第43話 仲間の行方(脚本)
〇西洋の市街地
2021年 イリノイ州 デュページ郡 ネイパービル 氷壁に覆われた街
ゲライント「皆、ここがボスの拠点の街よ。ボスがいる場所まで案内するわね?エルちゃんもおいでー?」
エル・シッド「え~···めんどくせ~···外にいる州兵相手する方がアタシはいいんだけどなー?」
ゲライント「ダメよ?何をいくら壊したぐらい報告しないと修繕するのも大変でしょ?」
エル・シッド「わかったよ~···はぁ···だりぃ···」
シャルル「我儘ダメ」
斎王達はいつの間にか現れたシャルルに驚き後ろを振り返ると、装甲車や歩兵は既に無力化されており
シャルルの部下であろう男達がぞろぞろ歩いてくる
エンチャント魔導法士「あの子供みたいな奴も変化武器なのか?キング。それぞれがどういう変化武器か教えてくれるか?」
エンチャントが小声でキングに言うと、シャルルがエンチャントの背中を軽く小突き、ゲライントに指を指す
シャルル「げら、一同。紹介、説明」
ゲライント「あら、そう言えば自己紹介がまだね。せっかくだし歩きながら自己紹介でもしましょうか」
ゲライントを先頭に一同が歩き始める。ゲライントは街の人々に度々声をかけられながら、自身の素性を明かす
ゲライント「私の名前はゲライント。武器の時の名前は『幻惑の弾丸』って名前で、異能力は『幻覚を見せる』異能力よ」
エンチャント魔導法士「幻覚を見せる···?名前はゲライントなのに異能力とは関係がないのか?」
斎王幽羅「ど、どういう事···?」
鸞「ゲライントという名前だが···あれはアーサー王伝説に出てくる円卓の騎士の1人の名前だ」
鸞「智謀に長けた知将だったらしいが、幻覚に何の関係もないし、これといった逸話や伝説もない普通の人間だ」
斎王幽羅「なるほど···要は異能力と名前が一致してないのが不思議ってことだね?でもそれ言ったらキングもじゃない?」
鸞「キングの場合、一応ルーマニアにもう1つ変化武器があったらしいからそっちに『ヴラド公』関連の名前がついたんだろ」
斎王幽羅「あ、そういえばそうだったね。忘れてた···」
ゲライント「まぁ私と一部の変化武器は最後の方に作られたから、名前と異能力の関連がなくて雑なのよね」
ゲライント「だからその辺は気にしないでね?そしてその子はシャルル、『始まりの変化武器』の1人で」
ゲライント「武器の時の名前は『絶世剣 デュランダル』、逸話や伝説通り今まで一度も『傷を負ったことがないわ』」
ゲライント「当然だけど逸話通り『岩』くらいなら両断もできるわ、ビルもいけるわよね?」
シャルル「余裕綽々。力量不足」
エンチャント魔導法士「どういう事だ···?できるのかできないのかわからんな···」
ゲライント「昔は余裕でできたんだけど、今は『錆の広がり』が酷くて全力を出せないのよ」
ゲライント「異能力も剣速と身体能力の向上があるけど、剣速のみが異能力として残ったわ」
キング「こいつ喋り方変だなと思ったら錆が広がってたのか···そう言えばゲライント、ギリシャ遠征組の皆はどうしてる?」
ゲライント「··· ··· ···死んだわ。私達、人間達に空港で待ち伏せされてたの」
ゲライント「その時マーリン、アキレウス、クサナギが囮になって私達は逃げてきたんだけど···」
ゲライント「ギリシャ遠征組の18の変化武器の内9の変化武器が拘束、その場で放水車の水を浴びて···」
ゲライント「一瞬で錆が全身に広がって···人の状態を維持出来ず武器の姿に。その場で爆弾を使って『破壊』されてたわ」
キング「マーリン、アキレウス、クサナギが束になっても勝てない···?いくらなんでもおかしいだろ。相手は誰だ?」
ゲライント「クローン喧嘩王、こっちじゃ『アナザー』って呼ばれてる」
ゲライント「その中でも本物の喧嘩王の頭、首、腰の骨から抽出した細胞を作られた『アナザーオリジン』に3人は手も足もでず、やられたわ」
キング「どんな奴だった?そこのじいさん、Xヒーロー三代目の世代の人間だから再現度とかわかると思うぜ?」
ゲライント「そうね···あれはまるで『神』よ。例えるなら···『光を纏った喧嘩好きの神様』」
ゲライント「アキレウスのスピードにも並走できるし、マーリンの幻惑の異能も効かないし、何より···」
ゲライント「クサナギが力負けしてるわ。あの『大陸を引っ張ることが出来る』クサナギがよ?生物が出せる力のスペックを」
ゲライント「『破ってる』としか思えないわ···あれは異次元、敵にすること自体が間違いよ···」
キング「聞いてみた感じどうだ?本物の喧嘩王と遜色ないか?」
エンチャント魔導法士「聞いた限りでは···遜色ない。神王は最初、敵の実力を『計る』んだよ」
エンチャント魔導法士「そうしてから敵の渾身の一撃と相手の力量に見合った一撃を放って『ギリギリ』を楽しむんだ」
キング「喧嘩を···楽しむためにか?どんだけバトルジャンキーなんだよ···」
エンチャント魔導法士「だからこそセーブ役である鸞の父親が必要だったんだがな···」
エンチャント魔導法士「というかサラッと言ったが、あのシャルルという変化武器が始まりの変化武器という事は···」
ゲライント「えぇ、かつてトロイア戦争で英雄ヘクトールが使い、それを加工して作られた折れず曲がらずの絶世の剣」
ゲライント「変化武器だからどうしても錆びちゃうけど、硬度は当時のまま。何世紀にも渡って刃こぼれすらない」
ゲライント「そんな絶世剣デュランダルの『本物』よ。因みに大英博物館にあるのは偽物よ?」
エンチャント魔導法士「マジか··· ··· ···あの変化武器、あんなカワイイ顔して実年齢···」
キング「エンチャントのじいさん、あんま考えねえ方がいいぜ?」
そんな話をしながら歩いていると、ゲライントの歩が止まる。斎王達が何があるのかと周りを見ると
大きな『ナイトクラブ』があり、ゲライントが入口の警備員に話かける
ゲライント「ハァーイ?リチャード。ボスの客人を連れてきたんだけど、ボスはいるかしら?」
警備員「お疲れ様ですゲライントさん、シャルルさん、エル・シッドさん。ボスは別件で不在です」
ゲライント「別件?私達聞いてないんだけど···いつ帰ってくるかわかる?」
警備員「『明後日』頃だと思います。アイオワとミズーリから州兵が攻めてきたらしく、今対処しに行ってます」
警備員「あちらに居るのは『斎王幽羅』様ですね?ボスから聞いてます、暫くはあのホテルを利用していいそうなので」
ゲライント「ふ~ん···わかったわ、斎王クン達には言っておくわね?」
そして斎王達はホテルへ案内され、ひとまず斎王の部屋に集まり今後の目標を話し合うことにした
To Be Continued··· ··· ···