いわく鑑定士

編集長

〈大事な思い出をしまう〉タンス(脚本)

いわく鑑定士

編集長

今すぐ読む

いわく鑑定士
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇時計台の中
鑑定士「この世には〈いわく〉を抱えた呪いの品が存在します」
鑑定士「私はそんな〈いわく〉付きの品専門の鑑定士」
鑑定士「さて、本日の〈いわく〉は、一体おいくらになるのでしょうか・・・」

〇黒

〇時計台の中
今納 愛美(いまのう まなみ)「これを鑑定お願いします」
今納 愛美(いまのう まなみ)「本当は手放したくないんです」
今納 愛美(いまのう まなみ)「でも、仕方ないんです 実は──」

〇黒

〇桜並木
今納 愛美(いまのう まなみ)「神谷先輩! 卒業おめでとうございます」
神谷先輩(かみやせんぱい)「ありがとう 俺たちは決勝まで行けなかったけど 今納達ならきっと行ける、頑張れよ」
今納 愛美(いまのう まなみ)「はい、必ず先輩達の分まで頑張ります そして今度こそ 吹奏楽コンクールで優勝を──」
神谷先輩(かみやせんぱい)「ああ、期待しているよ」
今納 愛美(いまのう まなみ)「あの・・・」
神谷先輩(かみやせんぱい)「どうしたの?」
今納 愛美(いまのう まなみ)「せ、先輩のボタンが欲しくて」
神谷先輩(かみやせんぱい)「ああ、いいよ」
今納 愛美(いまのう まなみ)「ありがとうございます それと──」
神谷先輩(かみやせんぱい)「うん?」
今納 愛美(いまのう まなみ)「いや、なんでもないです ありがとうございました!」

〇黒

〇学校の校舎
今納 愛美(いまのう まなみ)「はぁ、昨日あんなに練習したのに 想いを伝えられなかったわ」
クラスメイト 花村(はなむら)ちゃん「あらら でもボタンは貰えたんでしょ?」
今納 愛美(いまのう まなみ)「うん だけど自分の気持ち伝えたかったなぁ」
クラスメイト 花村(はなむら)ちゃん「そっかぁ 元気出して」
今納 愛美(いまのう まなみ)「私にもっと勇気があればなぁ」

〇黒

〇タンスの置かれた部屋
母親「あら、まだ起きてたの?」
今納 愛美(いまのう まなみ)「う、うん」
母親「どうしたの? 泣いてたの? 何があったのよ?」
今納 愛美(いまのう まなみ)「なんでもないよ 部活の先輩が卒業したから ちょっと寂しくなっただけ」
母親「それは寂しいわね」
今納 愛美(いまのう まなみ)「うーん これどこにしまおうかな」
母親「タンスにでもしまっておけば?」
今納 愛美(いまのう まなみ)「そうね大事な物だし」

〇学校の校舎
クラスメイト 花村(はなむら)ちゃん「愛美、昨日は残念だったね・・・」
今納 愛美(いまのう まなみ)「昨日、何かあったっけ?」
クラスメイト 花村(はなむら)ちゃん「告白できなかったって あんなに落ち込んでたじゃない もう吹っ切れたの?」
今納 愛美(いまのう まなみ)「そうね 先輩のボタンがタンスにあるって思うと 不思議と寂しくなくなって」
今納 愛美(いまのう まなみ)「離れていても 先輩のボタンは手元にあるし なんだか側にいるみたいなの」
クラスメイト 花村(はなむら)ちゃん「そ、そう? 元気になったのならいいんだけどね」

〇黒

〇アーケード商店街
  数年後

〇黒

〇ネオン街

〇黒

〇シックなバー
「いらっしゃい」
今納 愛美(いまのう まなみ)「予約してないけど空いてますか?」
酒井 一明(さかい かずあき)「ええ、カウンターが空いてますよ どうぞ」
今納 愛美(いまのう まなみ)「神谷先輩・・・!?」
酒井 一明(さかい かずあき)「え?」
今納 愛美(いまのう まなみ)「いえ、知り合いに似てたので 驚いただけです」
酒井 一明(さかい かずあき)「そうなんですか ゆっくりしていってくださいね」
酒井 一明(さかい かずあき)「どうしました?」
今納 愛美(いまのう まなみ)「あ、いや、実はこういう店って初めてで 何がおすすめでしょうか?」
酒井 一明(さかい かずあき)「そうですね、では──」
酒井 一明(さかい かずあき)「『クイーン・エリザベス』 このカクテルはいかがでしょう」
今納 愛美(いまのう まなみ)「綺麗な色! いただきます」
今納 愛美(いまのう まなみ)「いい香りで、甘くて美味しい!」
酒井 一明(さかい かずあき)「気に入ってもらってよかった カクテル言葉って知ってますか? このカクテルは──」

〇黒
  数ヶ月後

〇シックなバー
酒井 一明(さかい かずあき)「いらっしゃい」
酒井 一明(さかい かずあき)「愛美さん! また今日も来てくれたんですね 注文は何に──」
今納 愛美(いまのう まなみ)「今日はぁー マスターのおすすめでぇ」
酒井 一明(さかい かずあき)「おやおや、他の店で飲んできたんですか ご機嫌ですね」
今納 愛美(いまのう まなみ)「酔ってないれすよおー ちょっとだけえ」
酒井 一明(さかい かずあき)「大丈夫ですか? 少し横になった方が──」
今納 愛美(いまのう まなみ)「せんぱぁい、大好きー!」
酒井 一明(さかい かずあき)「え?」
今納 愛美(いまのう まなみ)「むかしぃ 勇気なかったんですよぉ私 だからぁもう後悔したくなくってぇ」
酒井 一明(さかい かずあき)「酔っ払ってますねぇ 少し奥で休みましょう」
今納 愛美(いまのう まなみ)「酔ってないんだもん ずっと好きだったから 勇気が欲しくてお酒を──」
今納 愛美(いまのう まなみ)「うーっぷ・・・」
酒井 一明(さかい かずあき)「飲み過ぎですよ! トイレまで歩けますか?」
今納 愛美(いまのう まなみ)「うえぇ」
酒井 一明(さかい かずあき)「もうちょっと我慢して」
今納 愛美(いまのう まなみ)「好き・・・」
酒井 一明(さかい かずあき)「ちょっと! 寝ないでください ・・・仕方ないなあ」

〇黒

〇シックなバー
今納 愛美(いまのう まなみ)「あの・・・ この前は家まで送ってもらい ありがとうございました」
酒井 一明(さかい かずあき)「いえいえ 心配してましたよ 今日は飲み過ぎないようにね」
今納 愛美(いまのう まなみ)「は、はい 酔った勢いで変な事も言った気が・・・ ごめんなさい」
酒井 一明(さかい かずあき)「そうですね・・・ あの時の返事がまだでした」
今納 愛美(いまのう まなみ)「え? 私まだ頼んでないですけど」
酒井 一明(さかい かずあき)「これは僕の気持ちです このカクテルは 『エンジェルキッス』」
今納 愛美(いまのう まなみ)「わぁ、素敵な名前! これもカクテル言葉ってあるんですよね えーと、これって──」
酒井 一明(さかい かずあき)「『あなたに見惚れて』 これが僕の答えですよ」
今納 愛美(いまのう まなみ)「え? それって」
酒井 一明(さかい かずあき)「僕とお付き合いをしてくれますか?」
今納 愛美(いまのう まなみ)「は、はい! 喜んで」

〇黒

〇ラブホテル

〇黒

〇タンスの置かれた部屋

〇タンスの置かれた部屋
今納 愛美(いまのう まなみ)「朝ごはん作ってみたんだけど 口に合うかな?」
酒井 一明(さかい かずあき)「お、これは・・・ 僕の好み覚えていてくれたんだね」
今納 愛美(いまのう まなみ)「お口に合ってよかったわ 前にアサリが好きって聞いたから 作ってみたのよ」
酒井 一明(さかい かずあき)「おっと・・・ ごめん味噌汁ちょっとこぼした」
今納 愛美(いまのう まなみ)「服、汚れなかった? 大丈夫?」
酒井 一明(さかい かずあき)「ちょっと靴下にかかったけど 大した事ないよ」
今納 愛美(いまのう まなみ)「あら、大変 靴下洗っておくよ」

〇黒

〇シックなバー
グルメリポーター典子(のりこ)「今日は、最近人気のお店を紹介します! 口コミで人気に火が付き 今では予約もなかなか取りづらいとか」
酒井 一明(さかい かずあき)「ありがたい事に連日満員で せっかく来てくれたお客様を お断りする日もあるんです」
グルメリポーター典子(のりこ)「大盛況ですね このお店はマスターのオリジナルカクテルが 大人気なんですねー」
酒井 一明(さかい かずあき)「はい、こちらが当店で人気の──」

〇タンスの置かれた部屋
今納 愛美(いまのう まなみ)「もしもし・・・ TV見たよ、忙しそうね でもたまには会いに──」
今納 愛美(いまのう まなみ)「もしもし! もしもし!?」

〇シックなバー
酒井 一明(さかい かずあき)「すいません、今日は予約でいっぱいで── あれ? 愛美ちゃん?」
今納 愛美(いまのう まなみ)「最近会いに来てくれないのなんで? 電話もなかなか出てくれないし」
酒井 一明(さかい かずあき)「ごめん、お店が忙しくなっちゃって なかなか暇が取れなくてさ」
今納 愛美(いまのう まなみ)「何よ、お店お店って 私の事優先してよ!」
酒井 一明(さかい かずあき)「ちょっとこっちで話そうか」

〇ビルの裏
酒井 一明(さかい かずあき)「ごめん、忙しいから 今日は帰って」
今納 愛美(いまのう まなみ)「えっいやよ お店より私を見て」
酒井 一明(さかい かずあき)「この店はずっと僕の夢だった やっと軌道に乗ってきたから 今頑張らないといけないんだ」
今納 愛美(いまのう まなみ)「もうちょっと 私の事を愛してよ」
酒井 一明(さかい かずあき)「だから、今は──」
今納 愛美(いまのう まなみ)「私の事もっと愛してよ! 愛してよぉ!」
酒井 一明(さかい かずあき)「・・・別れよう」
今納 愛美(いまのう まなみ)「えっ」
酒井 一明(さかい かずあき)「これ以上僕の邪魔するなら もう付き合えないよ さよなら」
今納 愛美(いまのう まなみ)「なんで・・・」

〇黒

〇タンスの置かれた部屋
今納 愛美(いまのう まなみ)「なんで? いやよ、別れるなんて 私の何がいけないの」
今納 愛美(いまのう まなみ)「こんなに愛してるのに どうして・・・」
今納 愛美(いまのう まなみ)「そうだわ、彼の物を大事にしまわないと」

〇黒

〇タンスの置かれた部屋
今納 愛美(いまのう まなみ)「もしもし── 花村ちゃん? どうしたの、電話なんて珍しい」
花村ちゃん「振られたって聞いて 心配になったからかけたのよ 大丈夫?」
今納 愛美(いまのう まなみ)「ああ、全然平気よー」
花村ちゃん「落ち込んでない? 大丈夫?」
今納 愛美(いまのう まなみ)「全然落ち込んでないよ 私を1番に思ってくれない人なんて もういいわ」
今納 愛美(いまのう まなみ)「それに、大事な思い出はしまってあるし」
花村ちゃん「まぁ元気ならいいんだけど そうそう、この前──」

〇黒

〇田舎の公園
音無 勇次(おとなし ゆうじ)「へーい♪ 俺の歌を聞いてくれぇ♪ イエイエーオッオー♪」
今納 愛美(いまのう まなみ)「あら?」
音無 勇次(おとなし ゆうじ)「オゥイヤハァー♪」
今納 愛美(いまのう まなみ)「素敵な歌ね」
音無 勇次(おとなし ゆうじ)「おねーさんいい人だなぁ ずっとここで歌ってるけど 立ち止まってくれたの初めて」
今納 愛美(いまのう まなみ)「まぁ、そうなの?」
音無 勇次(おとなし ゆうじ)「俺、バンドデビュー目指してんだけど 全然売れなくて」
音無 勇次(おとなし ゆうじ)「暇だから毎日ここで練習してんだー ちょっと付き合ってよ」
今納 愛美(いまのう まなみ)「えぇ!? 付き合うって 私たち今日初めて会ったのに」
音無 勇次(おとなし ゆうじ)「いや、付き合うってそっちの意味でなく 歌を聴いてほしいと──」
音無 勇次(おとなし ゆうじ)「ま、いっか」

〇黒

〇田舎の公園
音無 勇次(おとなし ゆうじ)「ごめん、デートに誘ったはいいけど お金なくてさ 公園でもいいよね?」
今納 愛美(いまのう まなみ)「いいよ、ベンチに座って話そうか」
音無 勇次(おとなし ゆうじ)「今はお金無いけど、でも 愛美を愛する気持ちは世界で1番だよ!」
今納 愛美(いまのう まなみ)「私を1番大事に想ってくれて嬉しい」
音無 勇次(おとなし ゆうじ)「そんなの当然じゃん」
今納 愛美(いまのう まなみ)「ありがと あなたと付き合えてよかった」

〇黒

〇コンビニ
音無 勇次(おとなし ゆうじ)「ごめん、これ誕生日プレゼント 今はお金無いけど ビッグになったらもっといい物を──」

〇黒

〇タンスの置かれた部屋
音無 勇次(おとなし ゆうじ)「一緒に住んでいいの? 家族は?」
今納 愛美(いまのう まなみ)「今は一人暮らしなの」
音無 勇次(おとなし ゆうじ)「俺、売れたら高層マンション買うね そこで一緒に暮らそう」
今納 愛美(いまのう まなみ)「楽しみにしてるわ」
音無 勇次(おとなし ゆうじ)「そうそう、新曲作ったんだ」
今納 愛美(いまのう まなみ)「わぁ、聴きたい」
音無 勇次(おとなし ゆうじ)「それじゃ この歌を愛美に捧げます」
音無 勇次(おとなし ゆうじ)「君の優しい眼差しが愛しいー♪」
音無 勇次(おとなし ゆうじ)「君がいつも勇気を与えてくれたー♪ だから君を守りたいんだー♪」
音無 勇次(おとなし ゆうじ)「君は俺の大切な宝物さー♪ 一生大事にするよー♪」
音無 勇次(おとなし ゆうじ)「愛美、愛してる これからもずっと一緒だ」
今納 愛美(いまのう まなみ)「私も、愛してる」

〇黒

〇タンスの置かれた部屋
音無 勇次(おとなし ゆうじ)「おかえり、今日も遅かったね」
今納 愛美(いまのう まなみ)「仕事が忙しくて」
音無 勇次(おとなし ゆうじ)「最近全然会えてない いつも帰り遅いしすぐ寝るし 朝は早く出て行くし」

このエピソードを読むには
会員登録/ログインが必要です!
会員登録する(無料)

すでに登録済みの方はログイン

次のエピソード:〈何でも美味しく調理できる〉フライパン

コメント

  • 髪の毛を探す掌のエフェクトに、こんな使い方もあったのかと思うのと同時にゾッとしました。
    いらない思いは、腐る前に即捨てるべきなんだろうなとか、色々考えさせられる結末でした。

  • 惚れっぽいだけで最終的には犯罪者に。
    最初の先輩と上手く行ってればこんなことにはならなかったのか。いや、彼女の性格ですね。
    路上歌手の彼の歌で立ち止まる彼女に笑いました。見る目ないですねー(笑)

  • あれ?ゴリラが一瞬いたような?なんか驚いた表情をしていたような?…って気のせいかぁー!😂わら

    なんでもしまいたくなってしまういわく…最初は可愛い程度だったのにエスカレートしていきましたね、、、

    まさにいわくに取り憑かれた人の末路を見た感じがありました!!

ページTOPへ