第42話 破壊の騒音(脚本)
〇観光バスの中
2021年 アメリカ イリノイ州 観光バス内
エンチャント魔導法士「なんか流れで乗ってしまったが···あいつらは信用できるのか?キング」
キング「今の所はな。ゲライントもエル・シッドも昔とあんま変わんねえし、敵意も見えねえ」
キング「俺はそれよりアイツらが言ってる『ボス』ってのが気になる···斎王、ロケットペンダントを知ってるのはお前以外に誰がいる?」
斎王幽羅「父さん、母さん、母方の爺ちゃんと婆ちゃんだけだよ」
エンチャント魔導法士「斎王勇次郎、雪月雪羅、雪月頼、鬼月冷羅って訳か。うち3人は死んでるから消去法で言えば···」
斎王幽羅「ゲライントさん達が言ってるボスってのは多分···冷羅さんだと思う」
エンチャント魔導法士「そう考えるのが妥当だな、ところでこのバスはどこに向かってるんだ?聞いてきてくれるか?キング」
斎王達は今後をとりあえず話し合い始め、キングはゲライント達から行先を聞こうとする。
しかし背後から数台の装甲車が現れ、斎王達のバスに銃撃を始める。
エンチャント魔導法士「州防衛軍が装甲車···?ワシらがテロリストでもないと出てこんぞ?」
ゲライント「そこはイロイロあるのよ、エルちゃーん!いつも通り暴れちゃってー!」
エル・シッド「やっとかー!よっしゃ、派手にブチかますぜ!ルーキー共は耳塞いでな!」
すると数名の兵士が耳を塞ぎ、斎王達もそれに従う。エル・シッドは軽機関銃を出現させ装甲車に向け撃ち出す
エンチャント魔導法士「ぐぁぁぁぁああ!なんだこの『爆音』は!あれが···あの変化武器の異能力か!?」
キング「違ェ!あのMG42っていう軽機関銃は威力が高い代わりに『うるせえのが特徴なんだよ!』」
キング「第二次大戦当時、ドイツ軍で使われたところから『ヒトラーの電動ノコギリ』の異名もあるくらいだ!」
エル・シッド「オラオラオラァ!装甲車なんだ、遠慮しねェでもっとアタシのタマ喰らいなァ!」
エル・シッド「まだまだァ!楽しいパーティは終わらねえぞ!?もっともっと喰わせてやるよ!」
エンチャント魔導法士「がぁぁぁああ!うるさすぎる···!悪いが作らせてもらうぞ!?」
エンチャントは軽機関銃のあまりの騒音に耐えきれず、窓を開け街灯や道路に魔術を掛け
それらを作り替え、エル・シッドの背後に何重にも重ねた『壁』を作り出し騒音を緩和させる
エンチャント魔導法士「耳が···耳が痛い···暫く聞こえんかもしれん···」
斎王幽羅「俺も··· ··· ···キングはよく耳塞がずに入れるね···」
キング「『慣れ』だしな、ああいうのはよ。それよりゲライント、このバスどこに向かってるんだ?」
ゲライント「シカゴの『ネイパービル』って所よ、近くまで行けば州兵も手を出せないわ」
斎王幽羅「でも簡単に行かせる気はないみたいだね···見て、装甲車で道にバリケードを作ってる」
凪園無頼「あれくらい俺でどうにかなるんじゃね?つーことで、行ってくるねー」
凪園は近くの窓を蹴り壊し屋根へ登る。深く大きく呼吸をし『クラウチングスタート』の構えを取る
凪園無頼「風のビート『ケイローン・ボレアース』!」
凪園はその場から装甲車に向け、突進をする。その際凪園のスタート地点には『風でできたケンタウロスがおり』
風でできたケンタウロスは一矢を放つ。矢は凪園と一体化し、凪園の跳び蹴りが当たった装甲車は
一瞬にして『見なくなるまで彼方へ』飛ばされ、その反動で凪園はバスに戻る。
皆が凪園の新技に目を奪われている中、凪園は不満気な表情を見せる
凪園無頼「うーん···なーんか『違う』んだよなぁ···なんだろ···パワーかな?」
エンチャント魔導法士「凪園、取りこぼしはワシが何とかする」
エンチャントはバリケードや街灯、装甲車等を作り替え『ドラゴン』を作り出し、それを操り
州兵達さも『生きてるかのような』動きをさせる。州兵達は突如現れたドラゴンと
猛スピードで突進してくるバスにパニック状態になり、一目散に逃走する
凪園無頼「エンチャントすげー!ドラゴンとか作れんのー!?」
斎王幽羅「あ、あれって飛べたりするの···?もしかして火とか吹けたり···!?」
エンチャント魔導法士「時間かければ可能だ、どうだ?すごいだろワシ~」
「エンチャント(さん)すげー!」
エンチャントが作り上げたドラゴンに斎王、キング、凪園が興奮を隠せない中、女性陣は冷めた表情をしていた
フェード「ドラゴンなんて空想上の生き物が活気よく動くのは確かにすごいが···そこまで興奮するものか?」
鸞「男として育ってきたから斎王達の気持ちはわからんでもないが···まぁ···男は皆大なり小なり」
鸞「俗に言う『ロマン』というものが好きでな。ドラゴンや恐竜、巨大ロボットとか···まぁ、俺達が理解できないのも無理は無い」
フェード「そういうものなのか···?よく分からないな···」
ゲライント「無理に理解する必要は無いわよ~?私達が形が違えど『可愛い物やキレイなものが好き』なのと一緒」
フェード「私が青龍刀や環首刀の様な武器の美しさに惹かれるのと一緒という事か···?」
ゲライント「そういう感じよ。あら?着いたわね、エルちゃーん!降りるわよー?」
一同がバスから降りるとそこに待っていたのは
『氷の壁に覆われた街』であった
To Be Continued··· ··· ···