律子「承りました」
平 律子「どうぞ、ぴったり等分してあります」
部長「おお!」
取引先担当者「すみません」
取引先担当者「消しゴム忘れちゃって。貸してくれませんかね」
平 律子「消しゴムですね」
平 律子「おひとつどうぞ」
平 律子「ちゃんと二つに等分しましたので、お持ち帰りくださってかまいませんよ」
取引先担当者「え!?」
取引先担当者「あ、ありがとうございます」

〇広い公園
小学生「おい! そのフランクフルト半分よこせ!」
小学生「でも・・・」
平 律子「大丈夫よ。 お姉さんが、ぴったりに等分してあげる!」
平 律子「はい! ぴったり半分こ!」
平 律子「これからも仲良くねー!」
「・・・だれ?」

〇可愛い結婚式場

〇結婚式場の階段
「公平くん、唐花ちゃん。 結婚おめでとう!」

〇教会の控室
ウエディングプランナー「えええー!! ブーケを等分したい!?」
平 唐花「私たちの愛を、非モテな皆様全員に平等にお裾分けしたいの!」
平 唐花「だからお願いね!」
ウエディングプランナー「そんなー。 急に言われても!」
平 律子「心配ありません!」
平 律子「全て、ピッタリに等分してあります」
ウエディングプランナー「わあ! ピッタリ!」

〇一戸建て
平 唐花「これで新居への荷物は全部だよ」
三文 公平「それじゃあ、行こっか」
三文 公平「律っちゃん。 いつでも遊びに来てね」
平 律子「・・・うん」
平 律子「あ、待って!」
平 律子「はい、忘れ物」
平 唐花「なによ、この古いぬいぐるみ」
平 律子「唐花、忘れちゃったの?」
平 律子「昔から2人で可愛がっていたじゃない?」
平 律子「だから、新居にも連れて行ってあげたほうがいいと思って」
平 唐花「いや、要らないし」
平 唐花「私はいいから。 これからはお姉ちゃんが可愛がってあげて」
平 唐花「それにほら、ぬいぐるみ1体しかないしね」
平 律子「なんだそんなこと!?」
平 律子「はい。半分こ 平等に愛してあげないとだよね」
平 唐花「えええええーーー!!」

〇メイド喫茶
  ──猫カフェ
「きゃーー! かわいいーーーー!!」
学生「この艶やかな毛並み ずっと触っていたーい!」
学生「ほんと触り心地最高!」
平 律子「その想い、わかります!」
平 律子「はい、どうぞ」

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コメント

  • 平等とナイフの組み合わせがこんなに怖いとは。。😨
    唐花がなかなか嫌な奴だったので、律子の狂気には説得力ありました。姉妹だから距離をおけないのも辛かったんでしょうね。。

  • 平等は良いですね。
    きっちり同じ等分できると気持ちが良いですね。
    しかしラストは何度見ても怖い😱
    好きな人を取られた悲しみにいわくがついたのか恐怖を感じます。

  • わぁー!こちらのお話やはりゾクゾクとしますね…‼︎😱

    今までの恨みや辛みがいっぺんに爆発したのでしょうね…

    物凄いいわくです…😱

    ラストの不穏さも後を引きます!凄いお話でした!

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